【 ここから本文 】

コンプライアンス

ソーシャルブックマークに登録 : Yahoo!ブックマークに登録 はてなブックマークに登録 del.icio.usに登録 newsing it!に登録 Buzzurlにブックマーク livedoorクリップに登録 Slashdotにタレコむ イザ!ブックマークに登録 Twitterでつぶやく
print 印刷用ページの表示


コンプライアンス

CSR/環境経営の推進にあたってITが果たす役割

環境保護効果を可視化する製品など、この分野への取り組みを強めるITベンダー

(2006年05月19日)

環境負荷を低減する製品の自社認定を進める富士通

 富士通は、環境にかかわる同社の取り組みとして、「環境業務ソリューション」と「環境貢献ソリューション」の2つを提供している。前者は顧客の環境関連の業務を支援するためのソリューションであり、後者は環境負荷の低減に貢献するための全般的なソリューションである。ここでは、後者の環境貢献ソリューションを取り上げる。

 同社では、自社製品について、その導入前後における環境負荷の低減効果を評価し、一定の基準を満たすものを環境貢献ソリューションとして認定し、環境シンボルマークを付与している。同ソリューションとして認定された製品の適用分野は幅広く、経営管理システムをはじめ、グループウェア、流通(POS)、文書管理、CRM、ERP、教育、電子調達、施設管理など、企業や組織で用いられる主要な業務システム/アプリケーションを網羅しているといっても過言ではない。

 だが、同社環境本部SD企画統括部プロジェクト部長の串間洋氏は、「率直なところ、環境保護を直接の目的として環境貢献ソリューションを導入するケースは少ないかもしれません」と語る。

 というのも、企業がITを導入する目的は、あくまでも新規ビジネスの展開や業務の改革/効率化にあるからだ。ただし、環境保護への意識が高まるなか、企業がそうした姿勢を打ち出すことは消費者に対する自社のブランド・イメージの向上といった競争力を生むことになるという。串間氏は、企業・組織における環境保護の本質は業務の無駄を極力省くことにあり、裏を返せばコスト削減の追求にほかならないと強調する。「どの企業も、せっかく新しいITシステムを導入するのであれば、環境への効果もきちんと評価されているものを選んだほうがよいという判断に至るというわけです」(串間氏)

 こうした状況を踏まえ、環境保護に貢献するという付加価値を提供することで、自社製品のメリットをアピールしていくというのが富士通の方針だ。

 「現在までに、46製品を環境貢献ソリューションとして認定しています。今後も評価を進め、このソリューションを拡充していく考えです」(串間氏)

 同社の環境貢献ソリューションにおいて注目すべきポイントは、ITシステムが環境に与える影響を客観的に把握するために、多岐にわたる環境要因について定量的な評価を行っていることだ。どれだけ声を大に環境貢献をアピールしても、何らかの裏づけがなければユーザーの納得は得られない。そのベースとなっているのが、次節で説明する富士通研究所が開発した「ソフト・サービス環境影響評価手法」である。

環境効果をCO2排出量で表すソフト・サービス環境影響評価手法

 ソフト・サービス環境影響評価手法では、ITの導入効果を“環境のモノサシ”によって環境効果を具体的に示す数値に変換している。つまり、ユーザーに対して、ペーパーレス、生産性/作業効率向上などの導入効果を二酸化炭素排出量という具体的な数値に変換し、見える指標として提供するのだ。

 具体的には、富士通が提供するソフトウェアやサービスを、(1)モノの消費量、(2)ヒトの移動量、(3)モノの移動量、(4)オフィス・スペース、(5)倉庫スペース、(6)廃棄物量、(7)IT/ネットワーク機器の電力使用量、(8)ネットワーク・データの通信量という8つの環境影響要因に基づき、導入する前後の二酸化炭素排出量を算出する。ITの導入に伴い、(1)〜(6)の変化は二酸化炭素排出量の削減をもたらし、(7)、(8)は増加につながることが多い。サーバやネットワーク機器といったIT機器を新たに導入すれば、当然のことながら、電力使用量やネットワークを流れるデータ通信量の増加につながり、それによって、二酸化炭素排出量が増えていくため、その影響を考慮に入れなければならない。そこで、二酸化炭素排出量の削減に対するプラス要因とマイナス要因を合算し、トータルでどれくらいの二酸化炭素が削減可能なのかを明らかにすることで、指標となる数値が算出される。

