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コンプライアンス

CSR/環境経営の推進にあたってITが果たす役割

環境保護効果を可視化する製品など、この分野への取り組みを強めるITベンダー

(2006年05月19日)

今日の企業は、ヒト、モノ、社会と共存する存在として責任を負うことが求められている。CSRと呼ばれるこの取り組みの一環として、重要性を増しているのが環境保護である。その背景には、消費者の環境意識の高まり、先進国に、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出削減を義務づける京都議定書の発効などがある。そうしたなか、ITベンダー各社は、環境経営への貢献を目的とした製品を本格的に展開しつつある。

小山健治

CSRの一環として取り組むべき環境保護

 企業は、企業理念として、収益向上、社会貢献、コンプライアンスなどを掲げているが、これまでは収益向上が最優先されてきたのは言うまでもない。しかし、個人情報の漏洩、不正会計など不祥事が相次いだことで、利益追求一辺倒の姿勢は社会から厳しい目にさらされている。そうしたなか、単に収益を上げるだけでなく、社会、地域、人々に対するさまざまな責任を果たしてこそ、企業の存在意義があるとする「CSR(Corporate Social Responsibility):企業の社会的責任」という考え方が注目を集めている。

 CSRは、1990年代に欧米から広がり始めた。その背景には、企業のグローバル化、環境問題の拡大などがある。また、米国では、エンロンやワールドコムによる不正会計事件を契機に、コーポレート・ガバナンスについて見直す機運が高まり、CSRの重要性がいっそう増すこととなった。

 もっとも、だからといって、日本企業も欧米に遅れをとることなく、CSRという新たな課題に取り組まなければならないと言いたいわけではない。CSRという言葉そのものが国内で使われだしたのは、ここ最近のことだが、もちろん、日本企業もこれまで社会に対してさまざまな貢献を行い、その責任を果たしてきた。例えば、地域に雇用を創出し、税金を納めていることも立派な社会への貢献である。また、メセナ活動などを通じて、文化や芸術の発展に寄与してきた企業も少なくない。

 しかし、ここで、CSRの定義や範囲は時代とともに移り変わっていくということを認識しておく必要がある。現在、CSRとして、特に高まりを見せているのが、環境保護に対する責任である。1960年代の産業公害をはじめ、日本でも環境問題と企業のかかわりは長年にわたり議論されてきた。ただし、今日の環境問題は、温暖化防止や二酸化炭素の排出量の抑制といったように、地球全体を対象とするものにシフトしつつある。

 そして、企業に対してあらためて環境問題を喚起する大きな契機となったのは、昨年2月に発効された京都議定書だ。京都議定書の正式名称は「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」で、50カ国以上の国によって締結されている。同議定書では、先進国に対して、地球温暖化の原因となる二酸化炭素など温室効果ガスの削減率を国ごとに指定するとともに、それを達成するための仕組みを定めている。

 日本は、2008年から5年間にわたり、温室効果ガスの排出量を基準年(1990年)との比較で6%削減することを義務づけられている。これに伴い、今年4月には改正地球温暖化対策推進法が施行される。同法による規制は、製造業、電力、ガスなど、約3,000社(約2万事業所)に及び、同法の規制対象となる企業は、温暖化ガスの排出量に関する算定や報告などへの対応を強いられることになる。

 今や、環境保護は、企業にとって単なる企業理念や経営方針の延長線にあるものではなく、義務が伴うコンプライアンスの一環で取り組むべき課題として浮上してきたのである。

ITの活用が結果として環境保護に結び付く

 環境保護の重要性の高まりとともに、ITベンダー各社も環境関連のビジネスを活発化させつつある。環境マネジメントの国際規格「ISO14001」の認定取得を目的とした環境マネジメント・システム、環境を配慮したシステム設計の支援、部品に有害化学物質を使わないグリーン調達、省エネ・省資源管理、廃棄物管理、リサイクル管理といった分野において、製品提供が始まっている。

 例えば、NECは先に述べた地球温暖化対策推進法の改正を踏まえ、昨年11月に温室効果ガスの排出量の算定から、評価・分析、削減計画の立案、報告書作成、検証監査までのライフサイクル全般にわたって支援する温暖化対策ソリューション「SustainaSolution/GHG」の販売を始めている。同ソリューションは、規制に対応することによって発生する業務負荷の軽減、温室効果ガスの排出削減に必要なコストの削減といった導入効果をもたらすものだ。

 ただ、このような直接的なソリューションは、裾野の広い環境関連ビジネスの世界から見れば、ほんの一部にすぎないのも事実である。環境とは直接関係のない業務であっても、そこにITを適用することによって最適化や省力化、効率化といった効果を生み出し、それが結果として環境保護に結び付いていくことがある。

 例えば、ネットワークを活用することでヒトやモノの無駄な移動を減らすことができれば、交通機関が使用するエネルギー資源の消費が削減される。また、POSシステムや生産管理システムなどを活用して在庫の最適化を図ることで、物流センターや倉庫の利用の効率化とそれらの運用管理に要するもろもろの削減が実現される。あるいは、音楽や映像の配信、新聞・書籍などの出版の電子化が進むことによって、紙やプラスチックなど記録媒体に費やされる資源の消費を抑えることが可能になる。

 実際には、こうした大から小までのさまざまなIT活用が環境保護に大きく貢献する。今、ITベンダー各社は、この広範な領域に向けた環境ソリューションの提供に動き始めている。その例として、富士通の取り組みを紹介しよう。


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