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データセンター革新

「たがための」「何のための」グリーン化か!?

ユーザー企業がグリーンITに取り組むのは、環境保護のためというよりコスト削減のため?

(2007年08月03日)

「グリーンIT」――この言葉がどの程度魅力的に響くかは、受け止める側のユーザーの意識によっても異なってくるだろう。だが、今の米国において「ITのグリーン化」という錦の御旗──省エネルギーやリサイクル性の向上といったグリーン化のメリット──を振りかざされれば、だれも正面切ってそれに異を唱えることはできないはずだ。そして、熱心に「グリーン化」を説き、それをセールストークにするベンダーを批判することも。だが、本音を言えば、ユーザーにも、グリーンITについて言いたいことがないわけではないのだ。例えば、ベンダーのかけ声が大きい割りには、現行のITインフラに実装できる製品が限られていることに不満を抱くユーザーは少なくない。本稿では、そうしたユーザーの本音をあぶり出しつつ、グリーンITの現状と問題点を探ってみたい。

ブルース・ホード
Computerworld オンライン米国版

 グリーンIT市場はまだ成熟するには至っていないが、そうした中にあって、米国のPMIモーゲージ・インシュアランスとクーパー・コミュニティーズは、それぞれに独自のグリーン戦略を展開し、ITパフォーマンスを犠牲にすることなくコストを削減することに成功している。

 ユーザーの中には、ベンダーの力を借りてこうした「グリーン戦略」を練っているところもあるが、多くの企業はPMIモーゲージやクーパーのように、自らの力で戦略を立案している。つまり、現時点では、「企業におけるグリーン化の取り組み」は、主に「ユーザーが自力で進めるプロジェクト」になっているのである。その意味で、ベンダーが顧客に提案するグリーンITマーケティング計画には、まだ大きな「余白」が存在していると言える。

セールストークとしての「グリーン化」

 「ベンダーはこの市場を“グリーンウォッシュ”(環境保護という名目の下にビジネスの拡大を狙うという意味)している」と、グリーンIT市場に群がるベンダーに対して批判的な見解を披露するのは、市場調査会社ストレージ10グループの創設者兼シニア・アナリスト、グレッグ・シュルツ氏だ。

 「グリーン絡みのセールストークの背後には、金もうけの意図が透けて見える。グリーン化をにおわせ、この市場特有の当たりの良さをアピールすれば、顧客は食いついてくると計算しているのだ」と、同氏の舌鋒は、鋭さを通り越して怒気さえ感じさせる。

 シュルツ氏の舌鋒は、グリーン市場全体だけでなく個々のベンダーにも襲いかかる。今回、同氏が目をつけたのは、ヒューレット・パッカード(HP)だ。氏は、同社が6月に発表した適応型ITインフラ「Adaptive Infrastructure」製品群のプレスリリースを引っ張り出し、そこにグリーンウォッシュの痕跡を指摘する。

 ちなみに、そのときに発表されたのは、「HP StorageWorks Enterprise Virtual Array」シリーズのシン・プロビジョニング機能および性能強化、「Linear Tape Open 4」規格に基づくテープ・ドライブ、新たな中小規模企業向け「DAT 160」テープ、「HP BladeSystem c-Class」エンクロージャ専用に開発された初のテープ製品「HP StorageWorks」などの、ストレージ製品/機能群だ。そして、以下が、くだんのプレスリリースの一節である。

 「HPは本日、ストレージ・アレイに要する消費電力とデータセンターにおける冷却コストを50%引き下げる『グリーン』ストレージ技術を発表しました」

 シュルツ氏は、「グリーン」を強調するこのプレスリリースは、人々に誤解を与えるおそれがあると指摘するのである。というのも、今回の発表では、省電力化を実現するための最適化が個々の製品に対して図られているわけではなく、単にデータがディスクからテープへ、あるいは別の階層へと移行されることによって消費電力が抑えられるだけのことでしかないからだ。

 つまり、データのライフサイクルにあわせて(消費電力の少ない)別のストレージ技術を使うようにすることで、省電力が実現されているにすぎないというわけだ。言ってみれば、単に情報ライフサイクル管理を実施しているだけのことであるのに、それをあたかも「HPのグリーン・イニシアチブ」の一部でもあるかのように主張するのはおかしい、と同氏は指摘するのである。

 シュルツ氏はまた、サーバ仮想化によって省エネを図ろうとする動きにも疑問を呈する。確かに、仮想化の導入によってサーバの数を減らすことはできるが、それによってどれだけの電力が削減されるかまでをきちんと検証している企業は少なく、効果のほどは未知数だというわけだ。

 「仮想化によるサーバのコンソリデーション(統合)で、仮に10台のサーバを1台に集約できたとしよう。その場合、いったいどれほどの電力を節減できたことになるのだろうか。もちろん、前と変わらないということはありえないだろうが、その比率は果たして10対1なのか、5対1なのか、それとも2対1なのか。(一般には、10台を1台にしたのだから、消費電力は限りなく10分の1に近くなると思われているようだが)それが落とし穴だ」(同氏)


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