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【解説】
Google Street Viewの「日本の風景」が投じた波紋

技術進化とプライバシー保護のはざまでわき起こった論争から、地図情報サービスの将来を考える

(2008年09月19日)

日本のプライバシー感覚は欧米よりもユルい?

 Street Viewを巡るプライバシー論議は、Googleが米国で同サービスをスタートさせて以降、欧米ではさんざん行われており、日本人だけが拒否反応を示しているわけではない。実際、米国では今年4月、Street Viewに家の中の様子を撮影されたとして、住民がGoogleを相手取って2万5,000ドルの損害賠償請求を起こしている。

 一方、こうした反応に対して、Googleは歩み寄る姿勢を見せている。米国でサービスが開始された当初は、写真に写り込んだ人物や車のナンバー・プレートはそのまま公開されていた。しかし「肖像権侵害ではないか」といった批判が高まってからは、顔とナンバー・プレートには自動でぼかしを入れる処理を施すようになった。

 とはいえ、「Street Viewのようなサービスは即刻中止しろ」といった全面否定に対し、Googleはかなり冷ややかだ。前出の損害賠償請求訴訟でGoogle側は、「衛星技術の進歩により、現代では砂漠の真ん中にいたとしても完全なプライバシーなどは存在しない」と反論しているという。

 また、前出の高木氏によれば、8月7日に開かれた総務省の通信プラットフォーム研究会で、グーグルの藤田一夫氏は次のような主旨の発言を行ったという。

 「日本のプライバシーに対する感覚は、米国、イギリスとは違うのではないか。日本の一戸建てでは名前を表札に書いている。わざわざ自分の名前を公道に出しているわけだから、プライバシーなんて気にしていない」

 こうした発言や筆者が関係者から取材した内容を踏まえると、Googleの基本的な考え方はおそらくこういうことだ。――現在はプライバシー侵害などさまざまな批判が起きているが、こうした地理情報サービスは今後も普及していくことは間違いない。Googleがやらなくても、いずれだれかが必ずやるだろう。であるならば、われわれが担っていこう――。

Topics
カナダのプライバシー担当長官、Street Viewはプライバシー法に抵触すると警告
カナダでは事実上のサービス中止に

Linda Rosencrancer/Computerworld米国版

 同じ北米地域でも、米国とカナダではプライバシー保護の考え方がかなり異なるようだ。米国でStreet Viewサービスが開始されてから約4カ月後の2007年9月、カナダのプライバシー担当長官であるジェニファー・ストッダート(Jennifer Stoddart)氏は米国Googleに対し、Street Viewサービスはカナダの「個人情報保護および電子文書法(Personal Information Protection and Electronic Documents Act」に違反する恐れがあるとして書簡を送った。

 ストッダート氏はGoogleの最高法務責任者であるデビッド C・ドラモンド(David C. Drummond)氏に宛てた書簡の中で、「カナダのプライバシー保護法では、個人データを本人の許可なく商用目的で使用することを禁じている。個人からの同意を得たうえで、適切な使用目的であると認められた場合においても、企業は個人データの収集・使用・公開を限定するという条件を満たす義務がある」と説明している。

 さらに同法では企業側が収集した個人情報について、当事者がその情報を閲覧し、情報を訂正する権利も認めている。ストッダート氏は「(プライバシー担当)事務局では、個人の特定が可能なほど鮮明に写っている人物の画像は、法律における個人情報に当たると考えている」と語っている。

 Street Viewでは、ユーザーが特定画像の削除を依頼できるシステムを採用している。しかしストッダート氏は、この方法では人々は自分が写真に写っているかどうかを知らないケースが多く、問題解決にはならないと指摘している。さらに同氏は、「自分がStreet Viewの写真に写っていることを当人が認識した時点で、すでに個人のプライバシーが侵害されている恐れがある」と警告している。

 Googleの撮影車両はオタワ、トロント、バンクーバー、ケベック、カルガリーといった主要都市で目撃されている。当初Googleはカナダでも早急にサービスを開始したい意向を示していたが、2008年9月1日現在、これら都市のStreet Viewサービスを利用することはできない。


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