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[ニュージーランド]
「目指すは第2のビル・ゲイツ」――10代ボットネット犯の意外な素顔
いじめを避けて自宅で勉強した日々。逮捕後は複数の企業から“ラブコール”
(2008年12月03日)
ボットネットを駆使した大胆なサイバー犯罪で、昨年末に世界中のセキュリティ関係者を驚愕させたニュージーランド在住の19歳の少年が、今度は地元の有名人として“持ち上げられた”ことでちょっとした話題になっている。
その少年の名は、オーエン・ウォーカー(Owen Walker)氏。同氏は、ニュージーランド警察当局と米国連邦捜査局(FBI)がボットネット壊滅をねらって共同で実施した「Bot Roast II作戦」の網にかかり、昨年末に逮捕された。共犯者の1人で米国ペンシルベニア大学の学生だった22歳のライアン・ゴールドスタイン(Ryan Goldstein)は、現在も米国で服役中だ(関連記事)。
| ニュージーランドのテレビ局TV3のWebサイト |
逮捕後ウォーカー氏は、100万台ものコンピュータをハッキングして大規模なボットネットを運営した罪に問われた。法律関係者の間では、懲役刑に処せられる可能性が高いのではないかとささやかれていたという。しかし、同氏がハッキングによる犯罪行為を素直に認めて反省の意を表したため、「情状酌量の余地あり」とみたニュージーランドの裁判所が今年7月に下した判決は、罰金刑であった。
その後ウォーカー氏は、地元の小さなソフトウェア会社でひっそりと働いていた。そんな同氏を、今週ニュージーランドのテレビ局TV3が「10億ドルの頭脳を持つ10代の少年」として大々的に紹介したことで、またもや彼は“時の人”となってしまったのである。
ネット上では“Akill”のハンドル・ネームを名乗り、ハッカー社会に広く知れ渡っていたウォーカー氏であるが、番組の中では典型的な“オタク少年”として扱われた。
幼少期から読書が好きだったウォーカー氏は、子供のときにアスペルガー症候群と診断される。そして学校でいじめを受けたことから、母親は同氏を自宅で勉強させるようにした。15歳のころからコンピュータ・プログラミングに興味を持つようになると、勉強を済ませた後に1日に8〜10時間もプログラミングに没頭するようなことは日常茶飯事だったという。
その後、マルウェアの開発に手を染めるようになるのだが、その理由を尋ねられたウォーカー氏は、「(マルウェアの開発は)本当に面白かったし、ほかにやることもあまりなかったから」と、いともあっさり答えている。
ウォーカー氏が違法な行為によって得た金銭は、4万ニュージーランドドル(約2万1,500米ドル)に上ると見られているが、その大半がいわゆる“オタク・アイテム”につぎ込まれたという。「新しいPCやゲーム機、ゲーム・ソフト、その他のおもちゃを買ったり、友人にピザをおごったりした」(ウォーカー氏)
TV3の番組では、ウォーカー氏の両親へのインタビューも放映された。両親は、息子がオタク的な嗜好の強い子供であることはわかっていたが、犯罪行為に手を染めているなどということは、逮捕されるまでは微塵たりとも想像できなかったという。義父のビル・ワイト(Bill Whyte)氏は、警察がウォーカー氏の逮捕に訪れたときのことを振り返り、「サイバー犯罪にはほとんど関心がないようだったので、最初はポルノ関係の容疑かと思った」と語っている。
ところで、ニュージーランドの世論は、ウォーカー氏に罰金刑を命じた裁判所の判断は適切だったと見ているようだ。同国の警察ですら、同氏を懲役刑に処すべきだったとは考えていない。ニュージーランド警察の電子犯罪担当責任者マーテン・クラインジェス(Maarten Kleintjes)氏は、「彼を刑務所に入れていれば最悪の結果を招いたことだろう。刑務所に入れられたら、彼の精神は崩壊してしまったかもしれないからだ」とコメントした。
驚くべきことに、逮捕後ウォーカー氏のもとには、複数の企業から採用の申し出があったという。そうした企業の1つに身を置くことになった同氏にとって、違法なハッキング行為に手を染めていた時期は早くも過去のものとなり、いまは日々の仕事に喜びを見いだしているようだ。
その証拠に、ウォーカー氏はTV3のインタビューに対して次のような壮大な夢を語っている。「将来は自分の会社を設立し、第二のビル・ゲイツになりたい」
(Robert McMillan/IDG News Serviceサンフランシスコ支局)
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