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【解説】
クラウド・コンピューティングのインパクト[前編:定義と関連技術]
ユーザー/IT部門はどうとらえ、備えるべきか
(2008年08月29日)
クラウド・コンピューティングとグリッド・コンピューティング
グリッド・コンピューティングは、定義の混乱が著しく、意味が希釈化している用語の1つである。もともとは、「ハードウェア・リソースが仮想化され、管理ポイントも含めて広域分散化されたシステム形態」という定義であったと考えられるが、ITベンダー各社が自社に都合のよいマーケティング用語としてグリッドという言葉を多用し、特にクラスタ(データセンター内で複数のサーバが密結合されたシステム形態)とグリッドを同義で扱うケースが出てきたために混乱に拍車がかかってしまった。
元来のグリッド・コンピューティングの概念とクラウド・コンピューティングの概念は類似している。インターネットをグリッド(送電線ネットワーク)に例えたのを、クラウド(雲)に例えるようにしただけとも言えるだろう。また、両者を同義であるとする見方もあるようだ。
筆者としては、(もともとの定義における)グリッド・コンピューティングは、クラウド・コンピューティングの理想を実現するための重要な技術の1つであると位置づけるのが妥当ではないかと考えている。しかし、例えば、1つのデータセンター内で閉じたクラスタ構成によりクラウド・コンピューティングが実現されているケースもありえるため、「クラウド・コンピューティングの実現にグリッド・コンピューティングが必須である」とまでは考えていない。
クラウド・コンピューティングとユビキタス・コンピューティング
ユビキタス(ubiquitous:偏在する、いたるところにある)コンピューティングは、あらゆる物があらゆる場所でネットワークにつながり、コンピューティング・サービスを享受できる形態の概念である。いわゆる“どこでもコンピューティング”だ。
ユビキタス・コンピューティングの理想を実現するためには、クラウド・コンピューティングの存在が前提となる。利用者がどこにいてもサービスを提供できるようにするためには、ネットワーク上にすべてのリソースとデータが存在しなければならないからだ。その意味では、ユビキタス・コンピューティングはクラウド・コンピューティングと同じ考え方を別の立場から述べたと言えるかもしれない。つまり、サービス利用者の立場から見ればユビキタス・コンピューティング、一方、サービス提供者の立場から見ればクラウド・コンピューティングということだ。
クラウド・コンピューティングとユーティリティ・コンピューティング
ユーティリティ・コンピューティングにおける「ユーティリティ」とは、電気・ガス・水道などの公益事業のことを指す。そして、ユーティリティ・コンピューティングは、まさに電気や水道のように提供元を気にせずに、どこにいても従量制料金でコンピューティング・サービスを利用できるという概念を示す用語だ。
ユビキタス・コンピューティングにも類似しているが、サービスが標準化されており、しかも従量制料金で利用できるという点に、あえてユーティリティという言葉を当てはめる意図があったと言える。ユビキタスと同様に、ユーティリティ・コンピューティングとクラウド・コンピューティングは表裏一体の関係にある。大きな違いがあるとすれば料金体系だろう。過去においてユーティリティ・コンピューティングという言葉が使われていたときには、広告モデルによりコンピューティング・サービスを利用者の立場から無料で使えるというケースはあまり想定されていなかったと思われるからだ。一方、クラウド・コンピューティングのビジネス・モデルにおいては、直接課金に加えて、広告モデルを中心とする「無料経済」が重要な役割を果たすことになるだろう。
【解説】クラウド・コンピューティングのインパクト[後編:推進要因と各層への影響]


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