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[米国]
SOA環境を着実に取り込みつつあるSAPのERPプラットフォーム

SAPユーザーの多くがSOAのメリットを享受

(2007年08月01日)

 つい最近まで、SOA(サービス指向アーキテクチャ)の台頭により、これまでドイツのSAPと米国オラクルの独壇場であったERPアプリケーションの市場は終焉に向かうという見方が支配的だった。実際に、調査会社のAMRリサーチは昨年8月の段階ではそのように予測していた。しかし、ここに来て、SAPユーザーがSOAのメリットを着実に享受しつつあることが明らかになってきた。

 AMRリサーチが昨年8月に発表したリポートでは、2010年までに、顧客はERPベンダーからアプリケーションを買うのでなく、「既存のERPバックボーン上にインテグレーターが提供する低価格のカスタム・コンポジット・アプリケーションを構築するだろう」と予測し、そのシナリオを「SOAによる死」と呼んでいた。

 しかし、SAPの顧客の多くは「mySAP ERP 2005」にアップグレードしつつあり、同社のERPツールをベースに、SOAを採用してWebサービスとアプリケーション統合のメリットを享受する企業が増えているという。モリス・コミュニケーションズ・カンパニー(ジョージア州オーガスタ)のCIO、スティーブ・ストラウト氏もSOAのメリットを享受した1人である。

 「このアプリケーション(mySAP ERP 2005)は、基本システムにサービス・アーキテクチャが組み込まれているという点で従来とは大きく異なる。以前よりずっと多くのことが行えるようになった」とストラウト氏は述べている。

 SAPと米国SAPユーザー・グループ(ASUG)によると、mySAP ERP 2005は2006年5月に発売されて以来、SAPが2010年まで「リリースし続ける」と約束したことも手伝って、同社がこれまでリリースしたどの製品よりも速いペースで顧客に採用されつつあるという。

 ASUGのエグゼクティブ・バイスプレジデントを務めているストラウト氏によると、SAPのERPは総勘定元帳、買掛金、給与明細管理、購買など、多数の機能を網羅した巨大なビジネス・マネジメント・プラットフォームとして機能しており、モリスでは、SOAの機能を使うことで、即座にWebサービスを立ち上げ、ERPツールとCRMおよび顧客向けWebサイトとの統合を容易に実現できるようになったという。

 またモリスでは、自社のIT基盤を完全にオーバーホールしなくても、どの部分にSOAを使うかを自由に選択できるようになったとストラウト氏は指摘している。

 「今後2、3年で急速に変化することが予想される重要な業務にSOAコンポーネントを使うことにした」(同氏)

 モリスは、米国の14州で27の日刊紙を発行し、中西部にラジオ局を持つほか、広告宣伝や書籍/雑誌の出版業も手がけている。

 同社はSAPのERPを使って、新聞購読者用のカスタマー・セルフサービス・プログラムを開発した。これにより、例えば新聞が届かなかった日に顧客は再配達を依頼できるようになったという。

 ストラウト氏の話では、同社では6,500人の従業員が給与支払小切手を管理するためSAPのERPを使っており、そのうち1,000人の従業員がこのプログラムを毎日利用している。ただ、最も使用頻度が高いのはやはり部門のマネジャーや財務会計のスタッフである。

 モリスでは、5カ月に及ぶ準備期間をかけて今年5月にERPのアップグレードを完了した。ストラウト氏は、会社の方針でアップグレードの金額については明かせないとしつつも、mySAP ERP 2005によって、今後IT部門が新機能を“オン”にしていけば重複するソフトウェアを排除できると期待を寄せている。将来的には旅費や経費の報告書、出版社の売上げや部数の管理などの分野でもSAP ERPを活用していきたいとしている。

 ERPスイート全体のソフトウェア使用料はすでに一括して支払われているため、システムの使用範囲を広げても追加料金は発生しない。

 「特定のコンポーネントをオンにするかオフにするかは、そのつど自由に判断すればよい」(同氏)

 mySAP ERP 2005へのアップグレードは「比較的簡単」だったものの、ある程度の時間とプランニングが必要だったとストラウト氏は振り返る。

 モリスはSAP ERPシステムの内部構造に詳しいコンサルタントを雇い、同スイート内から使っている15〜20のアプリケーションが実際に稼働することを確かめるために、膨大なテストを繰り返し実施した。もしシステムを立ち上げた最初の週に従業員が給与支払小切手を受け取れなかったとしたら、彼らの怒りが爆発すると予想されるからだ。

 「従来、巨大パッケージを導入する場合、膨大な手間と時間がかかっていた。モリスが成功したのはdry-run(リハーサル)のおかげだ。サンドボックス環境や開発環境でシステムをアップグレードするdry-runを何度も繰り返した。そのおかげで、システムのアップグレードに手間取ることはなかった」(同氏)

(ジョン・ブロドキン/Network Worldオンライン米国版)




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