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最先端ITの“夢”と“現実”――企業ITのあり方を変える?!

超伝導/自律/DC電源/相変化/量子/TIA ……

(2007年04月02日)

企業ITのあり方をガラリと変容させる――そうした目的の下、過去から現在にかけて、さまざまな技術のアイデアが生まれてきた。その中には、単なる「夢物語り」にすぎないようなものもあれば、真の意味で「革新的」なものもある。ここでは、そうした技術(ないし、技術構想)の中から、特に大きな注目を集めた(ないし、注目を集めている)いくつかにスポットを当て、それぞれの現状と、将来的な可能性をあらためて検証していく。

InfoWorld 米国版

超伝導コンピューティング

 電気抵抗がない超伝導の電気回路を用いれば、発熱の問題に悩まされることなく、コンピュータの性能を極限まで高めていくことができる――超伝導コンピューティングのコンセプトは、こうした単純な発想から生まれた。

 このコンセプトは(発想がシンプルであったことも手伝って)、きわめて大きな注目を集めた。だが、1960年代末に始まったIBMの研究プロジェクト(超伝導コンピューティングのプロジェクト)は1980年代初頭に中止となり、日本政府(今日の経済産業省)が主導した超伝導メインフレームの開発プロジェクトも1990年代半ばに中断されている。

 そして今日、超伝導コンピューティングのアイデアは、「HTMTA(Hybrid Technology Multi-Threaded Architecture)」と呼ばれる「NUMA(Non-Uniform Memory Access)アーキテクチャ」へと引き継がれる格好となっている。

 このアーキテクチャの目的は、ペタフロップス(PFLOPS)の演算性能を発揮するコンピュータの開発にあり、アーキテクチャの全体は、超伝導プロセッサや(極低温SRAMを用いた)超伝導バッファ、超伝導メイン・メモリ、および光学ホログラフィック技術を用いたストレージなどから構成されている。

 もっとも、HTMTAベースのプロトタイプを構築するだけでも、莫大な費用がかかる。つまり、その構築に4億ドルもの巨費が投じられる米国家安全保障局(NSA)のような組織でないかぎり、超伝導の恩恵を受けることはできないというわけだ。

 むろん、長期的に見ても、超伝導の技術が一般の企業ITに与える影響はほぼゼロに近い。一般企業のIT担当者にとっては、「なーんだ」というお話である。

ソリッド・ステート・ドライブ

 ソリッド・ステートのストレージ・デバイス(以下、ソリッド・ステート・ドライブ)は、それがRAMベースのものであれ、NAND型(※1)フラッシュ・ベースのものであれ、従来のディスク・ドライブの代替となりうる有望な技術だ。

※1:フラッシュ・メモリには、大きくNAND型とNOR型の2つの種類があり、NAND型は、NOR型よりも消去や書き込みの速度が速く大容量化に適した仕様とされている。

 もちろん、ソリッド・ステート・ドライブは、企業ITの世界で、広く、一般的に使われているわけではない。ただし、ここ10年来の技術的な改善によって、ソリッド・ステート・ドライブの有用性が高まりつつあるのも、また事実だ。

 例えば、従来は、「不安定さ」や「価格の高さ」がRAMベースのストレージ・デバイスの弱点の1つとされてきた、

 しかし今日、RAMベースのストレージ製品のほとんどが、DIMMやデータ保護用のバッテリ、場合によってはハードディスク・ドライブを標準で装備するようになり、外部ストレージとしての信頼性を大幅に増している。

 確かに、RAMベースのストレージ製品は総じて価格が高く、ストレージの高速性が要求される領域においても、高性能なSCSIドライブ(SCSI対応のハードディスク・ドライブ)などの後塵を拝してきた。だが、今日における技術革新のスピードを加味すれば、RAMベースのストレージ製品が、価格面での競争力を高め、最終的に大きな成功を収めることになるのは間違いない。

 一方、フラッシュ・ベースのストレージについては、「書き込みスピードの低速さ」などのネックがあった。しかし、それもフラッシュ技術の進歩によって徐々に解消されつつあり、主としてPC用の外部ストレージとして、その有用性を高めつつある。

 ソリッド・ステート・ドライブを、エンタープライズITの領域で広く採用するのは時期尚早だろう。だが、それらが普及する速度は、一般的な予想を上回ることになるかもしれない。

自律型コンピューティング

 「データセンターが、自己の頭脳によって、自身の統制管理を行っていく」――これは、IBMが2001年に発表した「自律型コンピューティング・イニシアチブ」の基本的な考え方だ。

 このイニシアチブは、4つの柱によって支えられるとされ、その柱には、「セルフ・コンフィギュレーション(自己構成)」や「セルフ・オプティマイゼーション(自己最適化)」、および「セルフ・プロテクション(自己防御)」などが含まれていた。

 要するに、データセンターを構成するソフトウェアやハードウェアが、自己の問題を、自ら発見して修復・改善し、IT運用管理の自動化を実現していくというのが、自律型コンピューティングのビジョンであったわけだ。

 では、自律型コンピューティングのイニシアチブは、現在、どうなっているのだろうか。

 おそらく、その問いをIBMに投じても、明快でシンプルな解答は得られないだろう。その代わりに、自律型コンピューティングのコンセプトが、「DB2」や「WebSphere」、「Tivoli」といったIBMミドルウェアの機能強化に生かされているといった説明を、長々と聞かされることになるかもしれない。また、その説明の中で、「Web Service Distributed Management」や「IT Service Management」といった管理標準の話が登場してくる可能性もある。

 さらに、自律型コンピューティング・イニシアチブにおける重要な柱――すなわち、「ITリソースの最適化」や、「サーバ管理の効率化」といった要素は、「仮想化」の技術に奪われた格好になっている。ゆえに、自律型コンピューティング・イニシアチブは、過去の話と化しつつあるのだ。


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