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2010年の企業ITリーダーに求められるスキルとは

“バーサタイリスト”が企業ITを牽引する時代に

(2006年10月03日)

 2010年まで生き残れるITプロフェッショナルは、自らのナレッジベースを強化し、守備範囲を拡大できる人々だ。それができなければ、ニッチ市場に職を求めてさまようことになるかもしれない。そうしたことを念頭に、モレロ氏とフット氏、カイザー氏の分析をまとめると、ITプロフェッショナルが身につけるべきスキルは以下のようになる。

ビジネス領域

【重要度が高まるスキル】
●エンタープライズ・アーキテクチャ
●プロジェクト・リーダーシップ
●プロジェクトの計画立案、予算策定、工程管理
●サードパーティ・プロバイダー・マネジャー

 大企業は買収や合併で、さらに規模を拡大しつつある。しかし、2つの会社が合併する際には、技術やシステムの統合以上の作業が必要になる。多くの企業が合併に伴うシステムの統合を成功させているが、「企業文化の統合については十分とは言えないのが実情だ」とフット氏は指摘する。技術、セキュリティ、そしてデータ分野のエンタープライズ・アーキテクトは、2010年も重要な役割を担うことになるだろう。

 マイクロソフトやIBMなどは、2010年までに壮大なアーキテクチャの再構築タスクが待ち構えていることを見越して、すでにエキスパート・レベルあるいはグル・レベルのエンタープライズ・アーキテクトの雇用を拡大している。フット氏によると、彼らは「一定レベルのアーキテクチャを構築できなければ、市場で敗退しかねない」という危機意識を持っているという。

 ガートナーはCIOとシンポジウム参加者の数百人を対象に、2010年にかけて重要度が高まる、あるいは低下すると思われる分野について質問した。モレロ氏によると、重要度が高まると見込める分野は、ほぼ全員の回答がプロセスとリレーションシップで一致したという。

 ビジネス領域で重要性が増すスキルは、アウトソーシング関連だ。サードパーティのプロバイダーに依存する場合、企業はそのリレーションシップを管理できる人材を育成する必要がある。

技術インフラおよびサービス

【重要度が高まるスキル】
●システム分析
●システム設計
●ネットワーク設計
●システム監査

【重要度が低下するスキル】
●プログラミング
●ルーチン・コーディング
●システム検査
●サポート、ヘルプデスク
●オペレーション(サーバ・ホスティング、通信、OS)

 ガートナーが実施した調査結果によると、2010年までに重要度が最も低下するスキルは、技術インフラとサービス・ジョブ(すなわちプログラミングやオペレーション)である。これらの役割は海外に移転されるか、自動化がさらに進むと見られている。

 「タスクが成熟し、指示書やマニュアルに明確に記述できるようになると、外部へ出されるようになる。外部へ出されるようになると、だれかがやって来て、その仕事に必要な人員をさらに削減するためのツールが開発される」(モレロ氏)

 一方、カイザー氏はSIMの調査報告書の中で、「システム設計とシステム分析のスキルを社内で維持することは重要だと考える人は多いが、これらのタスクはしばしばアウトソーシングの対象になっている」と指摘している。それらのスキルがアウトソースされる理由としては、プロジェクト・ニーズや人員配置の柔軟性などが挙げられるという。

 システム監査の重要性が高まるのは、「コンプライアンスは、厳格化されても、緩和されることはない」(フット氏)からだという。

セキュリティ

【重要度が高まるスキル】
●ITセキュリティの計画立案および管理

【重要度が低下するスキル】
●一貫性維持と復旧

 有名な企業でもセキュリティ侵害のニュースが相次ぎ、セキュリティの計画立案と管理スキルの必要性はますます高まっている。カイザー氏によると、ITセキュリティは今後5年間で「新たに重要」になるスキルのトップ10の1つであるという。

 IDCが今年1月に実施したセキュリティ・ワークフォース調査によると、企業が雇用するITセキュリティ専門職の数は、全世界で140万人に上るという。その数は年率30パーセントで伸びており、2010年までに200万人を超える見通しだ。米国企業の情報セキュリティ・トレーニングに対する支出も、2009年まで年率16.4パーセントで増加するという。一方、データの一貫性や復旧に関するスキルは、サードパーティ・プロバイダーに委託されるようになるとしている。

ストレージ

【重要度が高まるスキル】
●ストレージ管理

 エンタープライズ・サーバ戦略を展開する企業には、エンタープライズ・ストレージ戦略が不可欠であり、それを実現するためのスキルが必要になる。「SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)に関する特殊技能を持つストレージ管理者の給与水準は上昇を続けている。現在は完全に売り手市場だ」とフット氏は分析する。SANは、管理者がセットアップしたルールに基ついて、データをストレージ・デバイスへとルートする。

