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[国内]
【インタビュー】
円滑なビジネス・コミュニケーションを実現する秘訣とは――アドビLiveCycle担当者に聞く
(2008年05月12日)
アドビ システムズは、現在、企業、顧客、パートナー、従業員などの間に存在するプロセスやセキュリティ上の課題を解決し、円滑なビジネス・コミュニケーションの実現を支援する統合開発環境「Adobe LiveCycle Enterprise Suite」の拡販に注力している。そのねらいは何か。編集部は、同社マーケティング本部の小島英揮氏にインタビューを行い、LiveCycleの製品戦略と今後の展望について聞いた。
小山健治
──LiveCycle Enterprise Suite(以下、LiveCycle ES)の提供を通じて、アドビはどのような課題に対し、どのような解決策を提案しようとしているのか。
| アドビ システムズのマーケティング本部ビジネスソリューション/エンタープライズ&デベロッパーマーケティング部部長、小島英揮氏 |
小島氏:簡単に言えば、ビジネス・シーンにおける「必要な情報が理解できる形で伝わっていない」という状況を改善したいと考えている。例えば、ERPシステムのデータベースには、売上げや在庫など業務に関するさまざまな重要情報が格納されているが、市場のトレンドやビジネスのボトルネックは何なのかといった情報は、そこからは見えてこない。そこで業務の担当者は、データをExcelにエクスポートしたり、自分でグラフを作ったりして分析を行っている。要するに、データそのものが見えるだけではだめで、データが持っている本質を理解できるようにならなければならない。
──では、そのためにデータをどのように加工すべきなのか。
小島氏:特定の決まった形があるわけではなく、ビジネス・シーンによって変わってくると思う。ドキュメントやチャート、あるいはデスクトップ・アプリケーションのようにインタラクションを持たせたい場合もあるだろうから、ビジネス・シーンに応じて的確な情報表現を行えることが求められる。これは、情報のライフサイクル(情報収集から活用、管理・保管、破棄に至る一連のプロセス)の中で重要な要件の1つになっている。つまり、情報を集めやすい形で収集し、伝わりやすい形で伝えることが重要となるわけだ。アドビとしては、LiveCycle ESの提供を通じて、企業の「情報力」をもっと豊かにしていきたいと考えている。
──LiveCycle ESのセキュリティ機能について伺いたい。
小島氏:従来のセキュリティ保護は、閉鎖的、固定的な考え方に基づくものがほとんどで、情報漏洩の危険があるから見せない、文書の印刷機能に制限をかけるなど、情報を外に出さないよう注意が払われていた。なぜなら、いったん外に出してしまった情報を取り戻すすべがなかったからだ。もっとも、ビジネスは社外を含めたコミュニケーションによって成り立っているため、殻に閉じこもってばかりはいられない。
この問題に対し、LiveCycle ESは、情報が外部に提供された後もセキュリティを担保できる仕組みを提供している。具体的には、「LiveCycle Rights Management ES」と呼ばれるモジュール・コンポーネントを用いて、PDFなどの電子ドキュメントの使用権限を動的にコントロールし、情報資産の確実な保護を行う。
同コンポーネントを用いてPDFファイルを暗号化すれば、「ポリシー」と呼ばれるルールを策定して、ユーザーがファイルを閲覧しようとするたびにパスワードや使用権限の確認が行われるように設定することができる。この場合、PDFファイル自体ではなく、LiveCycle Rights Management ESから指示されるルールに従うように設定されるため、ファイルを配布した後でも、セキュリティ管理者がサーバ側でルールを変更するだけで、配布したPDFの利用範囲を変更することが可能になる。
これにより、契約の解消やデータの紛失、あるいは異動や退職などによる利用権限の削除、担当者変更によるパスワードの変更、印刷制限の変更などを行う必要がある場合に、相手側のPDFをコントロールして、自社の情報資産を守ることができる。
さらに、電子文書作成ツールの「Acrobat 3D」を使って生成したCADデータもPDFと同様に扱うことが可能で、企業の重要な情報資産の1つである設計情報の保護にも対応している。
──そうした機能はコンプライアンスの観点からも役立つと思われるが。
小島氏:ガバナンスやコンプライアンスのニーズにも対応できることは、まさにLiveCycle ESの特徴の1つと言える。いつ、だれが、どこで、どんな操作を行ったかなど、ドキュメントの操作ログを追跡できるため、社外の相手であっても安心して情報を渡すことができるようになる。
──LiveCycle ESにはほかにどのようなソフトウェア・コンポーネントが用意され、それぞれどのようなメリットが提供されるのか教えてほしい。
小島氏:例えば、「LiveCycle Forms ES」というコンポーネントを利用すれば、Flashベースの動的なオンライン・フォームを生成し、フォームに入力されたデータをリアルタイムにPDF形式の申請用ドキュメントや申請フォームに反映することができる。これにより、完成画面を確認しながらフォーム入力を進められるようになり、ユーザーの離脱率の防止にもつながる。
また、「LiveCycle Process Management ES」を用いて、申請、承認、通知といった人がかかわるプロセスを電子化することが可能だ。具体的には、オンライン申請書に入力された情報を直接データベースに取り込んだり、承認プロセスを経たあとで承認の通知を申請者にPDFで送付したりするワークフローを自動化することができる。これらコンポーネントは、行政機関や金融業などにおけるプロセスの自動化に大きな効果をもたらすことが期待できる。
ほかにも、RIA(Rich Internet Application)とLiveCycleサービス、J2EEアプリケーション、およびビジネス・ロジックの統合をサポートする「LiveCycle Data Services ES」や、ダイナミックな2次元バーコードを使用してフォーム・データのキャプチャを自動化する「LiveCycle Barcoded Forms ES」など、さまざまなコンポーネントを用意している。
──LiveCycle ESの今後の展開について聞かせてほしい。
小島氏:企業と顧客、パートナー、従業員などの間に存在する“壁”を取り払い、円滑なビジネス・コミュニケーションを実現するLiveCycle ESを、エンタープライズ市場に向けて積極的に提供していく。アドビとしては、単にデータ連携の高機能化を目指すのではなく、人と情報がかかわるプロセスをどれだけ効率化できるかという点にフォーカスしていく方針だ。LiveCycle ESの今後に注目していただきたい。
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