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クラウド・コンピューティング

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クラウド・コンピューティング

【インタビュー】
ニコラス・カー氏、クラウド・コンピューティングのメリットと課題を語る

「企業のIT部門は縮小するが、存在感と重要性は増大する」

(2008年11月21日)

――セキュリティと信頼性に加えて、IT幹部が持つ最大の懸念の1つは、特定ベンダーのクラウド・サービスに囲い込まれてしまうのではないかということだ。それを避けるためのアドバイスをいただきたい。

 サービスを購入する側は、(特定ベンダーに)しばられないように注意する必要がある。異種ベンダー間で容易な移行を実現するために必要な相互運用性と標準データ・フォーマットを確保したいのなら、顧客自らがベンダーにその旨を伝え、要求すべきだろう。

 クラウド・ベンダーと取り引きする際に顧客がその条件を出さなければ、おそらく標準化について多くのベンダーに言いくるめられ、結局、移行が困難になってしまう可能性もある。

――CIOは、Microsoft、Googleなどの大手ベンダーが今後クラウド市場を支配する可能性を危惧しなければならなくなってしまうのか。

 クラウド、あるいはコンピューティング・ユーティリティ業界の究極の構造がどのようなものになるかについは、今の時点で明確な答えを出すことはできない。

 しかし、少なくともクラウドのインフラ部分に関しては、巨額の投資を要する運用形態になることは明らかだ。そうなると、年間何十億ドルもの資金を投じることができるGoogleやMicrosoftといった巨大ベンダーの姿が見えてくる。クラウド・ネットワークの構築に必要となる投資額を考慮すると、資金力のある限られた数のベンダーの市場になることが予想される。

 これは、ある種の危険信号を意味すると同時に、「そのインフラ上に置くサービスやアプリケーションがどうなるのか」という別の問題にも突き当たる。サービスやアプリケーションが(インフラとは)別のビジネスとして成立して多くのプロバイダーがひしめき合うのか、それともGoogleなどの大手ベンダーがそうしたビジネスまでも吸い上げてしまうのかということだ。

――つまり少数のベンダーがインフラとアプリケーションの両方の市場を支配することになる可能性があるということか。

 それはわからない。ある程度の規制がかけられるかもしれない。Googleが企業を魅了するイノベーションを生み出せるかどうかも疑問だ。現時点ではまだそのレベルに到達しているとは言えない。

企業IT部門はビジネス・ロジックに集中でき
その存在感と重要性は増大する

――CIOがITスタッフを削減せずに、また自身も職を失うことなくあなたの言う「ビッグ・スイッチ」(大転換)を起こすためにはどうしたらいいのか。

 クラウドがもたらすメリットの1つは、ITの資本支出だけでなくITスタッフの数を削減できる点にある。IT関連の人件費はITコストの大部分を占めており、これを削減できなければクラウド本来の魅力がなくなってしまう。したがって、クラウド・コンピューティングに挑むCIOたちは、それが自分たちの“帝国”の縮小を意味することを覚悟して取り組むべきだ。

 このことは、逆に、従来のIT機器/アプリケーションの管理業務やライセンス業務から解放されることを意味している。その結果、(IT部門は)ビジネス・ロジックに集中できるようになり、企業における存在感と重要性を増すだろう。

 「そんなことは今のスタッフ数を維持するか増やさなければできない」と泣き言を言うようでは、クラウドの導入にあたって早い段階から苦労に直面することになる。

――IT運用業務をアウトソーシングしているような企業、特に大規模企業では社内に(アウトソーシング業者との関係を管理する)アウトソーシング関係マネジャーと、エンドユーザーのニーズ対応を担当するビジネス・アナリストが配置されている。クラウドでも同じモデルを適用できると思うか。

 そう思う。簡単に言うと、クラウド・コンピューティングは外部サプライヤーを使うという点でアウトソーシングの一形態と言える。したがって、クラウドを導入する企業のIT部門にも同じような職種が必要とされる可能性がある。アウトソーシング関係マネジャーと同様、自社のシステム、要件、アプリケーションをクラウド・プロバイダーにどのように分散すべきかを決定する情報システムの橋渡し役だ。

 いずれにしろ、(クラウドの時代においても)ビジネスとアプリケーションをつなぐ担当者が必要になる。極端な話、その職種はIT部門を離れて事業部門に属するようになるかもしれない。


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