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[米国]
IBMとフロリダ大学、遠隔医療を支援するデバイス技術を共同開発

患者の健康状態を測定して医療機関に送信

(2007年07月25日)

 米国IBMとフロリダ大学は7月24日、遠隔医療を支援するデバイス技術を共同で開発したと発表した。この技術を使えば、患者は自宅に居ながらにして、血圧などの測定値を無線もしくは有線で医療機関に送信できるようになる。

 IBMとフロリダ大学は、このスマート・デバイス・プロジェクトに12〜15カ月前から取り組んでおり、用途を紹介する短いビデオも制作した。同ビデオは、チャーリーという名前の高齢の男性が自宅で血圧測定を行い、測定値を医療機関に送信するという内容で、血圧の測定デバイスを使えば通院の回数を減らせるとうたっている。

デバイス技術の紹介ビデオ。チャーリーという名の男性が自宅で血圧を測定し、医療機関に送信するというストーリーになっている

 このデバイス技術は、フロリダ大学からスピンオフした米国パーベイサの「Atlas」というセンサー・ハードウェアと、IBMのソフトウェアを組み合わせたものだ。IBMがかねてから支援してきたEclipse OHF(Open Healthcare Framework)プロジェクトの成果も盛り込まれている。

 スマート・デバイス・プロジェクトの責任者を務めたフロリダ大学のコンピュータ情報科学工学部教授、スミ・ヘラル氏は、同技術が幅広く採用されれば、1〜2年以内にスマート・デバイスが市販されると見込んでいる。そうなれば、患者はデバイスを購入しフリー・ダイヤルの番号にかけるだけで、デバイスと担当医の間で接続を確立できるようになるという。「デバイスそのものがサービスになる」とヘラル氏は説明する。

 ヘラル氏は、この技術の長所として、スマート・デバイスのメーカーに縛られないことも挙げている。

 お互いのITシステムの仕組みを知らない人間どうしで情報をやり取りするというのは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)の要素技術となるWebサービスが得意とするところだ。IBMは、これまでもレガシーなメインフレームをWeb対応にするといった用途でWebサービスを使用してきた。

 IBMはWebサービス技術を今回のスマート・デバイス・プロジェクトでも用いている。「われわれにとって究極のレガシー・システムは人体だ」と、IBMの標準/オープンソース担当バイスプレジデント、ボブ・スーター氏は語った。

 スマート・デバイスのセキュリティは、オンライン・バンキングに使われているのと同レベルだという。セキュリティをより詳細に設定すれば、特に機密性の高い領域を暗号化することも可能だとスーター氏は説明する。

 またヘラル氏は、デバイス製品の改造防止策についてはメーカーに任せると付け加えた。

IBMの標準/オープンソース担当バイスプレジデント、ボブ・スーター氏

 患者の健康状態を常時収集することは、患者の詳細な病歴を蓄積するうえで役立つ。「患者の病歴は、担当医だけでなく、救急時に対応するスタッフにとっても有益な情報だ」とヘラル氏は言う。

 さらに、患者がデバイスを身に付けていれば、医療スタッフは測定値を見て、どの患者を優先すべきかを迅速に判断できる。「例えば、インスリンの適正量を決めるインスリン・ポンプのような装置を患者が常時身に付けてくれれば、医療機関は大いに助かる」(ヘラル氏)

 もちろん、こうした技術は医療以外の分野にも応用することができる。商品の出荷を急いで知りたい小売店や、貨物の出荷を常時追跡したい軍部などに採用される可能性がある。

 IBMはスマート・デバイス・プロジェクトに対し、ミドルウェアからデータベース、サーバ、ストレージに至るバックエンド製品をすべて提供しているが、スーター氏はこのデバイス技術が標準規格に基づいていることを強調する。

 「IBMにとって“おいしいビジネス”だと思われるもしれないが、この技術は標準ベースであり、どのベンダーでも採用できる。IBMの製品だけが得をするテクノロジーではないのだ」(スーター氏)

(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)




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