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コンプライアンス

【解説】
“完全なる”ペーパーレス・オフィスの実現に向けて

「もはや企業に選択の余地はない!」

(2006年08月22日)

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“ペーパーレス技術”最前線

 ペーパーレス化を巡るせめぎ合いは、現在、企業と顧客や業者が直接やり取りする領域へと移っている。そしてそこでは、さまざまなタイプのトランザクションがいまだに紙ベースで行われている。ということはつまり、それだけ大きなコスト削減(ペーパーレス化)のチャンスがそこに潜んでいるということでもある。

 例えば、Webベースの受注システムは紙によるトランザクションの有力な代替手段となる。ただし、いかに機能的に優れていようと、顧客が興味を示さなければ、技術の交代は起こりえない。ワールプールの北米地区サプライチェーン戦略担当上級マネジャー、ボレン・ノバコヴィック氏は、「1990年代前半、われわれは、今後だれもがインターネット(Webベースの受注システム)に向かうものだとばかり思っていた。だが、それから5年を経て、いま現実を見ると、紙の使用量は当時よりもかえって増えている」と苦笑する。問題は、同社が毎年150万件もの注文を住宅建築業者から受け取ることだ。しかも、そのほとんどがファクスで送られてくる。つまり、彼らの多くが屋外で仕事をしており、インターネットにアクセスできない環境にあるため、ワールプールはファクス受信機を撤去するわけにはいかないのである。「業者がファクスで注文書を送ってくる限り、われわれはそれを拒否できない。拒否すれば、その注文書は別のメーカーのもとへ送られるだろう」とアーマン氏は苦渋の表情を浮かべる。

 現在、ワールプールは、受信したファクスを紙に出力せず、エスカーが新たに開発した文書交換システムを利用してイメージに変換し、IBM DB2 CommonStoreリポジトリにアーカイブしている。同社は、次のフェーズで、現在パイロット段階にあるOCR(光学式文字認識)技術を本格導入し、受信したファクスから自動的にデータを抽出して受注処理を行い、注文内容確認用のファクスを返信するためにSAPシステムへと転送するような仕組みを考えている。ワールプールは、この方法により95パーセントの確率で受信ファクスのデータを読み取れるようになると見込んでいるが、実際の成功率は、顧客にどこまで標準形式のフォームを利用してもらえるかによって決まることになる。

 もしワールプールが標準化やビジネス・プロセスの改善を行うことなく、単純に紙ベースからデジタル・ベースへの変換を図ろうと考えるのであれば、おそらく「悪夢のような事態を迎える」(ノバコビック氏)ことになるだろう。

 他方、レイモンド・ジェームス・ファイナンシャルも、OCRを利用して文書イメージからデータを抽出することを計画している。その計画の妨げとなっているのは、顧客がときどき手書きでフォームを変更してしまうことだ。ハリス氏は、そうした行動を抑制するためには、ルールづくりが不可欠だと強調する。そんな同氏が最終的に目指すのは、ファクスで受信した注文を完全に自動処理できるビジネス・プロセスの構築だ。「もしそれが実現すれば、大幅な人員削減が可能になる」と同氏は期待する。しかしながら、近い将来それが実現する可能性は低い。

 レイモンド・ジェームスは現在、イージーリンク・サービスの自動ファクス・サービスを利用している。このサービスは、受信したファクスのイメージをキャプチャしてイージーリンクに転送し、OCRを使って内容の一部を抽出するというものだ。ただ、文書イメージについては問題ないものの、すべてのフォームをOCRがカバーできているわけではない。イージーリンクのマーケティング担当副社長、ビル・ファロン氏は、「レイモンド・ジェームスが求める精度を完全に保証することはできない」とし、受信したファクスを1件ずつ手作業で確認していることを認めている。

 バンク・オブ・ニューヨークもまた、イメージからデータを抽出するという取り組みを進めている。「われわれの顧客ベースの大きな部分を法人が占めているが、彼らの中には独自のフォーマットを使用しているところもあれば、まったくフォーマットを使用していないところもある。そのため、OCRで読み取るしかない」とサム氏。

 もっとも、同行のビジネス・トランザクションはほとんどオンラインに移行している。それでも「紙はなくならない」(サム氏)し、なくならないかぎりは、それをサポートし続けていかなければならない。

 なお、現在、同行に届く紙の文書はすべてスキャンされ電子化されているが、コンプライアンスや法律上の問題があるため、オリジナルの(紙の)文書も必ず保管するようにしている。全体的に見ると、紙ベースの文書の比率は徐々に低下する傾向にあるが、郵便やファクスで送られてくる文書の絶対量はいまだに膨大だ。

 手作業による処理コストがますます増大する中にあって、コスト削減の可能性を秘めたペーパーレス化は、いまだに残る紙ベースのプロセスをビジネスから駆逐するうえで強力なインセンティブになりつつあるのである。

紙に取って代わるデジタル技術

 ユーザーが紙からデジタル技術へ移行しようとしないのであれば、紙そのものをデジタル化すればよいではないか──そんなアプローチを採用しているのが、タラリオのXpaper署名キャプチャ・システムだ。このシステムを使えば、物理的な文書のスキャンという方法に頼らずに、デジタル・コピーを作成することができる。

 Xpaperは、デジタル・ペンと、ペンの位置を補足するための識別機能およびグリッド・パターンを持ったデジタル・ペーパーによって構成される。サウスダコタ州ブルッキングスに本拠を構えるタラリオの社長、ティム・オーゲンバウ氏によれば、「特殊な紙を使って印刷したフォームにデジタル・ペンで記入し、ペンをドックに差し込めば、デジタル・コピーが出来上がる」という。ユーザーは、Windowsアプリケーションを使ってフォームを作成し、PDFフォーマットに変換する。署名がキャプチャされると、それがそのフォームに埋め込まれるという仕組みだ。

 「Xpaperは署名された文書の代わりを務めることはできないが、それを補完することはできる」とオーゲンバウ氏は主張する。また、Xpaperはデジタル・イメージをワン・ステップで作成し、スキャンの手間を省く。さらに、スキャンしたものとは異なり、署名を含んだPDFファイルを検索することも可能だ。ただし、シート当たり15セントのコストがかかるため、「革新的な技術ではあるが、問題解決の決定打にはならないかもしれない」(インフォトレンド/CAPベンチャーのアナリスト、メリリン・ダン氏)といったような、懐疑的な意見も聞かれる。

 だが、オーゲンバウ氏は、「この技術は、紙の特性を維持したまま処理を効率化でき、迅速な報告や請求業務を可能にする。一部のトランザクションには最適だ」と、強気の姿勢を崩さない。

(Computerworld.jp)


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