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【解説】
サーバ仮想化の“不都合な真実”
システム統合のカギとなるテクノロジーだが、“落とし穴”に注意
(2008年10月02日)
成功の成果は大きく、失敗のダメージも大きい
貧弱なパフォーマンス、スタッフの準備不足、見えないコストなどは、サーバ仮想化に取り組むうえで気をつけるべき“代表的な落とし穴”にすぎない。仮想マシンは物理サーバ間で簡単に移動させたり、ポータブル・ハードディスクで持ち運んだりすることができるが、それらの所在を常に把握するには多大な手間がかかる。また、セキュリティ・リスクも山積しており、セキュリティ・ゾーンの区分けができていないために生じる監査ミスは、仮想化環境においては頻繁に起きている。
そして、もう1つ忘れてならない落とし穴は、仮想サーバのスプロール現象だ。仮想化環境では新しいアプリケーションも簡単に立ち上げて実行することができるため、「ある仮想化導入企業は、アプリケーションの数を1,000から1,300に増やしてしまった結果、アプリケーションのライセンス・コストだけでなく、管理タスクも増大してしまった」とIDCのHumphreys氏は指摘する。同氏は、「仮想化はユーザーのアプリケーション導入意欲を余計に高めてしまう」と警告している。
もちろん、サーバ仮想化の前にさまざまな落し穴が待ち受けているからといって、ユーザーの仮想化に対する過熱ぶりが収まることはない。何と言っても、導入に成功したあかつきには、計り知れないほどの大きな利益が得られるからだ。ここまで述べてきたように、仮想化への取り組みにはさまざまなリスクが伴うことを理解し、それらをうまく回避することができれば、仮想化への旅は楽しく、最後に得られる果実も甘いものとなるだろう。テストセンターのDineley氏は言う。「仮想化に成功したときの成果は非常に大きい。ただ、もし落し穴に落ちてしまったら、相当な苦難を強いられることを覚悟しなければならない」
Column
仮想化の真のメリットは、コスト削減よりも俊敏性向上
メリットを享受するには、継続的なキャパシティ・プランニングが必要
Laurianne McLaughlin/CIO米国版
自社のITインフラに仮想化技術を導入した企業のCIOに、この技術の最大のメリットは何かを尋ねると、ほとんどのCIOがコスト削減効果よりも、システムの俊敏性向上を挙げる。仮想化の活用で、ビジネス部門の要望にすばやく対応できるようになるというのだ。このことは、多くのIT部門にとって大きな進歩だが、実際にビジネス部門のさまざまな要望に対応可能にするには、システムのキャパシティの再整備が必要となる。
| CiRBAの仮想化管理ソフト「Data Center Intelligence 5.0」は、物理インフラと仮想インフラの稼働状況をグラフィカルに表示する機能を備える |
米国の調査会社IDCのリサーチ・ディレクター、ステファン・エリオット(Stephen Elliot)氏は、仮想化を導入したシステムのキャパシティを必要に応じて随時再検討するよう、以下のように提言している。
「IT部門の多くは、キャパシティ・プランニングが1回限りのプロジェクトであるという考え方から出発するが、実際には、仮想化技術の利用が拡大していくなかで随時実施する必要がある。現在、多くのIT部門が初期サービス契約段階でキャパシティ・プランニングの手法を利用しているが、刻々と変化する需要に対応するための手法とは認識していない。しかし、仮想化技術の基本はアプリケーション・サービスであり、この技術を活用することでITの俊敏性を向上させることが可能であるということが理解されるようになれば、状況も変わるはずだ」(Elliot氏)
仮想化管理ソフトウェア・ベンダー、米国CiRBAの共同設立者でCTO(最高技術責任者)を務めるアンドリュー・ヒラー(Andrew Hiller)氏は、仮想化技術を導入した場合、アプリケーションの変更や物理システムのメモリ・ドレイン、新たなプロセスに起因するセキュリティ上の問題などさまざまなことが起こると指摘する。
CiRBAは、同社が6月17日にリリースした仮想化管理ソフトウェアの新版「Data Center Intelligence 5.0」を使えば、サーバ構成やビジネス・プロセス、実用性の問題などを考慮しながら、仮想マシンに物理マシンを統合するための方法を詳しく分析することができるとアピールする。また、新版には、チャージバック・プランニングや電力消費量の分析作業を支援する機能も備わっているという。これらの機能は、IT部門にとって今後、いっそう重要になると思われる。
Data Center Intelligenceは、物理インフラと仮想インフラの稼働状況を可視化(メモリを多く消費するアプリケーションなどトラブルの原因となりそうな“ホットスポット”を3Dグラフィックスで表示)し、セキュリティ上の理由から専用の物理マシンを確保する必要があると思われるデータベースなどの情報を通知してくれる。また、同ソフトウェアは、主要な仮想化ソフトウェアやサーバ・ハードウェアについての情報を収めたデータベースにアクセスできるようになっている。例えば、特定のシステム設定で「VMware」の稼働するDell製ブレード・サーバと「LDoms」の稼働するSun製サーバを比べたり、「Hyper-V」とVMwareの両仮想化環境の自社での動作状況を比べたりすることができる。
CiRBAのHiller氏は、「仮想マシンの構成や処理能力のトレンドを追跡したり、潜在的なリスク(セキュリティ上の問題など)を特定するだけではなく、データセンターに関する過去の情報を利用して仮想マシンの配置や管理をさらに自動化できるようにしたい」と語っている。
ともあれ、どのような仮想化管理ソフトを導入するにしても、継続的なキャパシティ・プランニングは、IT部門にとっての最優先の課題であり、ビジネス部門の要望にすばやく対応できる体制を整えるための重要なステップと言えるだろう。
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