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仮想マシンをいかに管理するか──機能不足のツールを使いこなす
(2006年06月08日)
求められる“標準化”
一方、ウォール街のある証券会社で技術サービス担当副社長を務めるクリストファー・ウェア氏は、最近、BMCソフトウェアが提供する仮想マシン管理のためのオーケストレーションおよびプロビジョニング・ツール、BMC Virtualizerを導入した。同氏によると、このツールはリソースの稼働率の問題をポリシー・ベースで解決するもので、Xen、VMware、Virtual Ironで作成された仮想マシンをサポートするという。
Virtualizerも、ほかのクロスプラットフォーム・ツールと同様、VMwareや他の仮想マシンのAPIを統合し、プロプライエタリなツールの実行を自動化するものだ。例えば、VirtualizerはVMotionを使って、VMware環境内の物理サーバ間における仮想マシンの移動を自動化することができる。
ウェア氏は、BMC Virtualizerを社内のすべての仮想マシンに対応させる作業について、「必ずしもプラグ・アンド・プレイというわけにはいかなかった」と、正直に語る。その理由はただ1つ、「共通する標準が存在しなかった」からである。
そのため、同社の環境では、「仮想プロビジョニングを実行するためには、膨大な量のコーディングとカスタム化が必要だった」(ウェア氏)のだ。もちろん、そのためにかかったコストも相当なものだった。
この標準化の問題は、他のIT分野と同様、仮想マシンの管理ツールの分野においても重要な問題になっているわけだが、フォレスターのジレット氏によれば、「現在、標準化が求められているのは、仮想マシンの制御と操作、フィードバックを得るためのインタフェースの部分だ」という。
仮想化の基本的な部分については、チップとOSのレベルですでに標準化が図られていると見てよい。現在、VMwareやXenの開発者、およびインテルその他のベンダーの担当者によって、(ジレット氏が指摘しているような)より高いレベルでの標準化に関する話し合いがなされているが、残念ながら、いまだにコンセンサスが確立された様子はない。
アイダホ州サンドポイントの衣料品販売大手コールドウォーター・クリークのITエンジニアリング担当ディレクター、スチュワート・ハバード氏は、ESX Serverを使って、60の仮想プロダクション・サーバを稼働させている。
その同氏にとって、現時点における最大の問題は、「リソースの振り分け」だという。「ある仮想マシンがスタートしたときに、十分なリソースがないと、処理速度が著しく低下し、エンドユーザーから苦情が殺到する」(同氏)ことになるからだ。現在、同社では、VirtualCenterを使って、仮想マシンに適切にリソースを配分するようにしている。
求む! 仮想と物理の両方を
管理できる管理ツール
ここまで見てきたように、仮想マシンの管理には物理マシンの管理にはない難しさがあるわけだが、仮想マシンは、もちろん物理マシン上に構築されるものだ。となれば、管理者にとっては、当然、物理マシンと仮想マシンとを、“同時に”“同じやり方で”管理できることが望ましい。
フォレスターのジレット氏も、「仮想化に特化した管理ツールも、オプションとして提供される分には悪くはないが、いずれにしろ、最終的には仮想と物理の双方を同時に管理できるツールが必要になる」と指摘する。また、仮想化対応コンフィギュレーション・ライフサイクル管理ツールを提供するブレードロジックも、1つのポリシーで仮想と物理の2つの世界を制御することは十分可能だと主張している。
一方、カルコムのフィジェルドハイム氏は、「統合ツールがあればベストだが、仮想環境向けに特化されたツールでも十分に役に立つ」と、おうように構える。
ともあれ、仮想マシンの管理に頭を悩ませているのは、現時点では、金融サービス産業など一部のアーリー・アダプタ(先進的導入企業)だけである。だが、今年から来年にかけて、仮想サーバがさまざまな業種のさまざまな企業に導入されていくことになれば、管理の問題も急速に拡散していくことになろう。
その時期を見据えて、ジレット氏はこう予言する。
「仮想サーバの導入は、ITインフラの管理方法を再検討するきっかけになるだろう」
その仮想マシンの使用料は? ──仮想マシンに課金するのは現実的か
仮想マシンを利用するエンドユーザーにも課金したいと考えているIT部門は、しばらく待つ必要がある。現行の仮想マシン管理ツールは、そうした仕組みをサポートしていないからだ。
「いずれはチャージバック(使用量に応じた課金)をできるようにしたい」と語るのは、某証券会社で技術サービス担当副社長を務めるクリストファー・ウェア氏だ。問題は、仮想マシンが利用されたことをどのように測定するか、仮想マシンと共有ハードウェアのコストをどのように割り振るか──である。また、仮想マシンの台数とアプリケーションの利用度が、時間とともに大きく変動するといった問題にも対処する必要がある。
こうしたことから、ウェア氏は、「仮想マシン管理ツールは、将来的にはリソースの割り当てや管理を行う機能だけでなく、チャージバックに必要な課金機能やキャパシティ・リポート機能なども搭載するようになるべきだ」と主張する。
ただし、同氏は、そうしたツールがすぐに登場するとは思っていない。現行製品がフェーズ1であるとすれば、「製品に課金機能が組み込まれるようになるのは、おそらくフェーズ3ないし4あたりのことではないか」というのが同氏の見解なのである。
ガンネットのITアーキテクト、エリック・カズマック氏もまた、仮想マシンの利用度に関する詳細な情報を請求書に記載できるような仕組みが登場する日を待っている。「われわれはまだ実施していないが、多くの企業でチャージバックが行われている。仮想マシンとはいえコストは発生するのだから、それが当然だと思う」(同氏)
一方、ほとんどの管理ツール・ベンダーは、この件に関して態度を明らかにしていない。その中で、「現時点では難しい」という立場をとるのは、BMCソフトウェアのソリューション・マーケティング担当ディレクター、デビッド・ワグナー氏だ。
「われわれの製品は、物理環境と仮想環境にまたがってリソースの利用度をアプリケーション別に示すことはできるが、それに金銭的価値を連動させることはできない」というのが、同氏の主張である。
それに対し、マイクロソフトで仮想製品を担当する技術製品上級マネジャーのジム・ナイ氏は、「モニタリング・ツールを利用したレーティングやチャージバックが可能になれば、仮想環境は大きく進展するだろう。業界もそれを実現する方向に向かっている」と語る。
フォレスター・リサーチのフランク・ジレット氏も、「状況が変わるのに、それほど時間はかからないだろう」と、ナイ氏同様、前向きな予測を示す。同氏は、IBMが今年2月にCIMSラボを買収したことを取り上げ、「(IBMによる)買収の狙いは、リソース利用とチャージバックに特化した仮想技術だ」と指摘する。
こうした肯定的な意見が大勢を占める中で、カルコムのCIO、ノーム・フィジェルドハイム氏は、「チャージバックを採用する必要など、一切ない」と言い切る。同氏は、「そんなことをすれば、メリットがあるどころか、トラブルが増えるだけだ。私は社内でも、断固として“バッド・アイデアだ”と言い張っている」と、強硬な姿勢を崩さない。



















