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【解説】
IT業界で闘う“アスピーズ”
アスペルガー症候群を抱えたITプロたちの“苦悩”と“現状”
(2008年06月25日)
医学界でも見解が分かれる、アスペルガー症候群の定義
紹介した3人のITプロフェッショナルには、共通点がある。それは自閉症であるということだ。Bob氏とRyno氏は自閉症の中にカテゴライズされる「アスペルガー症候群(Asperger's Syndrome)」(アスペルガー障害:Asperger's Disorderとも呼ばれる)であり、Jeremy氏は「高機能自閉症(High-Functioning Autismb:HFA)」だ。ただし、アスペルガー症候群や高機能自閉症といった用語の定義については、医学界でも意見が割れており、しばしば激しい論争も起きている。基本的には、アスペルガー症候群もHFAも何らかの自閉症の特徴(周囲への反応が一般的でない、社会的相互交渉がうまくいかないなど)があるものの、典型的な自閉症に見られる「認識障害」や「コミュニケーション発達障害」、「言語発達遅滞」といった症状がない状態を指している。
米国精神医学会が発行した『精神疾患の分類と診断の手引(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:DSM-IV-TR)』(Amazon.co.jpのリンク)によると、一般に「アスピーズ」と呼ばれるアスペルガー症候群の人は、非言語的なシグナルを読み取ることが苦手だという。また、周囲とうまく交友関係を築けなかったり、特定の習慣や儀式的な行為に執着したり、手や指をひらひらさせるなどの特定の動作を繰り返したりする特徴が見られることがあるという。
オーストラリア・ブリスベン在住で、アスペルガー症候群の臨床医兼作家として世界的に知られているトニー・アトウッド(Tony Attwood)博士は、より人格/性格的な観点からアスペルガー症候群を定義している。「多くのアスピーズは、知識や真理を探求する強い欲求を持っている。ただし、それらを探求する手法の優先順位が、一般の人とは異なっているのだ。アスピーズが最優先にするのは問題(課題)解決であり、探求の過程で発生する他者の感情的なニーズや社会とのかかわりなどは軽視することがある」(Attwood氏)
Attwood氏が指摘する「他者との関係性に関する問題」は、まるでIT技術者が抱える問題のことを言っているように聞こえないだろうか。
米国Yale大学の発達障害クリニックが発表したアスペルガー症候群に関する論文にも、同様の記述が見られる。その一部を紹介しよう。「アスペルガー症候群を抱える人は、物事への関心の向け方が特異的であることが多く、一般的でない。また極めて限定的な対象物(時刻表、蛇、天気、揚げ物用の鍋、電柱の絶縁体など)に関心を抱くことがある」
“極めて限定的な対象物”にはテクノロジーも含まれるだろう。前出のRyno氏がAttwood博士の診察を最初に予約したとき、受付の女性はこう尋ねたという。「Rynoさんの最大の関心事は何ですか」と──。
「図らずも彼女は、診断の手がかりとなる重要な質問をしたことになる。最大の関心事を尋ねるのは、アスペルガー症候群かどうかを見極める第一歩であるからだ」(Ryno氏)
Ryno氏が強い関心を持っているのは、「コンピュータ」と「コミュニケーション」だ。IT業界にはRyno氏と同様の関心を持つ人が、数え切れないほど存在するはずである。
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