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【解説】
大災害からサバイブした企業のディザスタ・リカバリ計画[Case 3:データセンター・ロケーションの見直し]

「復旧のカギはスタッフ。衣食住の保証を最優先」――ハンコック銀行

(2008年09月11日)

2005年8月末に米国南東部を襲った米国観測史上最大のハリケーン「カトリーナ(Katrina)」は、多くの命を奪い、ビジネスに甚大な被害をもたらした。災害はいつ、どこで、どんな状況で襲ってくるかわからない。万が一の事態に備え、われわれがすべきことは、ダメージを最小限にとどめるようにすること。そして日ごろからディザスタ・リカバリ(災害時復旧)計画を講じておくことだ。本稿では、カトリーナの来襲で浮き彫りになったミスを分析し、地理的にも物理的にも“超堅牢”なデータセンターを構築したハンコック銀行の事例を紹介しよう。

Robert L. Mitchell
Computerworld米国版

データセンターのロケーション・ミスを痛感

 今にして思えば、メキシコ湾からわずか0.5マイル(約0.8km)の場所にそびえ立つ、ガラス張りの高層オフィスの5階にデータセンターを設置したことは、賢明な判断だとは言えなかった。ハリケーン・カトリーナの襲来で、ミシシッピ州ガルフポートにある米国Hancock銀行画面1)の本部ビルは、甚大な被害を受けた。後日、同行のディザスタ・リカバリ計画にはさまざまな変更が加えられたが、その中でも最大の変更点は、総額1,600万ドルを投じて新しいデータセンターを内陸部に建設することだった。同行のCOO(最高執行責任者)、シェーン・ローパー(Shane Loper)氏は、「この次、大きな災害に見舞われたとき、こうした投資は必ず実を結ぶだろう」と話す。


画面1:カトリーナの襲来後、Hancock銀行は総額1,600万ドルを投じて新たなデータセンターを構築した(画面は同行のWebサイト

 現在、Hancock銀行では、被災から4時間以内の顧客サービス・システムの復旧および24時間以内の基幹業務システムの復旧を目指した「4/24」対策を推進中だ。「こうした対策の実行には、あらゆる面でそれなりのコストがかかる」とLoper氏。しかし、同行は広範な支店網を持つため、メキシコ湾岸のローカルな災害が他の支店にまで影響を及ぼすような事態があってはならないのだ。

 米国Forrester Researchのアナリスト、ステファニー・バローラス(Stephanie Balaouras)氏は、「データセンターは可能なかぎり脅威の少ないロケーションに設置するべきだ。しかし、そうなると本部オフィスや都心部からは必然的に離れた場所になってしまう」と語る。

 Hancock銀行の新しいデータセンターは、同じガルフポートであっても内陸部の最も標高が高いエリアに建設されている。時速200マイルの暴風に耐えることができるうえ、リモート環境からの管理も実現している。

 さらに、820kWの自家発電設備を2基備えているため、電力供給がストップしても1カ月間にわたってシステムを24時間稼働し続けることができる。

 カトリーナに破壊された旧データセンターのサーバ・インフラは、その襲来以前から米国VMwareのサーバ仮想化ソフトを利用して統合が図られていた。「サーバ仮想化といった、ディザスタ・リカバリにとってより効果的な技術を使ってシステムの可用性を高め、災害に備えることは非常に重要なことだ」と、Balaouras氏は強調する。

 仮想サーバのファイルと関連データは常にバックアップされており、シカゴにあるバックアップ・サイトのハードウェア上ですばやく展開することが可能であった。しかし、バックアップ・データのシカゴへの転送方法と、テープからのローディング方法がHancock銀行にとって問題となっていた。同行のバイスプレジデント兼情報セキュリティ・マネジャーのジェフ・アンドリューズ(Jeff Andrews)氏は、「テープによるデータ復旧作業には16時間を要した。すべてのシステムを立ち上げ、実行するまでには、少なくとも36時間は必要だった」と説明する。

 しかし、新システムでは、高速転送が可能なMPLS(Multi-Protocol Label Switching)ネットワーク経由で仮想サーバのファイルおよびデータをレプリケーションしており、ブート・リカバリ・プロセスはおよそ45分に短縮された。

 また、カトリーナの襲来後、Hancock銀行内における災害訓練の内容も変更された。「(カトリーナ襲来の後に)シカゴまで自動車で走っている間、あまりにも不安で生きた心地がしなかった。というのも、それまでテストさえしたことのない作業をシカゴで山のように進めなければならなかったからだ」と、Andrews氏は当時を振り返る。こうした点を考慮し、現在ではすべてのシステムが定期的にロード・テストされている。

ハンコック銀行がカトリーナから学んだ“教訓”

⇒ディザスタ

カトリーナの襲来で、メキシコ湾からわずか0.5マイルしか離れていないミシシッピ州ガルフポートにあったデータセンターは壊滅状態に。

⇒リカバリ

時速200マイルの暴風にも耐えられるデータセンターを、同じガルフポートでも標高の高い内陸部に1,600万ドルを投じて新設した。


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