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「デル神話」は続いているのか。PC市場の革命児の今を追う
新社長の下、顧客満足度の向上、エンタープライズ事業の拡大に強い意欲を見せる
(2006年09月01日)
受注生産と直接販売による「デル・モデル」でPC市場に革命を起こしたデル。米国では、このモデルに支えられたデル神話の崩壊を指摘する声もあるが、日本では2005年のPC市場の出荷台数シェアは12.3%で3位、PCサーバ市場でも3位と、ここ数年も順調にシェアを伸ばしている。そのデル日本法人では、今年4月、新たな代表取締役社長にジム・メリット氏を迎えた。エンタープライズ分野で長年の経験を持つ同氏が陣頭指揮を執ることで、まだ成長の余力を残す同社のエンタープライズ事業の今後に注目が集まる。本稿では、メリット氏体制となった「デル・ジャパンの今」を検証する。
大河原克行
| 写真1:デル日本法人の新社長に就任したジム・メリット氏 |
今年6月20日、都内のホテルに、約70人の記者が詰めかけた。4月にデル日本法人の社長に就任したばかりのジム・メリット氏(写真1)が、就任後初めて日本での事業方針を発表したからだ。
実は、来日直後に同氏は、一部の報道関係者を対象にした懇親会に出席していた。しかし、その会は、前任の浜田宏氏の退任懇親会という様相が強く、メリット氏は報道関係者との名刺交換や、取りとめのない会話に終始するにとどまった。
こうした経緯からも、この2カ月の間にメリット氏が日本市場についてどれだけ理解を深めたのか、そしてそのうえでどのような方針を打ち出すのかといった点に、報道関係者の関心は集まった。
1,000人以上の関係者と2カ月間で面会する
会見の冒頭、メリット氏は次のように切り出した。
「社長に就任してからの約60日間で、多くの人とコミュニケーションをとった。顧客やパートナー、社員と直接会うことで、デルの強みとは何か、どのような点が評価されているのか、今後どのような分野で成長できるのかといったことを理解できた」
メリット氏は、筆者が行った単独インタビューにおいても、次のように語っている。
「就任から2カ月間で訪問した顧客企業は約70社。マイクロソフト、日本オラクル、インテル、EMCジャパンといった主要パートナー企業の幹部ともミーティングを行った。さらに、当社のマネジメント・チームと徹底的に話し合い、宮崎や大連(中国)のカスタマーセンターの社員、韓国の社員とも現地に出向いて情報交換を行った。この期間だけで、実に1,000人を超える人たちと面会した計算になる」
会見の冒頭に自信を持って「理解できた」と言い切ったのは、これだけ多くの人々と会ったという裏付けがあるからだ。「もともと私は、顧客との接点となる業務に携わってきた。コミュニケーションの大切さは身に染みて知っている」と、メリット氏は自らの原点を語る。
メリット氏は、日本法人社長に就任する以前、米国デル本社に7年にわたって在籍し、一貫してグローバル企業を対象としたセールス部門を率いてきた。デルにおけるグローバル企業向けの売上規模は年間約30億ドル。同氏の在籍中に売上高は倍増し、特にグローバル企業向けのPC、IAサーバ市場では、シェアは45%にまで拡大した。「顧客との接点となる業務」とは、グローバル企業という最大手顧客とのコミュニケーションであったわけだ。
また、デル入社以前は米国IBMに在籍。入社直後には製品開発部門を担当したが、その後、セールス、マーケティング分野で管理職を歴任し、最終的にはサーバ・グループのバイスプレジデントを務めた。ここでもコミュニケーションの重要性を学んだという。短期間で1,000人を超える人々と会うという精力的な行動力を見せたのは、メリット氏にこうした経験があるからこそと言ってよさそうだ。
日本市場でデルが取り組む3つの挑戦
話を記者会見に戻そう。メリット氏は、デル日本法人の今後の方針として、3つのポイントを掲げた。(1)お客様の満足経験の向上、(2)エンタープライズ/サービス事業の拡大、(3)ハイエンド・コンシューマ市場の開拓──この3点である。
メリット氏は、1点目の「お客様の満足経験の向上」のためには、体制強化に向けた継続的な投資がポイントだと語り、2007年度末までに400人強の営業・サポート要員を新たに採用する計画を明らかにした。特に、昨年11月に稼働開始した宮崎カスタマーセンター(写真2)は、現在300人の体制を年内には500人体制に拡充するという。
宮崎カスタマーセンターは、デルの戦略的な拠点である。「お客様の満足経験の向上」を実現するために、サポートとセールスという2つの観点から重要な役割を担っており、ここにデルは積極的に投資を行っているのだ。
| 写真2:セールス・サポートの要所となる宮崎カスタマーセンター。年内には500人体制に拡充する |
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