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【連載】
新時代のITキャリア【トップ・マネジメント編】
第17回 「CIO(Chief Information Officer)」
(2008年05月30日)
【必要な経験/スキル】
個々の製品やサービスを管理するライン・マネジャーとは違い、会社経営を包括的かつ長期的な視点で俯瞰したうえで、情報戦略にまつわる最終的な意思決定を行う能力が要求される。
CEOとビジョンを共有する能力
どの会社にも、事業を進めるうえでの将来像(ビジョン)がある。CIOは、他の役員たちとともに、会社のビジョンを共有し、そのビジョンの実現をIT面でサポートすることが求められる。独り善がりな方針ばかり立てていてはCIOの意味がない。
経営課題に対する理解
長期的なビジョンだけでなく、当面の経営課題についての理解も当然、必要だ。経営課題を理解していないことには、システム開発の優先順はつけられないからだ。
技術力
経営者としての役割が重要だとはいえ、技術に関する知識が乏しければ話にならない。現在の技術動向を把握し、その技術のメリット/デメリットを見極めることができなければ、将来導入する技術を見誤る可能性がある。
【適した人材】
技術トレンドと経営の両方に精通している人材。ただし、「技術のわかる経営者」と「経営のわかる技術者」のどちらがよいのかは、議論が分かれる。一般的にCIOは経営に精通しているほうがよいと言われているが、明確な根拠があるわけではない。
日本の大学や会社では、理系と文系を明確に区別する傾向にある。一般に経営者は文系、技術者は理系出身者が多い。そのため、経営と技術の両方に精通している人材は少ない。
しかし、世界的に見ると、教育体系を理系と文系に区別している国は少数派である。例えば、日本の大学では「経済学部」は文系に属するが、昨今の日本の経済学や経営学は20世紀以降に考案された最新の数学を駆使している。筆者が大学院生時代、ルベーグ積分で悩んでいたら、経済学部出身の同級生がこう言った。
「ああ、それ、ゼミで習った」
昨今の経済学部は工学部以上に高度な数学を駆使しているらしい。
CIOは経営と技術の橋渡しをする。文系/理系といった無意味な区別にとらわれないことが重要だ。
【雇用側が求める能力】
CEOを補佐しつつ、経営陣の課題を解決できる提案力。前回紹介したITコンサルタントにも同様の提案力が要求されるが、CIOがITコンサルタントと違うのは、実際に自分でプロジェクトを担当し、実現までの全責任を負う点である。
CIOが実際にプログラムを書くことは(ほぼ100%)ない。しかし、CIOはプロジェクト実現の責任を負う最高司令官である。プロジェクト・チームを鼓舞しつつ、経営陣やシステム部門とコミュニケーションをとりながら、企業の業績向上(生産性の向上も同意語)に転換させる必要がある。そのため、経営陣だけではなく、システム部門を含めた現場の人間とも深いコミュニケーションが必要となる。
経営者の仕事は、人と人を結びつけることである。CIOも例外ではない。判断基準にITが含まれているが、結局のところ、多くの人をまとめるリーダーシップを発揮できるかどうかが重要なのだ。
【採用の決め手となる“究極の質問”】
ボーナスをあてにして、念願のミシュラン3つ星レストランを予約しました。しかし、会社の業績不振でボーナスが出ませんでした。さて、どうしますか?
「CIOの採用試験」などというものは、実際にはありえないので、ここでは最終ゴールとして、将来、CIOに就けるかどうかの適性という意味で考えてほしい。
この質問に、「予約をキャンセルすればよい話ですよね?」と回答する人は、CIOに向いていない。最終的にCIOを目指そうという人ならば、それなりに経験を積んでいるはずだ。質問の意図を読み取ろうとしない人は論外である。
この質問は、「予期せぬマイナス状況が発生した場合、どのように対処するか」を問うものだ。「3つ星レストランを(個人的に)予約している」状況は、大抵は家族や恋人など、自分にとって重要な人と一緒であることが多い。同行者への対応を優先的に考えると回答した人は、第1段階クリアだ。
では、同行者がレストランでの食事を心待ちにしていたとしよう。その場合は借金しても行くべきだろうか。これは本人の懐事情にも依存するが、無計画な借金してまで取り繕えば、「無茶な人」という印象を与えかねない(ちなみに、ボーナスが出ないことに文句を言う恋人とは、この際別れたほうがよい)。
折衷案として、レストランのランクを1つ星まで落とし、予定されていた支出を抑えることが考えられる。ランクをどこまで落とせるかは同行者との関係次第だ。たとえば「ミシュランガイド東京2008」には、3つ星の中華料理店はない。2つ星の北京料理が最高である。また、1つ星まで下げれば、出費もかなり抑えられる。
同行者に嫌われないという短期的な目標を満たしつつ、自分のキャッシュフローが破綻しないような案を提示し、説得力のあるプレゼンテーションで納得させることができれば、CIOの資質は十分にあるだろう。
【年収】
会社にもよるが、CIOは基本的に役員、経営者層であり、報酬は高い。最低でも1,000万円、多くは2,000万円以上が相場だろう。会社によっては3,000万円を超える場合もある。ちなみに、CIO Magazineによると、米国大企業(年間売上げ10億ドル以上)のCIOの平均年収は34万4,000ドル(約3,600万円)だそうだ。
ただし、リスクもある。CIOは一般の従業員と違い、雇用が不安定だ。給与カットや解雇が簡単にできるし、雇用保険(失業保険)もない。一般社員なら失敗しても降格や人事異動で済むところが、役員だと辞めざるをえない場合も多い。
- 新時代のITキャリア【トップ・マネジメント編】
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- 第3回 「BIアナリスト」
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