 「この技術によって地理的な制約が取り払われたが、2010年のグローバル企業にとって、ストレージ管理がさらに大きな課題となるのは間違いない。取り扱うデータ量が増加し、市場も地理的に拡大するうえ、ユーティリティ・コンピューティングやオープンソース、マネージド・サービスといった、さまざまなシステムを構築することになるからだ」(フット氏)

アプリケーション開発

【重要度が高まるスキル】
●顧客対応型アプリケーション開発

 2010年には、アプリケーションは外部のサービス・プロバイダーが提供する日用品になっているだろう。ただし、社内開発がなくなるわけではない。フット氏は、「2010年ごろには、その形態が変化している」としたうえで、「問題は、どのパッケージを選択するかであり、自社のニーズに応じてどのように仕立て直しするかだ。戦略的アドバンテージを提供する顧客対応型アプリケーション以外は、コードの記述という作業はなくなる」と述べている。

インターネット

【重要度が高まるスキル】
●顧客対応型Webアプリケーション開発
●人工知能
●データ・マイニング
●データ・ウェアハウジング

 オンライン銀行業界では、各行とも住宅や学費ローンから年金の取り扱いまで、顧客向けにあらゆる金融サービスを提供したいと考えている。そうした計画を成功させるためには、2010年までに人工知能、データ・マイニング、データ・ウェアハウジングなどの機能と連動したユーザー・フレンドリーなWebサイトを構築する必要がある。

 もっとも、競争が厳しい市場にあっては、先端技術もマーケティング・アプローチの一部にすぎない。フット氏は、「IT部門で働いていれば、Webアプリケーション・システムを手がけたいと思うに違いない。しかし、そのためには顧客のことを十分に理解する必要がある。おそらく競争相手も、そういったことができる人材を豊富にそろえているに違いない」と指摘する。

 顧客を知っていれば、ただ単にシステムを構築するだけでなく、そこに何らかの付加価値を与えることができる。そうした人々は、顧客とやり取りする同僚とコミュニケーションをとったり、顧客に直接接触したりして、プロセスの変更を迅速に実行できる能力を有しているはずだ。

 フット氏によると、そうした能力は、通常3カ月から6カ月かかる開発サイクルを短縮するのにも役立つという。「迅速なアプリケーション開発と高いプログラミング能力を持つ人材を確保するには、膨大な人件費が必要になる。しかし、それによって組織に敏捷性と柔軟性がもたらされることになる。ビジネスでプロダクト・サイクルの短縮以上に求められるメリットが他にあるだろうか?」

ビジネス・インテリジェンス

【重要度が高まるスキル】
●ビジネス・インテリジェンス
●データ・ウェアハウジング
●データ・マイニング

 こうしたアドバイスに基づいて、重要度の高いスキルを身につけたとしても実際に条件の良い仕事にありつくことができるのだろうか? この点について、フット氏はこう語る。「もし今、市場環境が厳しいとしても、2010年まで待てばよい。ビジネスを活性化する平坦でグローバルな市場、そして技術の普及によって、こうしたスキルはどの企業にとっても必要不可欠なものになるはずだ」

2010年に通用するスキルを身につけるために

 「インフラストラクチャやサービスなど、テクノロジーの世界に残りたいと思うなら、その分野で最高の技量を身につける必要がある」と指摘するのは、ガートナーのアナリスト、ダイアン・モレロ氏である。

 同氏は、 「そのためには、さまざまなタイプの仕事を経験し、得意分野の安全地帯にとどまらず、積極的に課題に挑戦し、新しい領域を開拓すべきだ。ただ単に優れているというだけでは意味がない。ベストプラクティスをベンチマークとする企業と同様、プロフェッショナルとしてその分野の最高峰をベンチマークとすべきだ」と強調する。

 一方、可能な限りプロジェクト管理を経験すべきだと指摘するのは、マーケット大学助教授のケイト・カイザー氏だ。「必ずしもプロジェクト管理の責任者にる必要はないが、プロジェクトを通して、優れた管理者はどういうものかを学ぶことが重要だ。たとえプロジェクトが失敗しても、そこで得た経験は必ず役に立つ」

 また、フット・パートナーズのデビッド・フット氏は、IT分野でさらに技術スキルを磨きたい人々に対して、「サードパーティのプロバイダーで働くことも選択肢の1つであり、特にサービス会社やそれらのイネーブラ、インフラストラクチャにかかわる仕事が重要だ」とアドバイスする。

 技術系プロフェッショナルとして、ITスキルとビジネス・センスをあわせ持っていれば、2010年の就職市場でも路頭に迷うことはない。自分がはたして適切なスキルの組み合わせを持っているのか、冷静に自己評価してみるとよいだろう。この先4年後に自分はどうありたいか、将来をイメージしてみることも大切だ。技術スペシャリストになりたいのか、それともCIOを目指すのか?

(Computerworld.jp)


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