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データセンター革新

【インタビュー】
SNIA会長が語るストレージ・ネットワークの未来像

上位レイヤを包括する管理モデルの構築が課題

(2007年05月18日)

2006年11月にISO標準として承認された「SMI-S(Storage Management Initiative Specification)」をはじめとするストレージ関連仕様の策定や、ストレージに関する教育・プロモーション活動などを行う業界団体のSNIA(Storage Networking Industry Association )。ヴィンセント・フランチェスキーニ氏は、2006年10月に同団体の会長に就任した人物である。編集部では、来日した同氏にインタビューを行う機会を得て、SNIAの活動やストレージ・ネットワークの将来などについて話を聞いた。

大川 泰
Computerworld編集部

――SMI-SのISO化以外に、最近のSNIAの活動で特に目立った動きとしては、どのようなものがあるのか。
SNIA会長 ヴィンセント・フランチェスキーニ氏

フランチェスキーニ氏:SNIAではSMI-Sを含めて5つの標準仕様の策定を進めてきたが、2006年10月に「MF(Management Framework)」という新たな仕様のためのテクニカル・ワーキング・グループ(TWG)を立ち上げた。MFは、上位レイヤにおける管理のためのフレームワークを提供するための仕様である。
 今日のデータセンターでは、多様なベンダーおよび種類のハードウェアやアプリケーションが異なる手法でストレージにアクセスしている。そのため、管理のためのデータ・セットも複数の異なるものが生成され、ストレージに関する管理作業が困難になってきている。MFは、共通APIを提供して管理情報の共通化を図ることで、そうした状況を改善することを目的としている。

――SMI-Sもマルチベンダー環境におけるストレージ管理APIを定義したものだ。MFは、SMI-Sとはどのような点が異なるのか。

フランチェスキーニ氏:現在のSMI-Sがデバイス管理にフォーカスした仕様であるのに対し、MFはより上位のレイヤも含めて統一的な管理手法を提供しようとするものだ。SMI-Sの管理対象となるのはストレージ・ハードウェアやファイバ・チャネル(FC)スイッチといったインフラにかかわるものだが、データセンターを適切に運用していくためには、ストレージ内に保管されたデータや情報の管理も必要だ。これらの管理対象を連携させ、ストレージ管理を次の段階に進めるようとするのがMFである。

――MFが実用化されるのはいつごろになるのか。その後には、SMI-SはMFに統合されていくことになるのか。

フランチェスキーニ氏:MF TWGでは現在、参照実装の開発を進めており、仕様が固まるのは2008年ごろの見込みだ。ただし、MF仕様を実装したソフトウェアの登場時期は答えられる段階ではない。また、MFの仕様が確定した後にも、SMI-Sの開発は並行して進めていく。

――会長という役職のほかに、SNIAでフランチェスキーニ氏が取り組んでいる活動の一環を教えてほしい。

フランチェスキーニ氏:私が進める取り組みの1つが、グリッド・コンピューティングである。この取り組みには2つの側面がある。1つはストレージの構築にどのようにグリッド技術を活用していくのかということであり、もう1つはストレージ・システムをどのようにグリッドの中に取り込んでいくのかということだ。SNIAでは、タスク・フォースを立ち上げ、この2つの側面からストレージとグリッドの活用について検証している。

――グリッド技術の標準化団体にOGF(Open Grid Forum)があるが、そうした取り組みにおいて何か協力関係があるのか。

フランチェスキーニ氏:そのとおりだ。SNIAはグリッド専門の団体ではないので、OGFとのコラボレーションの下に進めている。
 ストレージ・ネットワーク・グリッドでは、データセンター内あるいはデータセンター間においてリソースの配置がダイナミックに行われることになる。そのため、グリッドではデータ移動の技術が重要になり、その技術をグリッドの専門家は数多く考案している。一方でストレージの専門家も、データ移動という問題には長年取り組んできている。この両者がコラボレーションすれば、それぞれの技術を統合してより強力な技術を開発できるはずだ。

――そのようなコラボレーションの下に開発している技術は、将来的に新たな標準仕様となるのだろうか。

フランチェスキーニ氏:新たな標準となる可能性もあるし、すでにある何らかの標準に取り込まれる可能性もある。ただし、ユーザーにとっても開発者にとっても、多くの標準仕様が乱立するのは必ずしも好ましい状態ではない。そのため、既存の標準仕様で再利用できるものはないのかということも考えている。

――SNIAは今後、どのような技術に取り組んでいこうと考えているのか。

フランチェスキーニ氏:今日はデータの格納方法とその保存場所が多すぎ、データ・アクセスの手法が統一されていない。そのため、統一的なアクセス手法を簡単に利用できる技術を開発することが、SNIAおよびストレージ業界の責任であると考えている。例えば、多種多様なストレージ・システムを横断して検索できるような技術である。
 もちろん、アクセスを容易にするだけではなく、データを有効に活用できることも必要だ。そのためには、データの価値を分析するためのメタ・データの生成および活用のための技術が重要な課題となるだろう。一方で、データ量が急速に増大するなか、ユーザーからは重複データの生成を回避し、ストレージの利用率を最大化するツールがほしいという要望が出てくると思う。
 こうしたことを実現するには、ストレージ・ハードウェアにフォーカスするだけでは十分ではない。インフラからアプリケーションまでを包括するデータセンター管理モデルの構築が不可欠なのである。




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