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【ユーザー事例】
データセンターの新増設で、CIOたちが実際に経験したこと

キャパシティ、設置スペース、電力と発熱、コスト――問われる課題への解決力

(2008年06月30日)

要求はアップするも、予算はダウン

 米国の市場調査会社IDCが今春、27人のCIOと上級IT幹部を対象に実施したインタビュー調査では、今年の予算を削減すると答えた回答者が半数以上に達した。また、多くの回答者が、データセンター、アプリケーション、データの統合を実施したと答えた。IDCのアナリスト、ヘンリー・モリス(Henry Morris)氏は、この調査により、「IT投資の目的の中で、売り上げの確保よりもコスト削減の比重が著しく大きくなっていることが明らかになった」と語る。

 また、2007年11月に開催された米国の市場調査会社Gartnerのコンファレンスで行われた調査では、参加者の3分の1以上が、自社の最新のデータセンターは7年以上前に作られたものだと回答している。こうした古いデータセンターは、現在の高密度サーバの電力や冷却のニーズを踏まえて設計されていないと考えられる。そして、Gartnerによると、回答者の半数が、自社のデータセンターは3年以内に増強しなければならなくなるとの見通しを示したほか、多くの回答者が、DRなどの目的で、データセンターを現在の1施設から2施設に増やす見込みだと答えたという。

 データセンターを新規に建設するか、あるいは既存の施設を改修するかにかかわらず、企業のIT部門は、多数のシステムやアプリケーションを仮想化技術を活用して1台の物理サーバに集約することに加え、多くのデータセンターを1、2カ所に統合することによる不動産その他のインフラ・コストの削減や、サーバの物理的配置の見直しによる冷却コストの削減を目下、進めているところだ。以下、いくつか事例を挙げよう。

 オハイオ州のヘルスケア企業OhioHealthは、特にデータセンター内の機器の熱対策に注意を払っている。同社技術担当バイスプレジデントのジム・ラウダー(Jim Lowder)氏は次のように語る。「われわれは、熱分析によってデータセンター内のどこにホットスポット(熱だまり)が存在するのかを把握している。また、ホット・アイル(暖気通路)とコールド・アイル(冷気通路)をきちんと構成して、冷却空気が排熱の影響を受けないようにしている」

データセンター内で発生する熱だまり(資料:日本IBM)

 ペンシルベニア州検事当局は、2003年にデータセンターの再構築に着手。130台のサーバ、1,000台強のコンピュータ、20カ所のオフィスの運用をほぼ完全に自動化し、仮想化されたサーバとリモート管理ツールを利用して、ルーチン業務にかかる時間と手間を省いている。「(仮想化技術によって)完全に再構築されたサーバを約7分で用意できる」とデータセンター管理者のジョン・ネスター(John Nester)氏は胸を張る。また、同氏は2005年以来、ITスタッフ数や消費電力を横ばいに保ちながらも、サーバ台数を2倍以上に増やしている。

 NewBridge Bankは、経営統合によるITインフラの刷新という大規模なプロジェクトを敢行した。現在、同行のCIOを務めるリチャード・バレンティン(Richard Balentine)氏は、2007年にLexington State BankとFNB Southeastの2行の合併で同行が設立された際、Lexington State Bankでアプリケーション・インフラの刷新計画を実行していた。

 Balentine氏は、経営統合によってこの計画を中断しなければならなかった。この計画ではもともと、CRM(顧客関係管理)などの業務アプリケーションのアップグレードや、アウトソーシングしていたソフトウェア業務を社内に戻すことなどが予定されていた。Lexington State Bankはこの計画の下、初めて、米国EMCのSAN(Storage Area Networks)ストレージを導入し、ネットワーク帯域幅をアップグレードして備えていた。

 しかし、2007年初めに両行の合併計画が持ち上がり、Balentine氏は、2行のITインフラの統合に集中しなければならなくなった。この統合プロジェクトには、ノースカロライナ州リーズビルにあるFNBのデータセンターをDRサイトとして再構成する計画が含まれていた。2行のオペレーションの統合には7カ月を要し、SANの拡張や、VMwareの仮想化ソフトウェアを利用した新しい仮想化サーバの展開も行われた。

 DRサイトの構築やコスト削減は、データセンターのアップグレード計画の一部となっていることが多い。例えば、冒頭で紹介したCHRISTUS Healthは、データセンターを新施設に移転した段階で、DRサイトをアウトソーサーの施設から新データセンターに移す計画だ。

 一部のベンダーやユーザー企業は、IT部門がデータセンターを再構築する際、コスト削減だけを追い求めるのではなく、ITサービスの提供方法を根本的に変革することをめざすべきだと語る。

 ペンシルベニア州検事当局は、VMwareでサーバを仮想化し、旧来のDAS(Direct Attached Storage)から米国NetApp製NASに移行し、ネットワークを10ギガビットEthernetにアップグレードした。同組織のデータセンターでは、電力容量と冷却能力は特に問題となっていなかったという。もともとメインフレームの設置を想定して作られていたためで、現在も温度の高さよりも、むしろ低さが目立っている。Nester氏によると、データセンターの再構築前と比べて、使用スペースは3分の1にとどまっているとのことだ。また、同組織のITスタッフは、データセンターの再構築によって、サーバやネットワークの問題にリモートで予防的に対処でき、新しいITサービスを以前より迅速に提供できるようになった。


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