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【連載】
新時代のITキャリア【システム運用管理編】

第12回 「システム管理者」

(2007年10月30日)

IT業界では常に新しい技術が誕生している。そしてそれに伴いさまざまな職種や役職が誕生している。本連載では、IT業界の職種を取り上げ、その仕事内容や必要とされる能力、労働条件や待遇といったものを紹介していくことにしたい。今回は企業システムの番人ともいうべき、「システム管理者」を取り上げよう。

横山哲也
グローバル ナレッジ ネットワーク、マイクロソフトMVP

【職務概要】

 システム管理者は、企業内で利用しているコンピュータが正常に動作しているかを監視し、問題があればそれを解決する。また、ユーザー・アカウントの登録、ソフトウェアのインストール/更新、データのバックアップなど、システムのメンテナンスもシステム管理者の職務だ。

 テクニカル・サポートが突き止めたトラブルの原因を取り除く作業も、システム管理者の管轄である。企業ユーザーが利用するコンピュータは、すべてシステム管理者が管理していると考えてよい。

 システム管理者の守備範囲は広い。そのため分業体制にしている企業もある。サーバ管理とクライアント管理に分割したり、地域ごとに分業したりする場合もあるようだ。どこの担当になっても、仕事内容は大差ない。

 ただし、システム管理者の中でもネットワーク管理者は、その職務内容が異なる。システム管理者としてのコンピュータ知識のほかに、ネットワーク知識も必須となる。そのため、企業は専任のネットワーク管理者を置く場合が多い。なお、今回取り上げるシステム管理者には、ネットワーク管理者は含まれていない。

【存在意義】

 システム管理者がいないと、コンピュータが故障したときに困る。複数の人間が共同利用するものには、必ず管理責任者が必要だ。

 以前紹介した「ヘルプデスク」は、コンピュータの故障など、複雑なトラブルはヘルプしない。また前回紹介した「テクニカル・サポート」は、故障の原因は究明するが、故障を修理するためにシステムの設定を変更する権限を持っていない。

 例えばサーバで利用しているソフトウェアにバグが発見されたとしよう。ユーザーからバグの報告を受けたヘルプデスクは「既知のバグです」とユーザーに報告し、可能であればバグの影響を受けない回避方法をユーザーに伝える。テクニカル・サポートはバグの原因を突き止め、ソフトウェアのバージョンアップなど、バグ・フィックスの“対策”を考える。

 しかしテクニカル・サポートは、バグ・フィックス対策は考えても、それを実行に移す権限を持っていない。ソフトウェアのバージョンアップ中は業務が停止する可能性もあるし、万が一に備えてバックアップ/リストアの準備もする必要がある。1つのバグ・フィックスを行うため、突然システムを停止させたら、ユーザーは大混乱である。

 このような場合にシステムが安定稼働するように計画し、万一に備えて復旧手順を考えておくのがシステム管理者である。そして、実際に作業を行うのも、システム管理者だ。

【必要な経験/スキル】

 担当するシステムに関する技術的な知識は必須である。さらに自分が担当するシステムが、業務にどのような影響を与えるのかも熟知しておかなければならない。

システムの知識

 ほとんどの企業はOSを特注しない。主なOSはWindows、UNIX、Linux、そしていわゆるメインフレーム用OSだ。メインフレーム用OSはベンダーや機種ごとに違うが、特注品ではないことに変わりはない。

 システム管理者は、自社で利用するOSの機能を把握し、正常に稼働するよう管理する。ほとんどのOSベンダーは「認定技術者試験」を実施しており、多くのシステム管理者は、担当製品の資格を持っている。

 「技術者資格には意味がない」と主張する人も多いが、自分のスキルを客観的に評価/提示する手段としては有効だ。特に転職を考えているなら関連する資格は取得しておきたい。

カスタム・アプリケーションの知識

 OSは汎用品でも、業務アプリケーションはカスタム・メイドという企業は多い。近年ではERP(Enterprise Resource Planning)スイートのような汎用品を利用している企業もあるが、カスタム・アプリケーションを1つも利用していない企業は少数派だろう。システム管理者は、自社独自のアプリケーションについても熟知しておく必要がある。

業務の知識

 企業内の分業化が進み、社内業務フロー全体を把握する人は少なくなった。しかしシステム管理者は、社内全体の業務を把握し、業務システムを理解する必要がある。

【適した人材】

 決められた手順を正確に遂行できる人材。ただし、決められた手順“だけ”を実行できても意味がない。毎日の作業から改善できる個所を発見し、提案できる能力も必要である。

 システム管理者が何かを“創造”することは、ほとんどない。地味な仕事だが、企業活動を支える重要な役割を担っている。裏方作業に魅力を感じる人でないと、システム管理者は務まらない。

 野球で言えばピッチャーではなくキャッチャー、芸能界ならタレントよりもマネジャーに魅力を感じる人がシステム管理者に向いているだろう。

【雇用側が求める能力】

 毎日の作業をシステマチック、かつ確実に実行できる緻密性を持ち、「安定第一」でシステムを運用できる能力。

 また、経営に対する提案力が要求される場合もある。従来、ITは「コスト」として考えられてきたが、最近では「投資」と考える経営者が増えている。投資である以上、何らかの見返りが期待される。それは業務改善のための提案だ。

 システム管理者は、企業全体の業務を把握できる数少ない職種である。この利点を生かし、経営に役立つような提案ができる能力があれば、言うことはないだろう。

【採用の決め手となる“究極の質問”】

 「レコーディング・ダイエット」をどう思いますか? 自分でもできそうだと思いますか?

 肥満は摂取カロリーが消費カロリーを上回ることで起きる。レコーディング・ダイエットは、食べるものすべてを記録することで食生活を客観視し、ダイエットにつなげようというものだ。

 システム管理者は、自分が行ったすべての設定を把握し、かつ記録しておくのが仕事である。トラブルは何か変化があったときに発生する。常に変化を記録していれば、トラブルの原因も追及しやすい。「自分の行動を記録するのが手間だから、レコーディング・ダイエットはできない」と考える人は、システム管理者に向いていない。

 反対にレコーディング・ダイエットを実践しつつ、その効果を調査する必要があると考える人は、上級システム管理者の素養がある。

【年収】

 初級システム管理者の実態は、ほとんど雑用係である。単に既存のシステムを運用するだけの業務内容であれば、500万円程度であろう。会社のIT計画を提案できるような立場になれば、800万円を超えることもある。

(Computerworld.jp)



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