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コンプライアンス

[米国]
米国司法省、上院承認の知的財産権施行法案に反対の意を表明

民法、刑法、著作権法の施行権限を司法省に与えるという内容に「われわれがやるべき仕事ではない」

(2008年09月25日)

 米国司法省(DOJ)は9月23日、米国議会上院に上程されている著作権保護のための新たな法案について、「著作権所有者が本来自身でやるべき仕事を司法省が代行することになる」として反対する意向を表明した。

 9月15日に上院司法委員会で承認された知的財産権施行法(Enforcement of Intellectual Property Rights Act)の法案は、民法、刑法、著作権法の施行権限を司法省に与える内容となっている。司法省は、9月23日に上院司法委員会に送った書簡の中で、「司法省の検事が私人である著作権所有者に無償で奉仕することになる。事実上、納税者に支えられている司法省の法律家たちが著作権所有者の代わりに訴訟を起こすことになるうえ、賠償金は業界側に渡ってしまう」と述べている。

米国司法省(DOJ)のWebサイト

 また、司法省は、同省のリソースは限られており、民間企業に代わって著作権侵害に関する情報を集めるということになれば、著作権関連の犯罪行為に振り向けられるべきリソースが奪われるとも指摘している。この書簡には、司法省の主席副長官代理キース・ネルソン(Keith Nelson)氏と米国商務省法律顧問のリリー・フー・クラフィー(Lily Fu Claffee)氏が署名している。

 そのうえで司法省は、「民間企業の著作権を施行するのは、著作権所有者の責任であり、特権である。米国の法律は、著作権所有者に対し、自分たちの権利を守るための有効な法的手段を提供している」と強調する。

 法案には、ホワイトハウス内に知的財産権施行のための部局を設置するよう大統領に求める条文が含まれており、著作権侵害に対する民法と刑法の罰則強化もうたわれている。司法省の書簡は、ホワイトハウスに新たな部局を設置するという条文についても、大統領府の内部構造や構成に立法府が介入することになると指摘する。

 この法案については、音楽産業や映画産業の著作権保護体制が大幅に拡張されるとして、IT業界や消費者団体の間からも反対の声が上がっている。

 バーモント州選出の民主党上院議員、パトリック・リーヒ(Patrick Leahy)氏は、今年7月にこの法案を発表した際、著作権侵害行為に対処するための新たな選択肢を司法省に与えるだけと説明していた。リーヒ氏は、インターネットでの著作権侵害行為を減らすため、政府としても新たな取り組みを進める必要があると強調しており、民主、共和両党の12人の議員がこの法案の共同提案者になっている。

 「インターネットは、われわれの生活に肯定的な変化をもたらしたが、これまでにないような海賊行為の手段にもなっている。知的財産が盗まれれば、米国人全体に被害が及ぶ。偽の品物が正規の品物を駆逐し、偽薬や欠陥のある電気製品と同様、消費者に被害をもたらす」(リーヒ氏)

 デジタル著作物にまつわるインターネット・ユーザーの権利擁護を掲げる民間団体Public KnowledgeとIT業界団体のCCIA(Computer&Communications Industry Association)は、司法省がこの法案に懸念を表明したことを高く評価している。Public Knowledge会長のギギ・ソーン(Gigi Sohn)氏は、「民間企業には、訴訟を起こすのに必要なリソースが十分にある。政府が富裕な著作権所有者のための法律事務所になってはならない」とコメントした。

(Grant Gross/IDG News Serviceワシントン支局)




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