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[米国]
セールスフォースの“キーデン買収劇”に見る、ベンチャー・キャピタル終焉の兆し

(2006年09月05日)

 米国セールスフォース・ドットコムが先ごろ、同社のAppExchangeプラットフォーム上でGoogle AdWordsの広告キャンペーンを追跡・管理可能なソフトウェアを提供する新興企業キーデンを買収したというニュースは、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)分野の動向に関心がない人にとっては、ドットコム・バブル最盛期にもてはやされた「わらから金糸を紡ぐ」話が再現されただけのように聞こえたかもしれない。

 しかし、今回の買収劇には、ベンチャー・キャピタル終焉の予兆が見られる。というのも、ITの世界では、SaaSベンダーのおかげで、無数の新興企業が短期間のうちに大した苦労もなく成長を遂げることのできる環境が生まれつつあるからだ。本稿では、キーデンの創設者で、現在はセールスフォース・ドットコムの製品マーケティング担当シニア・ディレクターを務めているクレイグ・スウェンスルード氏に、買収に至った経緯や、新興企業を取り巻く業界の動向などについて話を聞いた。

──あなたは自己資金でキーデンを起業し、一貫してベンチャー・キャピタルを受け入れなかった。もしセールスフォースによる買収がなかったとしても、そうした方針を維持し続けたのだろうか。

 小さな企業であっても、ベンチャー・キャピタルを必要としないレベルまで売上げを伸ばすことは可能だと信じている。月額料金で利用できるサービスがWeb上に数多く存在しているという状況は、キーデンのような新興企業にとって有利に働いた。というのも、小さな事業を始めるのに、多額の開業資金を投じて大規模なシステムを用意しなくてもよいからだ。われわれはインターネット・ベースのサービスをできるだけ多く利用するという方針の下で、最終的に「Yahoo! Small Business」を通じてホスティングと電子メール業務を行うことにした。また、セールスフォース・ドットコムのシステムでCRM(Customer Relationship Management)ソフトウェアを稼働しながら、文書共有とコラボレーションに関しては、ジョットスポットのWebサービスを利用した。

 当初、われわれがSaaSベンダーのサービスを利用していることを知っている人はだれもいなかった。キーデンのサイト「Kieden.com」にアクセスしたり、こちらからの電子メールを受け取ったりしても、ヤフーのサーバを経由していることに気づく人はいなかっただろう(ちなみに、当時のヤフーのサーバ利用料は月額14.95ドルだった)。当社にはスタッフが数人しかいなかったため、セールスフォースのサービスも月額数百ドルと安かった。また、ジョットスポットのサービスを使ってインターネット上にコラボレーティブ・スペースを作り上げ、ファイルと文書を共有することで、世界中のあらゆる場所からPCやBlackBerryを使ってアクセスできるようにしていた。

 われわれがこれほど早く行動できたのは、アジャイル・ディベロップメントと呼ばれる手法を採用したからだ。この手法は、非常に短い反復サイクルで開発を行うというもので、キーデンでは、1週間のサイクルで可能なかぎり多くのフィードバックを顧客から集め、それらを素早く製品に反映し、できるだけ早く新バージョンをリリースすることを目標としていた。

──今年1月に設立したばかりのキーデンにセールスフォースが着目し、買収に乗り出したことについて、どのような感想を抱いたか。

 われわれが早々と注目を集めたことについては特に驚きはなかった。われわれは自分たちのアイデアに自信を持っていたし、セールスフォースに出向いて、同社のビジネス・プロセスと、グーグルの広告システムを融合させることができると主張すれば、きっとその場にいる全員が目をみはるだろうと予想していた。

 しかし、セールスフォースがいち早く買収に乗り出したのには驚いた。われわれは買収されることを想定してビジネスを始めたわけではない。もっとも、キーデンを設立したときには、驚異的なペースで成長を続ける2つの巨大企業の間に割り込むことができれば、ある程度事業を発展させることができると確信していたが。

──1990年代末にも今回の買収劇と似たような話をよく聞いたが、前の世代のドットコム企業と今の世代のドットコム企業に違いはあるのだろうか。

 現在活動している企業と以前活動していた企業の最大の違いは、顧客に実質的な価値を提供できるかどうかという点にある。われわれは2,000万ドルのベンチャー・キャピタルを呼び込むためにセールスフォースとグーグルの間に割って入ったわけではない。あくまで実在する顧客に実質的な利益をもたらす製品を提供するという目標を実現するために全力を傾けたまでだ。

(ポール F. ロバーツ/InfoWorld オンライン米国版)




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