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[国内] 【LinuxWorld Tokyo 2007】
「ベンダー・ロックインを回避し、公平な競争社会を」――IPA OSSセンター長の田代氏

“FLOSS効果”をすでに享受している欧州を手本に、国家レベルでの取り組みを強化

(2007年05月31日)

独立行政法人情報処理推進機構(IPA) オープンソースソフトウェアセンター・センター長 田代秀一氏

 東京ビッグサイトで開催中の「LinuxWorld Conference&Expo/Tokyo 2007」コンファレンス。2日目の基調講演には、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のオープンソースソフトウェアセンターでセンター長を務める田代秀一氏が登壇。国内におけるOSSの本格普及に向けた、IPAの各種の取り組みについて説明がなされた。

 2006年1月に発足したIPAのオープンソースソフトウェアセンターは、FLOSS(Free/Libre&Open Source Software)効果を享受すべく、国内におけるOSSの利用促進に取り組む代表的な機関である。日本政府によるOSS関連の施策はそれ以前から行われてきたが、IPAを中心とした体系的な取り組みが始まったのはこの2、3年のことであり、同センターは、国内OSSムーブメントの拠点として重要な役目を担っている。

 情報システムのアーキテクチャとしてオープン・システムが台頭し、主流になって久しい。だが実際には、効率的な運用がなされ、“知識の再生産”を実現している成功事例と、逆にこのアーキテクチャのよさを生かせずに“知識のブラックボックス化”を起こしてしまった失敗事例という2極分化の傾向が見られる。

ベンダー・ロックインが生む悪循環

 また、システムを調達する側の問題として、特に官公庁において顕著なのが、要求仕様を明確な形で作成できないために、実績があるというだけで特定のソフトウェアばかりに採用が集中してしまうという傾向だ。このことはソフトウェアのベンダー・ロックインを生み、それが繰り返されてロックがさらに強固なものとなっていくという悪循環を呼んでいる。

 「われわれはソフトウェアのベンダー・ロックインの問題を解決し、公平な競争社会を実現していかなければならない」──。LinuxWorld Expo/Tokyoの基調講演に立ったオープンソースソフトウェアセンター長の田代氏は、来場者に向かってこのように訴えた。

 FLOSSとして提供されるアプリケーションやプラットフォームの導入効果に着目する必要がある、と田代氏。FLOSSは、柔軟性、透明性、低コスト性、イノベーションの促進など、さまざまな面において現状を打開するパワーを持っていると強調した。
 なかでも、プラットフォームやミドルウェアなど企業・組織の情報システムにおいてブラックボックス化しやすい部分にFLOSSを採用することで、ユーザーは多くのメリットを享受できるようになると田代氏は強調した。また、同氏によれば、採用効果はそれだけにとどまらず、ソフトウェア・ベンダーの開発競争の活発化にもつながるという。

 さて、世界規模で見た場合、OSSが最も普及している地域は欧州である。欧州連合(EU)では2002年ごろから各国で電子政府プロジェクトが始動し、ITコストの削減に向けて本格的な取り組みが展開されていった。

 その結果、今日では、EUのいくつかの国ではすでに、OSSの導入効果を享受する好循環の段階に入っている。その好例がドイツで、同国は、2002年には同国内務省がSuSE Linuxの採用に踏み切るなど早期から国家主導で取り組みに着手していた。また、地域行政においても市議会レベルでLinuxへの移行を進めるなど、同国ではOSSの積極的な利用促進が行われてきた。

国内のOSS推進拠点として、さまざまな施策を展開

 むろん、日本もこうした動きをただ傍観しているわけではなく、政府機関レベルでのOSSへの取り組みを強化しているところだ。例えば、“世界最先端のIT国家の実現”を目指して策定された「IT政策パッケージ - 2005」には、OSSに関する事項が盛り込まれている。また、政府調達基本指針においても、オープン・スタンダードへの準拠、大規模システムの分離調達の推奨、仕様書の記述の明確化・具体化など、調達レベルにおいて相互互換性の向上を促進する規約を多く盛り込んでいる。

 田代氏によれば、現在、IPAでは教育機関や役場レベルの自治体におけるLinuxの導入を促進すべく、各所で実証実験を進めているという。同氏は次のように説明した。「さまざまな施策から明らかになった問題点を整理し、外字管理システムの開発やLinux印刷環境の改善、OpenOffice.orgの機能改善のための仕様作成といった、OSSで課題とされてきた部分の作業も進めている。実証実験は現在、第3段階に入っており、さらなる実験、および、そこからのフィードバックなどが計画されている」

 IPAでは、国内でもFLOSS効果を早期に享受できるようにすべく、上記以外にもさまざまなサービスの提供を実施している。だれでも閲覧できるOSS関連情報データベースとして2006年5月より公開している「OSS iPedia」サイトがその一例だ。FLOSSの国内での本格普及を実現する拠点としての同機関の取り組みには今後も注目していきたい。

(後藤大地)




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