 富士通研究所が開発した評価システムでは、上に挙げた8つの要因について、それぞれの単位量当たりの二酸化炭素排出を換算する係数を環境影響要因データベースに格納し、その係数と独自のアルゴリズムを有するツールによって評価を行っている(図1)。その結果に基づき、導入後の二酸化炭素排出量の削減率が15%以上であるソフトウェアやサービスを、環境貢献ソリューションとして認定しているのだ。


図1:富士通の環境貢献ソリューション導入前後の二酸化炭素排出量の比較

 もっとも、二酸化炭素排出量の換算係数を定めるにあたって、公的にオーソライズされた数値があるわけではない。したがって、この換算係数をいかにして客観的な指標として導き出すかということが、この評価システムのキモであると同時に、最も困難な問題であったという。そこで、同研究所は、この換算係数の基礎となるデータをさまざまな研究論文や産業年鑑の統計値などから収集し、試行錯誤を重ねてきた。前出の串間氏はこう説明する。

 「例えば、オフィス・スペースに関しては、日本ビルヂング協会連合会の調査結果における平均的な企業での1人当たりの占有スペースや、オフィスの照明や空調が消費する1平方メートル当たりの電力などの統計データを参考にしています」

 さて、ここで、富士通が環境貢献ソリューション認定製品として提供している製品がもたらす二酸化炭素排出量の削減効果を見ておこう。

 まず、人事・総務関連のワークフロー・パッケージ「GLOVIA/MyOFFICE」は、人事・総務・労務関連の業務において、紙伝票に手書きで記載およびファイリングが行われていた業務を電子化することで、作業の効率化と紙の使用量の削減を実現する。同社の評価手法による導入効果は、28.6%の二酸化炭素排出量削減となっている(図2)。


図2:富士通の「GLOVIA/MyOFFICE」による環境負荷削減の効果

 また、e-ラーニング・システム「Internet Navigware」は、従業員がWebを用いて自席で自由な時間に社内教育を受講できるようにする製品だ。したがって、全国の拠点から本社に従業員を集めて教育を行っていた企業が同製品を導入した場合、ヒトの移動に伴う資源の消費を大幅に削減できるようになる。数値としては、実に93.1%もの二酸化炭素排出量の削減が可能だという(図3)。


図3:富士通の「Internet Navigware」による環境負荷削減の効果

前のページへ < 123 > 次のページへ



関連記事

▲ページの先頭へ戻る



キャッチアップ

地球温暖化対策を統括する「CIM」は、CIOの新しいミッション

「ITに精通し、炭酸ガス排出量削減の取り組みを主導できるのはCIOしかいない」

PCの誤設定で人生を棒に振った不運な男の話

悲惨としか言いようのない出来事も一歩まちがえれば「明日は我が身」

IT業界の識者たちが語る「新時代の情報セキュリティ」

Web 2.0や内部起因リスク、コンプライアンスとセキュリティの関係に着目せよ

【IDC調査】国内コンプライアンス市場規模、2012年には1兆8,200億円に

「グリーンIT」が次世代のコンプライアンス関連のIT基盤となる可能性も

【CompTIA調査】ITスタッフにセキュリティ・スキルを強く求めるも、十分なレベルに達せず

スキル不足の原因を半数以上が「技術進化のペースが速すぎるから」と回答

「継続的なコンプライアンス」を確立せよ

GRCの統合アプローチで、企業価値の向上を目指す

「予防」と「発見」の両面からコンプライアンスに取り組む

事例に学ぶ、上場企業におけるツールの選定理由と運用状況

SOX法のコンプライアンス──5年目の真実

ボーイングの教訓から適切な監査レベルを学び取れ

日本版SOX法の最新事情/対応のポイントを知る

金融商品取引法の要点と内部統制評価の進め方を指南

コンプライアンス時代の情報セキュリティ・ポリシー

英国の事例から情報セキュリティ対策の有効策を探る

情報統制

電子メール・アーカイブの構築を急ぐ米国企業

「訴訟対策」にとどまらない多大なメリットに期待

エンタープライズ・データを守れ

担当者が負担に押しつぶされず、企業にとって価値のある情報を保護するために

ILMの導入で、IT運用コストを引き下げろ!

