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「デル神話」は続いているのか。PC市場の革命児の今を追う

新社長の下、顧客満足度の向上、エンタープライズ事業の拡大に強い意欲を見せる

(2006年09月01日)

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エンタープライズ事業のもう1つの柱となる「DPS」

 エンタープライズ/サービス事業拡大のもう1つの柱が、「デル・プロフェッショナル・サービス(DPS)」の強化だ。DPSは、「システム統合」、「レガシーマイグレーション」、「ITインフラストラクチャのマイグレーションやアップグレード」、「新規ITインフラ構築」といった4つの領域にわたるサービスで、アセスメントから設計、検証、導入、サポートまでエンド・ツー・エンドで提供される。すでに数億円単位のシステム構築の実績を有しており、エンタープライズ事業の拡大に向けたスプリングボードとなっている。

写真9:デル・プロフェッショナル・サービス事業部兼アドバンスド・システムズ・グループ技術本部長の諸原裕二氏

 デル・プロフェッショナル・サービス事業部兼アドバンスド・システムズ・グループ技術本部長の諸原裕二氏(写真9)は、「第9世代サーバの投入により、DPSに対する要求範囲が広がるのは明らか。サービス・メニューを増やし、フォーカス・エリアを拡大していく」と語る。

 これに合わせて今年7月には、パートナー企業がリモート・アクセスしてベンチマークを行えるHPCC(High Performance Computing Cluster)ラボを開設するほか、「今後1年半で、DPS部隊を現在の100人体制から200人体制へと拡充する」(諸原氏)と陣容拡大にも積極的だ。

 メリット氏は、「DPSは、前年同期比2倍の成長を達成しており、特に成長率が高い事業である。DPSが日本の顧客に高い価値を提供できれば、デルのエンタープライズ事業はますます伸びていくと考えている」と語る。DPSの強化がエンタープライズ事業の成長に直結するというのが、同社の考えだ。

ハイエンド・コンシューマーを狙う「XPS」の国内展開

 3つ目のポイントが、「ハイエンド・コンシューマー市場の開拓」である。ここでは、「XPS」シリーズの本格展開を掲げる。XPSシリーズとは、主にゲーム・ユーザーをターゲットにしたPCブランド。米国では、これらのユーザーを中心に高い評価を得ている。

 しかし、日本では、オンライン・ゲーム市場がそれほど大きくなく、それらのユーザーが利用するのは自作PCが中心であるといった理由で、これまではデスクトップPC 1モデルの提供にとどまり、本格展開を見送ってきた。ところが最近、日本でもオンライン・ゲーム市場が活性化しつつあり、PCを自作しないようなゲーム・ユーザーが増加している。また、国内ベンダーからは、同種のPCが発売されていない。こうした要因から、ビジネス・チャンスがあると判断し、本格展開を開始することになったのだ。

 5月9日に、XPSシリーズでは国内初のノートPC「XPS M1710」を発表したのを皮切りに、5月22日にはモバイル・ノートPC「XPS M1210」、5月31日にはハイエンドのエンターテイメント・ノートPC「XPS M2010」、デスクトップPCの新モデル「XPS 700」を相次いで発表。一気にラインアップを拡充し、XPSシリーズの位置づけをゲーム・ユーザー向けから、エンターテイメントPCへと広げた。

 これらの製品に共通しているのは、斬新なデザイン。例えばXPS M1710(写真10)は、深紅のボディ・カラーや、発光色を16色のなかから設定できる吸気口部のネオン、インパクトの強いXPSのロゴを施した筺体を採用している。

 「XPSシリーズによって、新たな市場を開拓していく。DimensionやInspironと差別化したブランドとして、また、デルを代表するブランドとして、国内市場への定着を図る」とメリット氏は意気込む。デルの収益におけるコンシューマー事業の比率は約15〜20%。重要な市場であることは間違いない。


写真10:ハイエンド・コンシューマ向けの「XPS M1720」。斬新なカラーとデザインが目を引く

「デル・モデル」の終焉論に強く反論するメリット氏

 以上のように、依然として好調に見えるデルだが、その将来性を不安視する意見もある。

 まず、これまで同社の成功を支えてきたデル・モデルの限界がささやかれているということだ。米国の今年度第1四半期(2〜4月)の出荷台数が業界平均を下回ったことから、受注生産した製品を顧客に直接販売してきたデル・モデルが、他社の追随を受けて通用しなくなったという論調が米国の報道をにぎわしている。

 それに対して、メリット氏は強く反論する。

 「一部で業界平均を下回ったのは事実だが、デル全体のビジネスは順調であり、米国以外の市場でデル・モデルは成功を続けている。日本では市場全体に比べて5倍の成長を遂げており、中国やインド、南米、東欧でも高い収益を上げている。デル・モデルを変えるべきだという指摘もあるが、私はそのようには考えていない」(同氏)

 AMDのOpteronを搭載したサーバに関する市場戦略が明確になっていない点も、気になるところだ。発表では、ハイエンド市場向けにOpteronサーバを投入するとのことだが、それ以外の情報はほとんど明らかにされていない。ただし、社内の組織は、インテル専任とAMD専任とに分けるつもりはないという。あくまでもスケーラブル・エンタープライズを実現する1つのツールと位置づけ、体制は一本化する考えだ。

 また、日本におけるシェアの獲得に向けては、官公庁市場の開拓が、課題の1つとなるだろう。国内ベンダーがサーバ市場で高いシェアを得ているのは、官公庁市場での実績が大きい。デルがシェアを拡大していくためには、この牙城を切り崩すことが欠かせないだろう。

 現時点でデルは、2006年第1四半期(1〜3月)の実績として、同社で過去最大規模となる5万6,000台のクライアントPCを防衛庁に納入する案件を獲得している。こうした実績を足がかりに、今後、どこまでこの市場を開拓できるかが注目される。

「国内ナンバーワンはすでに射程距離にある」

 デルの日本における第1四半期の実績は、市場に比べて5倍の成長率となる前年同期比24%増を達成した。そして、全事業で前年実績を上回った。

 すでにシェア・ナンバーワンは射程距離に入ったとデル関係者は語る。メリット氏もナンバーワン奪取を視野に入れているのは間違いないだろう。

 「デルを顧客に信頼される企業にしていきたい。よいときでも、悪いときでも、デルに頼れば大丈夫だと思ってもらえるような企業になれば、おのずとナンバーワンになれるはすだ」(メリット氏)

 顧客の満足度が会社の成長につながり、最終的にはシェアの獲得という成果を生み出すと語るメリット氏の言葉には、強い自信が感じられた。


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