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【連載】
新時代のITキャリア【システム開発編】

第7回 「システム・エンジニア」

(2007年06月15日)

IT業界では常に新しい技術が誕生している。そしてそれに伴いさまざまな職種や役職が誕生している。本連載では、IT業界の職種を取り上げ、その仕事内容や必要とされる能力、労働条件や待遇といったものを紹介していくことにしたい。今回はシステム開発の花形ともいうべき「システム・エンジニア(SE)」を取り上げる。

横山哲也
グローバル ナレッジ ネットワーク、マイクロソフトMVP

【職務概要】

 SEの仕事は、ビジネスとITを結び付ける「通訳」である。ビジネス用語で語られる顧客の要求を聞き、コンピュータで実現可能な形態を考え、IT用語で記述された仕様書にまとめるのである。

 しかし、最近ではSEの職域は拡大傾向にあるようだ。

 従来SEが作成するのは、顧客の要求の中でもITで実現可能な範囲を記述した「要求仕様書」だけであった。しかし、最近では要求を実現するための、具体的な手順を記述した「詳細仕様書」までをSEが記述することもある。

 また、実際のコーディング作業まで行うSEもいる。こうなると先に紹介したプログラマーの仕事とSEの仕事との境界線があいまいになる。もっとも、上流/下流プログラマーまでをトータルで「SE」と呼称する会社は多い。

【存在意義】

 顧客の要求をITで実現可能な手順にまとめるのがSEである。

 プログラマーは、SEが作成する仕様書に従って、実際に動作するプログラムを作成する。しかし、そのプログラムが実際のビジネスに役に立つかどうかは判断しない。システム開発の過程では、SEだけが顧客と直接の情報交換を行う(営業やコンサルタントが同行する場合もあるが、それは別次元の話だ)。

 現在、ITをまったく利用しないでビジネスを行っている企業は存在しないと言ってよいだろう。しかし、ITが一般化した今日でも、やはりITシステム構築には、特別なスキルが必要であり、ビジネス・スキルとの乖離は大きい。SEはこの乖離を埋めるための職業である。

【必要な経験/スキル】

 一般的に、SEはプログラマーの次に進むべきキャリアだとされている。プログラマーとしてIT技術に精通したうえでビジネスを学び、ITとビジネスの橋渡しができるようになるのが、典型的なキャリアパスである。したがって、SEには以下の経験/スキルが求められる。

プログラマーとしての経験

 会社によっては、プログラマーを経験させずにSEを養成することもある。理論的にはこうしたやり方は不可能ではない。SEに必要なITスキルは、プログラムの細部を見渡すことではない。概要がわかれば十分である。

 しかし、仕様書を書くには、実装技術の詳細まで知っていたほうがよいとする意見も根強くある。現実問題として、最低限のプログラミング・スキルは必要と見たほうがよいだろう。筆者の個人的な見解では1,000行程度のプログラムを1人で書ければよいと考えている。

仕様書を読み書きした経験

 SEの仕事は仕様書を書くことである。読みやすく誤解を与えない仕様書を書くには、優れた仕様書を多く読む必要がある。音楽を聴かずに作曲家になる人はいない。プログラマーとして仕様書を読んだ経験があれば、どのような仕様書が優れているかもすぐに判断できるだろう。プログラマーの経験がなくても、多くの仕様書を読めば、良し悪しは判断できるようになる。上流プログラマーとして詳細仕様書を書いた経験があれば理想的だ。

論理的な文章を書くスキル

 仕様書は日本語で書く。簡潔かつ誤解のない表現で文章を作成することは、SEの必須スキルだ。

IT一般に対する深い造詣

 常に最新技術を使うわけではないが、業界の動向は理解しておきたい。顧客の要求を実現するのに最適な手法を提案するためである。

顧客のビジネスに対する深い理解

 ビジネスとITの橋渡しを行うためには、その両方を理解する必要がある。顧客のビジネスを理解していないと、顧客の要望には十分に応えられない。また、基本的なビジネスを理解していないと、顧客から信頼してもらえないという問題もある。

 顧客のビジネスは、実際に顧客を担当しないとわからないことが多い。そのため短期間に学習する力も求められる。「一夜漬け」は社会人にとって意外と重要なスキルなのだ。

【適した人材】

 第1に論理的な思考ができる人。第2に未知の分野への挑戦を楽しめる人である。顧客と円滑なコミュニケーションができることも重要である。さらに、顧客が話す内容について、論理的な飛躍や矛盾を指摘できる能力も必要となる(ただし、顧客に不快感をあえてはならない)。

【雇用側が求めるべき能力】

 顧客とのコミュニケーション能力とITへの造詣。どちらが欠けてもSEとしては失格だ。

【採用の決め手となる“究極の質問”】

<その1>
「合コンなどの席で、彼女(彼)から仕事上の苦労などを相談されたことがありますか。相談を受けることは、あなたにとって苦痛ですか」

 コミュニケーション能力を養うために、合コンに行くことを推奨しているのではない。この質問から、その人物が人とのコミュニケーションを楽しいと思っているかどうかが読み取れるのだ。

 顧客の職種は千差万別だ。今まで聞いたこともない業務のシステムを扱うこともある。仕事上の苦労などを相談されるタイプの人は、「話させ上手」で「聞き上手」な人が多い。仕事上の苦労を聞き出すことは、システム化のポイントを聞き出すことと(ほぼ)同じだ。また、相手の苦労(課題)に共感し、仲間意識が芽生えることで、プロジェクトが成功する確率も高まる。人の苦労話を聞くことが苦痛ではない人は、コミュニケーションを心から楽しんでいる人だろう。

<その2>
「与えられた課題が完成しても、『もっとほかのアプローチがあったのでは』と考えるタイプですか」

 ほんとうに聞きたいことは、「顧客のためには、どんな苦労もいとわないタイプですか」である。ただし、単刀直入に聞いても、「いいえ」と答える人は(おそらく)いないだろう。「顧客が楽をするために、苦労して最適なシステムを提案する」のがSEの本質である。ただ「できた」だけ満足しているようでは、優れたSEとは言えない。もっと良い方法を探す習慣を持っている人がSEに向いている。

【年収】

 インターネットで公開されている情報を総合すると、30歳のプログラマーの平均年収は、上流/下流をまとめて500万円程度、SEだと600万円程度のようだ。ただし、会社の給与形態や個人の能力によるばらつきは大きい。ベテランSEの中には、1,000万円を超える年収を得ている人もいる。



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