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クラウド・コンピューティング
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[米国]
【2009 MIT Sloan CIO Symposium】
クラウド・サービスの光と影――専門家が語る「メリット」と「落とし穴」
第1のメリットはコスト面、ただし自社運用型が賢明なケースも
(2009年05月22日)
5月20日開催の「2009 MIT Sloan CIO Symposium」で行われたパネル・ディスカッション。4人のパネリストは、クラウド・コンピューティングを利用して主要IT機能をアウトソーシングするときのメリットと落とし穴を指摘した。
| 2009 MIT Sloan CIO SymposiumのWebサイト |
クラウド・コンピューティング・サービスは、大まかに言えば、IT関連機能をインターネット技術によって企業ユーザーに直接提供するものだ。パネリストの1人である米国Rackspaceのゼネラル・マネジャー、エーミル・サーイグ(Emil Sayegh)氏の言葉を借りれば、「ソフトウェアを活用してWeb経由で提供される、プールされたコンピューティング・リソースのセット」と言うこともできよう。
クラウド・サービスは従来のITインフラとは別物だ。社内で管理、アップグレードしなければならない物理インフラとしてではなく、必要に応じて必要なだけ使えるサービスとしてITを扱うからである。
米国Cisco Systemsのサーバ・アクセス/仮想化事業部門担当CTO(最高技術責任者)、エド・バグニオン(Ed Bugnion)氏は、クラウド・コンピューティング技術について、「基本的に、データセンターにおけるITに仮想化技術を導入したもの」と説明。「きわめて大きな発展性を秘めている」と語った。
クラウド・サービスのメリットは具体的にどこにあるのか。この問いかけに対し、米国MicrosoftのMicrosoft Online担当コーポレート・バイスプレジデント、ロン・マーケジッチ(Ron Markezich)氏は、コスト面のメリットを第1に挙げている。
「クラウド・サービスを導入すれば、企業はアップグレードや関連するハードウェア投資について心配する必要がなくなる。サービス・プロバイダー側でアップグレードが行われ、アップグレードされたサービスがWeb経由で提供されるからだ」(マーケジッチ氏)
コストと人的リソースを節約できれば、そのぶんを、高い価値を生む業務に割り当てることができる。「クラウドにアウトソーシングできる分野の仕事を、優秀なスタッフに担当させずに済むという点も重要だ。優秀なスタッフを、会社の差別化に貢献する仕事に集中させることができる」と、マーケジッチ氏は強調した。
一般的な自社運用型インフラに比べて、システム規模を柔軟に変更できる点も、パネリストたちが一様に挙げたクラウド・サービスの大きなメリットである。クラウド・サービスは仮想化されており、インターネット経由で提供されるため、ユーザーは最新のニーズに応じてキャパシティを簡単に増減させることができるわけだ。
「新しいプロジェクトを始めるときは、どれだけのキャパシティが必要になるか予測がつかないことが多い」と、Rackspaceのサーイグ氏。「自社運用型のシステムの場合、最初に余裕をみてキャパシティを用意するとコストがかさんでしまうし、プロジェクトの過程で規模を拡張すると、たちまちコストが膨らんでしまう。でも、クラウド・サービスの場合は、そうした規模にかかわる問題を忘れていられる」(同氏)
一方で、パネリストたちは、クラウド・サービスの普及の妨げになりかねない“限界”にも言及した。
例えばサーイグ氏は、自社運用型インフラで稼働させたほうが高パフォーマンスが得られるケースとして、特定のデータベース集約型アプリケーションを挙げている。また、厳しい規制を受ける医療などの業種では、クラウド・サービスよりも自社運用型システムを使うほうが賢明との見解を示した。
また、4人目のパネリストを務めた米国Goss InternationalのCIO、ビル・ロジャース(Bill Rogers)氏は、クラウド・サービスを導入するうえでの障害の1つとして、クラウド・コンピューティングの具体的な「定義」が混乱していることを指摘した。
「クラウド・コンピューティングは、具体的な概念というよりも、業界のバズワード(流行語)に近い。数社のベンダーと話したが、各社のクラウド・コンピューティングの定義はそれぞれ異なっていた」(ロジャース氏)
一般的な定義が存在しないものへの投資には、慎重にならざるをえない。これは、どこの会社でも同じであろう。
果たして、クラウド・サービスは自社にとって適切な選択肢なのか。サーイグ氏は、クラウド・サービスを実際に試し、自社のビジネス・モデルにきちんと適合することを確認するしか、それを判断する方法はないと述べ、パネル・ディスカッションを締めくくった。
(Brad Reed/Network World米国版)
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