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「マルチテナントとマッシュアップがソフトウェアの未来を切り開く」――セールスフォースCEOのベニオフ氏
(2006年07月07日)
セールスフォース・ドットコムは7月7日、東京都内のホテルでプライベート・コンファレンス「Success On Demand Tour 2006 Summer」を開催した。基調講演では、創業者でCEO(最高経営責任者)のマーク・ベニオフ氏が、自身の操作によるデモンストレーションを交えながら、同社のオンデマンド・アプリケーション・プラットフォーム「AppExchange」の特徴や、同プラットフォームが実現する「ソフトウェアの未来」について語った。
河原 潤
本誌編集長
今、エンタープライズ・ソフトウェアの分野で最もホットなキーワードの1つにSaaS(Software as a Service)がある。一般に、インターネットを介して提供されるソフトウェアのホスティング・サービスを指すこの言葉だが、形態としては従来からあるASPモデルの延長線上にあるものだ。
CRM/SFAのホスティング・サービスで躍進したセールスフォースは、今後、AppExchangeを基盤に、サーバ・アプリケーションからOS、デスクトップ・アプリケーションに至るソフトウェアの全域でSaaSモデルを提供しようとしている。「ソフトウェアの未来─SaaSがもたらす経営のスピードと柔軟性─」と題した今回のコンファレンスでは、そうした同社のSaaS論が展開された。
| マーク・ベニオフ氏は、さまざまなアプリケーションやデータを、Webにアクセスするユーザー全員で共有できることの価値を訴えた |
基調講演は、約1年ぶりの来日となるベニオフ氏だ。同氏は、カンファレンス・テーマと同名のテーマを掲げ、「次世代のソフトウェアに求められる10の要件」を1つずつ説明していく形で講演を進めていった。以下が、ベニオフ氏の言う10の要件である。
「マルチテナント方式の共有システム」「高性能と高信頼性」「ビジネス・アプリケーションの民主化」「大量データによるカスタマイゼーション」「マッシュアップ」「Webサービス・ベースとの統合」「開発環境をサービスとして提供」「アプリケーションの選択」「マルチ・アプリケーションの提供」「マルチ・デバイスの提供」
これらのうち、ベニオフ氏が講演を通じて再三強調したのは、マルチテナントとマッシュアップの2つである。
ベニオフ氏は、マルチテナントを従来型のASPとの違いを端的に示す言葉として用いている。同氏は、顧客の持つ複数のソフトウェアおよびバージョンが孤立した形で存在する従来型のASPモデルをシングルテナント型と呼び、個別にかかる高い運用コストや遅れがちな機能拡張・追加のタイミングを指摘した。
「AppExchange最大の価値は、各種ソフトウェアがマルチテナント型で共有されている点にある。このマルチテナント型の共有システムは、ユーザーがたった1人の場合から、100人、千人、5,000人、そして1万人の大規模環境に至るすべての顧客に対して、平等に最新の機能を提供する。これは、いわばビジネス・アプリケーションの民主化である」(ベニオフ氏)
| AppExchangeとグーグルの地図情報サービス「Google Map」のマッシュアップのデモ |
そして、Web 2.0の代表的な要素の1つであるマッシュアップについてベニオフ氏は、デモをみずから行いながら説明した。同氏は、AppExchangeのユーザー・ポータル画面上に「Google Map」や「Adobe Acrobat Online」、「Writely」(Ajaxを採用したオンライン・ワープロ・サービス)といった、さまざまなWebアプリケーション/サービスを呼び出し、それらとAppExchangeが連携することで可能になる機能を披露した。
「Web 2.0という今、インターネット上で起こっている革新とAppExchangeを組み合わせることで、また新たな革新や価値が生み出される。これがマッシュアップだ。Web上でAPIが公開されているサービスはすべて、AppExchange上で部品のように利用することができる。すべてがWeb上に公開されているということは、もはや、ソフトウェアの未来の前提である」(ベニオフ氏)
今から2年前、ベニオフ氏は、「パッケージ・ソフトウェアは早晩その生涯をまっとうする」という過激なメッセージを発して論議を呼んだ。当時、このメッセージには懐疑的な向きも多かったが、SaaS、Web 2.0といった今起きている潮流と、何よりその後の同社の業績が、同氏の自信を揺るぎないものにしているのは想像に難くない。
もちろん、ライバルたちが同社の躍進を、ただ指をくわえて眺めているはずもない。セールスフォースに最も近い競合と見られるネットスイート、オンデマンド・アプリケーション市場への注力を強めるSAPやオラクル、そして、コンシューマーのみならず、小・中規模企業での利用も視野に入れた「Windows Live」を発表したマイクロソフト──これらのベンダーが、市場でどのような差別化を図ってくるのかにも注目したい。
- セールスフォース・ドットコム
- http://www.salesforce.com/jp/
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