ILMを成功裏に導入するための“6つのステップ”

全社レベルでコンテンツを“統制”する「ECM」

今日のコンテンツ管理製品分野における最注目領域

コンプライアンスを重視したメール運用管理の実際

ECM/CMSではカバーしきれない最重要コンテンツ

“完全なる”ペーパーレス・オフィスの実現に向けて

「もはや企業に選択の余地はない!」

CDWの事例に見るストレージ統合の教訓

バックアップ・データを80%削減

メール経由の情報漏洩を「させない」4つのアプローチ

Winnyよりも身近なセキュリティ・リスク。ユーザーまかせは絶対危険!

「リサイクルHDDによる情報漏洩」

コンプライアンス対応の教訓

トレンド・ウォッチ

米国政府、IT製品の製造段階で仕込まれるバックドアへの対策に本腰

旧式化したネットワーク周辺防衛システムを刷新し、頻発するサイバー犯罪に対抗(2008年09月16日)

NRI、新貸金業法対応を支援する金融機関向けASPサービスを発表

指定信用情報機関への接続をサポートし、金融機関の負担を軽減(2008年06月25日)

米国小売企業の半数がデータ漏洩を経験――そのほとんどは公表されず

「われわれが耳にするよりはるかに多くの事件が起きている」(2008年05月27日)

【IDC調査】国内コンプライアンス市場規模、2012年には1兆8,200億円に

「グリーンIT」が次世代のコンプライアンス関連のIT基盤となる可能性も(2008年04月03日)

富士通、金融庁EDINET対応の財務報告データ作成ソフトを発表

XBRL形式の財務諸表を容易に作成可能に(2008年03月11日)

【AMA/ePolicy調査】米国企業の50%以上が「メール/ネットの濫用」で従業員を解雇

66%が社員のインターネット接続状況を監視(2008年02月29日)

【Symantec調査】企業のITリスク管理が進展、総合的・バランス重視の傾向に

セキュリティ技術重視の企業は減少(2008年02月01日)

2007年、プライバシー/データ侵害は依然として蔓延

米国では企業の6割以上が個人情報の侵害を経験(2007年12月26日)

「車両荒らし」で浮き彫りになった、オフサイト・データ暗号化の必要性

専門家が警鐘――すべてのバックアップ・データは暗号化せよ(2007年10月26日)

アウトソーシングでサービスの安全性を担保するSaaSベンダー

事例に見るデータセンター・アウトソーシングのセキュリティ効果(2007年10月09日)

【シスコ調査】企業で増大し始めたワイヤレス運用のセキュリティ・コスト

IT導入担当者の4分の3が支出増加を予想(2007年09月04日)

[連載]情報漏洩100%対策

第1回:情報漏洩対策の根本を考える

あらゆるリスク、ケースを徹底検証

第2回:ネットワーク運用からのアプローチ(1)

「内部から外部への通信」におけるリスクと対策

第3回:ネットワーク運用からのアプローチ(2)

「内部ネットワーク内の通信」におけるリスクと対策

第4回:PC/記録媒体からのアプローチ

クライアントPC/デバイスを管理する

第5回:「人」からのアプローチ

認証、教育などの体制を整える

第6回:インターネット掲示板の統制法

誹謗中傷などの問題に対処する

第7回:営業秘密の漏洩をいかにして防ぐか

不正競争防止法と企業の管理体制

Weekly Ranking

集計期間:01/01〜01/07



Computerworld Global
米国
英国
中国
ドイツ
オーストラリア
シンガポール
その他の国