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【連載】
新時代のITキャリア【システム運用管理編】
第13回 「ネットワーク管理者」
(2007年12月12日)
IT業界では常に新しい技術が誕生している。そしてそれに伴いさまざまな職種や役職が誕生している。本連載では、IT業界の職種を取り上げ、その仕事内容や必要とされる能力、労働条件や待遇といったものを紹介していくことにしたい。今回は、システム運用管理職の中でも、“縁の下の力持ち”的な存在の「ネットワーク管理者」を取り上げよう。
横山哲也
グローバル ナレッジ ネットワーク、マイクロソフトMVP
【職務概要】
今やネットワーク機能が利用できないコンピュータはないと言ってよいだろう。きわめて高度なセキュリティが要求される特殊なケースを除き、コンピュータのネットワーク機能はあたりまえとなっている。しかし、“つながって当然”なだけに、ひとたびトラブルに見舞われたときの被害は大きい。ネットワーク管理者は、社内のネットワークが快適に利用できるよう維持/管理する任務を担っている。
ネットワーク管理者は、職種的にはシステム管理者の一部である。しかし狭義のシステム管理者が扱うのは、OSやその上で動作するソフトウェア(アプリケーション)、OSが動作するハードウェア(サーバ)に限定されている。
一方、ネットワーク管理者はルータやスイッチなど、OSとは独立して動作するネットワーク機器を管理する。最近では扱う対象が違うことから、ネットワーク管理者とシステム管理者を別の職種として扱うケースが増えているようだ。ただし、組織によっては今でも広義のシステム管理者がネットワークを管理することもある。転職をする場合には、転職先のシステム管理者の仕事内容をキチンと確認しよう。
【存在意義】
ネットワーク管理者は、あらゆるコンピュータ機器に対する適切な接続性を維持する。もしネットワーク・トラブルが発生した場合は、早期に原因を発見し、解決する役割を果たす。
通常、OSやアプリケーションのエラーは、エラー・メッセージが表示される。またサーバなどの障害も、BIOSやデバイス・ドライバを通してエラー・メッセージが表示される。
しかし、ネットワークのエラーは「通信できない」「通信が遅い」という現象は発生しても、エラー・メッセージを目にすることはほとんどない。こういった目に見えないエラーを予防することが、ネットワーク管理者の“使命”とも言える。
【必要な経験/スキル】
担当するシステムのネットワーク構成やネットワーク技術に関する知識は必須である。また、そのネットワークが業務に与える影響範囲についても熟知しておかなければならない。
ネットワーク構成を把握する知識とスキル
社内ネットワークの構成を的確に把握する能力。通常、社内ネットワークの構成はシステム設計時に決定されるが、そのあとの変更はきちんとドキュメント化されていなかったり、メンテナンスが不十分だったりすることが多い。そうした場合、ネットワーク管理者は、各種管理ツールや目視によってネットワーク構成を識別しなければならないことがある。
ネットワーク接続にまつわるコンピュータのトラブルの多くは、ケーブルやコネクタの不具合で発生する。これらのトラブル対応もネットワーク管理者の仕事である。
ネットワーク・プロトコルの知識
アプリケーションが使用するプロトコルの特徴は知っておく必要がある。また、基本的なプロトコルについては、パケットの内容を理解できるようにしておきたい。
ネットワーク機器の知識
最近のルータやスイッチは高機能化しており、メンテナンスには多くのコマンドを実行する。利用するコマンドは機種ごとに違うので、一般的な概念と、実際に実行するコマンドの両方を習得する必要がある。
最近引く手あまたなのは、シスコシステムズの認定資格を持った技術者である。現在の職場でシスコのネットワーク機器を扱っていないとしても、転職を考えている場合にはシスコ認定資格を持っていると有利だろう。
【適した人材】
システム管理者に向いていない人は、ネットワーク管理者にも向いていない。システム管理者の適性があることを大前提として、ネットワーク管理者にはさらに裏方に徹することができる人材が求められる。
ネットワークは正常稼働が“デフォルト”である。しかもそれは人目につかない。狭義のシステム管理者以上に通常時は感謝されず、トラブル時に非難される傾向にある。こうした状況を受け入れることができる度量が必要だ。
【雇用側が求める能力】
実際に社内のネットワーク機器を構成し、保守できる能力。アプリケーションやOSはGUI化が進んでいる。しかしほとんどのネットワーク機器の管理は、依然としてコマンドを実行する必要がある。
またシステム全体を把握する能力も重要だ。日本のイントラネット管理者の多くは、UNIX系の出身である。イントラネット、つまりTCP/IPネットワークはUNIXで成熟したためだ。しかし、古いUNIXのTCP/IPの規格と現在の規格では異なる点もある。また、同じ規格に準拠していても、WindowsとUNIXでは実装が異なる場合もある。
このような場合、どちらか一方を“悪”と決めつけ排除するような態度は、ネットワーク管理者として望ましくない。雇用者はそのような判断を望んでいるのではなく、解決策を提示できる能力を求めているのだ。
【採用の決め手となる“究極の質問”】
「だれにも気づかれない仕事を誇りに思えますか」
ネットワーク管理者の仕事は表舞台に出ない。例えば、1998年の長野オリンピック公式Webサイトは、世界中からのアクセスに耐えるため、1日1億アクセスを想定したシステムが構築された(※)。当時の「Yahoo!」(日本語版)のアクセス数が1日約500万アクセスだから、1億という数字がいかに大きいかわかるだろう。
これだけの大規模なシステムであれば、運用についても細心の注意が求められる。しかし、長野オリンピックの公式Webサイトが大きなトラブルを起こさなかったと記憶している人は少ないだろう。仮に記憶していたとしても賞賛されるのはネットワークを設計したチームであって、運用したチームではない。システム管理とはそれくらい目立たない仕事である。
前回のシステム管理者に適した人材として「ピッチャーよりもキャッチャー、タレントよりもマネジャー」としたが、ネットワーク管理者はさらに地味な存在だ。だが、地味な仕事でも彼らがいないと企業のITはたちまち窮地に陥る。地味ながらも非常に重要な任務に情熱を持ってあたれるかどうか、考えてみてほしい。
※「情報処理」1998年2月号「長野オリンピックのネットワークと情報提供システム」(重近範行/中村修/笹川信義/村井純)
【年収】
基本的にシステム管理者と同様、500万円から800万円程度が“ボリューム・ゾーン”だろう。ただし、最近はネットワーク管理者が慢性的に不足しており、同じ経験年数なら(狭義の)システム管理者よりもネットワーク管理者のほうが年収は高いようだ。
とはいえ、この状況が今後も続くかどうかはわからない。本来、ネットワーク管理はシステム管理の一分野であるため、給与差は縮まるという意見と、ネットワーク管理には固有のスキルが必要なため、給与水準は“高値安定”するという意見がある。
- 新時代のITキャリア【システム運用管理編】
- 第1回 「オフショア・プロジェクト・マネジャー」
- 第2回 「ベンダー・マネジャー」
- 第3回 「BIアナリスト」
- 第4回 「IT財務責任者」
- 第5回 「下流プログラマー」
- 第6回 「上流プログラマー」
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- 第13回 「ネットワーク管理者」
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