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【解説】
x86プロセッサの 「これまで」と「これから」
登場して30年――進化し続けるメインストリームCPUの軌跡
(2008年09月22日)
これからの30年に向けて
| 写真6:45nm製造プロセスを適用したAtomプロセッサ。x86はここまで進化し、そしてこれからも進化し続ける |
x86プロセッサは、“究極のコンピューティング”へと向かって着実に歩を進めている。Intelは今年4月28日、x86プロセッサ搭載の新型スパコンを米国Crayと共同開発すると発表した。なお、CrayはすでにAMDの64ビットCPU、Opteronを採用している。
また4月2日には、中国上海で開催した「Intel Developer Forum 2008」において、Intel史上最小のx86プロセッサ、Atom(写真6)を発表した(関連記事)。一般的なノートPC向けCPUの電力消費量が35Wであるのに対し、Atomのそれはわずか2.5W未満に抑えられている。Atomは、モバイル・デバイス向けとデスクトップPC向けの2モデルが6月からすでに出荷されている。
さてx86プロセッサは、これからの30年も業界標準であり続ける(あるいは何とか生き延びる)ことができるのだろうか。というのも昨今の業界では、CPUの設計を根本から変えてしまうような革新的な技術がいくつか登場しており、近い将来に実際の成果として結実する可能性があるからだ。
しかし、偉業を成し遂げたx86の終焉を予測する声はほとんど聞こえてこない。モウリー氏はこう話す。「別の命令セットがx86に取って代わる理由を見いだすことは非常に難しい。なぜなら、x86にはその上で動作する価値あるソフトウェアが数多く存在しているからだ」(インタビュー「“ミスターx86”のパット・ゲルシンガー氏が語るx86プロセッサの成功秘話」へのリンク)
History of x86
「x86」ではなく「x432」だった可能性も
――先進的すぎて商業的成功を収められなかった、もう1つのアーキテクチャ
Intelが8ビットCPUの8080を発表したのは1975年のことだが、当時のCEO、ゴードン・ムーア(Gordon Moore)氏は、その直後から次に来るべきものは何かを模索し始めていた。ムーア氏は、今後数十年にわたってIntelを引っ張っていくような革新的なアーキテクチャを開発したいと考えていたという。
このときIntel社内では、8080アーキテクチャを16ビットに拡張すべきとの意見が多数派を占めていたが、残りの勢力(最終的にムーア氏はこちら側に付く)は、まったく新しく、そしてはるかに先進的なアーキテクチャを開発すべきだと主張していた。
そこでムーア氏は、米国カリフォルニア州サンタクララのエンジニアたちがx86アーキテクチャ(8080アーキテクチャの16ビット版)の開発にいそしむのを尻目に、有能なエンジニアを雇ってオレゴン州ポートランドに研究所を設立した。そして後にマイクロメインフレームと呼ばれるCPU、iAPX 432の開発・設計を開始する。しかし432は、すぐれた耐障害性やマルチコア対応など、25年後に求められるようなあまりにも先進的な機能を備えていたため、完成したCPUはきわめて巨大で複雑なものとなってしまった。
結果的に、3チップ構成の32ビットCPUとして1981年に発表された432は、高価であるうえ、値段のわりに処理速度も低速であったため、売上げは伸びなかった。当時のユーザーは、16ビットCPUの8088と80286の処理能力で十分に満足していたのである。
「サンタクララとポートランドのそれぞれの取り組みは競合するものであり、両者はライバル関係にあった」と、カリフォルニア大学バークレー校教授のデビッド・パターソン(David Patterson)氏は語る。同氏によれば、x86の設計には浮動小数点演算といった432のアイデアが取り込まれていたものの、“エレガントさ”という点では432に軍配が上がったという。
1985年、Intelは432を発展させたもう1つの取り組みを開始する。ドイツのSiemensと共同でBiiNという企業を立ち上げ、耐障害性の高いコンピュータの開発・実現を目指したのだ。だが、この共同開発プロジェクトも結局、これといった成果を上げることなく終焉を迎える。
仮に1970年代の後半、432が成功を収めていたら、現在のコンピュータ業界はどのような状況になっていたのだろうか。パターソン氏は、今日のような業界標準という地位にx86アーキテクチャが到達することはなかっただろうと話す。
「432の開発チームがもう少し現実的な製品を開発し、また市場にもそれを受け入れる準備が整っていたら、432のアーキテクチャが今、生誕30周年を迎えているのではないだろうか。もし、パラレル・ワールドというものがあるのなら、そこでのIntelは432が成功を収めていて、このアーキテクチャを今でもCPUに採用していることだろう」(パターソン氏)
【インタビュー】“ミスターx86”のパット・ゲルシンガー氏が語る「x86プロセッサの成功秘話」


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