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【解説】
IT業界で闘う“アスピーズ”
アスペルガー症候群を抱えたITプロたちの“苦悩”と“現状”
(2008年06月25日)
些細なことがネックにアスピーズの就職事情
Grandin氏はアスピーズなどに向き/不向きな職業を、能力別にまとめて公開している(表1、2)。コンピュータ技術に関する職業は、大方の予想どおりリストに登場している。例えば、視覚的(ビジュアル)思考をする人たちに向いている職業には、コンピュータ・プログラミング、製図(コンピュータを使用するものを含む)、コンピュータのトラブル・シューティング/メンテナンス、Webデザイン、ゲーム・デザイン、コンピュータ・アニメーション作成などが挙げられている。
| 表1:Grandin氏のWebサイトで公開されている、高機能自閉症/アスペルガー症候群を抱える人に適した能力別職業リスト(Webサイトを基に編集部で作成)(画面をクリックして拡大) |
| 表2:Grandin氏のWebサイトで公開されている、高機能自閉症/アスペルガー症候群を抱える人に適さない職業リスト(画面をクリックして拡大) |
一方、非視覚的思考をする人たち(Grandin氏は具体的に「数学や音楽、事実問題を得意とする人たち」と定義している)は、コンピュータ・プログラミング、工学、在庫管理、物理学が適しているという。
なぜアスピーズは、技術的な仕事に興味を持つのだろうか。
米国ワシントン州シアトルの郊外にあるデモインという町で「Becker&Associates」クリニックを開業し、発達障害のセラピーを行っているスティーブ・ベッカー(Steve Becker)氏は以下のように語る。
「成人したアスピーズは、他者とどうやってかかわっていけばよいのかを理解することができない。彼らはパーティや社会的な交流ではなく、一定のルールがある作業のほうに魅力を感じている。そんな彼らにとってビデオ・ゲームやソフトウェア・プログラムを作る仕事よりも適しているものがあるだろうか。ソフトウェア・プログラムを設計する際には、特定のルールと規約に従えばよい。だが人生には、マニュアルは存在しないのだ」
なおBecker&Associatesでは、成人したアスピーズのための小規模なグループ・セッションを継続的に実施しているという。
Becker氏は顧客のプライバシーに配慮しながらも、米国Microsoftや米国Boeingといった地元の大手企業をはじめ、数百にも及ぶ両社の関連企業に勤める多くの人々やその子供たちが、同氏のクリニックに通院していると打ち明ける。同氏がカウンセリングをしている顧客の中には、ソフトウェア/航空宇宙のエンジニアをはじめ、科学者、博士号取得者など、その業界のトップ・クラスの人材も含まれているという。
しかしアスペルガー症候群を抱えながら業界のトップで活躍する人々がいる一方、同じ業界でも下請け、孫請けの立場で苦労しているアスピーズも数多く存在する。
『The Asperger Syndrome Employment Workbook(アスペルガー症候群の雇用ワークブック)』(Amazon.co.jpへのリンク)の著者で、米国で歴史のあるアスペルガー症候群サポート・グループを運営する、米国オレゴン州ポートランド在住のロジャー・マイヤー(Roger Meyer)氏は、「アスピーズが就いている職種は、一般に考えられているよりもはるかに多様だ」と指摘する。同氏によると、アスペルガー症候群であることを隠して社会に適応する術を身につけた人は、トップ・グループで活躍するか底辺で生きていくかのどちらかになることが多いという。
Becker氏やMeyer氏が懸念しているのは、業界の底辺で働くアスピーズだ。アスペルガー症候群を抱えながら企業に就職した人は、データ入力業務や保険金請求処理などの単純作業であれば、長期にわたって従事することができる。だが、会議への出席など、より高度な社会的相互交渉が求められる地位に昇進したとたん、大変な苦しみを味わうことになるからだ。
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