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コンプライアンス

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“完全なる”ペーパーレス・オフィスの実現に向けて──「もはや企業に選択の余地はない!」

(2006年08月22日)

コンプライアンスには
やっぱりハード・コピーが欠かせない

 一方、契約書などの文書は、法律上あるいは各種規制の関係から、現在も紙ベースであることが義務づけられている。バンク・オブ・ニューヨークのサム氏は、この先もその方向に変化はないだろうと見る。「コア・ビジネスが電子化されても、契約書、合意書、銀行の融資関係書類などは、この先も紙のままだろう」(同氏)

 もちろん、法的な文書もデジタル・スキャンされることにはなろうが、そうした電子バージョンは、あくまで補完的なものにすぎないというのである。

 レイモンド・ジェームス・ファイナンシャルの製品マネジャー、アーニー・ハリス氏は、「もし法的拘束力のある書類が電子形式のみで処理されているとしたら驚きだ」と語る。

 同社では、受け取った文書やファクスに関してはイメージング技術を利用して電子化しているが、顧客との取引から紙をなくすことは法令上や規制上、あるいは署名という形式が好まれる文化的な側面などからして、かなり難しいという。同社では毎月、顧客口座の開設、更新、変更などに関する数十万件のやり取りを、紙ベースで処理している。

 そうした紙の書類は、あっという間に膨れ上がる。ハリス氏によると、会社を引退した人が同社の新規顧客になる場合、最低でも6つの口座を開設し、20枚から30枚の用紙にサインしなければならないという。しかも、現在、同社が受け取る取引関係書類の50パーセントは、郵便かファクスによるものだ。

 この問題に対処するため、レイモンド・ジェームス・ファイナンシャルは現在、共通のフォームとモジュールを顧客のニーズに応じて自在に組み合わせることによってダイナミックに文書を構成することのできるシステムを開発中だ。「現在、1、2枚、あるいは3枚程度の書類にサインするだけでOKというような、これまでの手間を大幅に省くことのできるシステムを検討している」とハリス氏は打ち明ける。

 デジタル署名技術が広く普及することになれば、法律関係の書類のいくつかは姿を消すことになろう。ハリス氏はいま、その方向に向けてデジタル署名技術の1つを評価中だ。しかしながら、同氏はデジタル契約書が紙ベースの契約書をすぐにも駆逐してしまうとまでは考えていない。「われわれは、紙とペンで何百年もうまくやってきた。そんなところにデジタル技術がすぐに浸透するものだろうか」と、むしろその先行きには懐疑的なのだ。

 しかしながら、デジタル署名への移行によってもたらされるメリットは計り知れない。ハリス氏も、「サービス・レベルは飛躍的に進歩する。その結果、当社の例で言えば、顧客は数分のトランザクションで新規口座を開設、利用できるようになるだろう」と、その効用を説く。

 他方、紙は保管メディアとしての役割も終えようとしている。バンク・オブ・ニューヨークでは、1997年にスキャニングを開始して以来、約2億9,000万件の書類を画像に変換してきたという。また、IDCのアナリスト、ケイス・クメッツ氏は、「PDFなどのイメージング技術が普及したことで、保管メディアとしての紙は確実に役割を終えつつある」と語る。さらに同氏は、「永久保存に、もはや印刷という手段は必要ない。おそらく紙は今後、情報の一時的なリポジトリとしてしか利用されなくなるだろう」と続ける。

 ただし、使い捨てのプリント・アウト──破棄を前提とした電子文書の一時的な出力──は、今後もなくならないだろう。印字のコントラストや紙の感触には、やはり捨て難いものがあるからだ。そうしたプリント・アウトは特定の分野で今後も増え続けるかもしれない、とクメッツ氏は言う。ただしその場合、企業では、だれがいつプリント・アウトしたかをトラッキングする文書管理システムの導入が必須となろう。


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