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データセンター革新

ブレード・サーバ導入の機は熟したか

将来展望と企業ユーザーの導入メリットから考察する

(2007年05月15日)

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ユーザーにもたらされる価値

 前節で、ブレード・サーバの進化の要因として、企業が抱えるビジネス要件を満たせることを挙げた。ビジネス要件はほぼ毎年変化しており、2005年にはセキュリティ、2006年には内部統制への注目が高まった。しかし、ここ数年にわたって、企業で重視されてきたビジネス要件と言えば、それはITコストの削減であろう。よって、以下では、ITコスト削減に対するブレード・サーバの寄与について考えてみたい。

 景気が回復しつつある現在、ITコストの削減には、従来のような単純なコスト削減よりも、攻めのITに必要な投資を行うために不要なコストを削減する「ITコストの最適化」が求められている。この場合、どのコストを最も削減すべきか。もちろん、すべてを削減対象と見なす企業もあるが、2005年から市場で支配的なのは、運用管理コストを削減しようという動きだ。運用管理コストを削減する必要性は、全世界のIT投資の分野別傾向からも見て取れる(図5)。

図5:全世界のIT投資の分野別傾向
*資料:ガートナー データクエスト(2006年11月)

 ただし、ITの運用管理は基本的に人間が支えているものであり、そのコストを単純に削減すると事故などが発生するおそれもある。そこで、IT業界では、ITを活用することによって、運用管理コストを低リスクで抑制することを目指している。そして、この目標を実現する手段の1つがブレード・サーバなのだ。

 上述したように、現在、ブレード・サーバはサーバ単体ではなく、ブレード・システムとして、サーバ/ストレージ/ネットワークを統合した形で提供される傾向にある。ベンダーによると、こうしたブレード・システムを構成するコンポーネントは仮想化されるため、管理性が高まって運用管理にまつわるコストが削減できるという。また、ブレード・システムでは運用管理の自動化も進んでおり、それもまたコスト削減に大きく貢献するとされる。

ブレードからコンポーネント、そしてテラ・アーキテクチャへ

 ブレード・サーバが今後どう進化していくか、その展望を述べて締めくくりとしたい。ガートナーでは、次世代インフラストラクチャが具現化する過程において、現在のブレード・サーバはさらに高密度が進んだコンポーネントと呼ばれるものへ進化すると考えている。そのコンポーネントは数十、数百、数千、数万〜数百万の単位で束ねることが可能で、それらは、大量の汎用プロセッサやメモリといったリソースの集合体となる。ガートナーでは、こうした考え方に基づくサーバ・システムのアーキテクチャを「テラ・アーキテクチャ」と呼んでいる。

 現在のビジネス要件とテクノロジーの進化の方向性は、5年以上もの歳月をかけて成熟してきたものだ。つまり、テラ・アーキテクチャもこうしたビジネス要件やテクノロジーの進化の方向性と業界動向を踏まえたものであるため、このコンセプトに基づく製品が登場してくるのは2010年以降になる可能性が高いと見られる。

 インテルもまた、テラ・アーキテクチャと同様のコンセプトを打ち出している。そのコンセプトとは、同社が2006年10月に開催した開発者向けコンファレンスのIDF(Intel Developers Forum) Fall 2006で発表された「メガ・データセンター」である。メガ・データセンターとは、100万台規模のサーバを有するデータセンターのことだ。同社によると、現在のテクノロジーで100万台のサーバ・システムを構築・管理するには、80万平方フィートのスペース(サッカー競技場のフィールド18面分に相当)と500メガワットの電力(一般家庭30万世帯分弱の消費量に相当)が必要だという。IDFでは、メガ・データセンターの実現には電力、密度、ストレージ、I/O、セキュリティ、信頼性、アプリケーション、プロビジョニング、コストといったデータセンターを構成するあらゆる要素において大幅な革新が必要であり、そのために、インテルでは研究を継続していくことが明らかにされた。

 このように、ガートナーに加えて、ベンダーも、データセンターの将来に関して同様の見解を表明し始めているということは、業界全体がITインフラの将来に関して同じ方向を向いているということのあかしであると言えよう。

 メガ・データセンターやテラ・アーキテクチャは遠い未来の話ではない。実際、すでに一部の企業ではその実現が現実味を帯びつつある。例えば、グーグルは世界で45万台のサーバを用いて、1日当たり数十億ものページ・ビューを処理しているという。こうしたグーグル規模のシステムは、もちろん現時点では特殊なものだ。しかし今後、ネットワークの帯域が拡大し、クライアント・デバイスが進化し、サービス指向が一般化するに従って、企業のオンデマンド・サービスの利用が増加し、データセンターにも新たな発想とテクノロジーが求められるようになるのは確実である。このような観点からすると、現在のブレード・サーバは、次世代型データセンターの進化の一過程であると見るのが適切である。

 なお、現在のブレード・サーバ/ブレード・システムは、ベンダー固有のコンセプトや技術が含まれていたり、省電力機能が不十分だったりするのも事実だ。しかしながら、サーバ市場におけるブレード・サーバのシェアが世界規模で上昇を続けていることからすれば、完璧なシステムを求めるよりも、可能な部分から段階的にシステムを進化させていこうという企業が増えているということが言えそうだ。

 以上、ブレード・サーバについて説明してきた。

 依然として、ビジネスとテクノロジーの方向性に不透明感が残っている国内に比べ、世界では新たなビジネス要件に基づくテクノロジー革新が急速に進行しつつあり、その一環として、ブレード・サーバの需要が急速に高まっている。まだブレード・サーバを導入していない国内企業は、ブレード・サーバの重要性を考慮して、そろそろその導入について検討を開始するべきだろう。もっとも、筆者は、いきなりブレード・サーバを本格導入するよう勧めているわけではない。まずは、自社のスキルを高めることを目的とした試行的な導入をするのが望ましい。

 最後に、ブレード・サーバに関する戦略は、ビジネス要件と関連づけられたインフラ戦略の一環として位置づけられるべきであることを、あらためて強調しておきたい。


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