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データセンター革新

【Computerworld Conference 2007 Summer】
今、求められるIT基盤の「省電力・省スペース・効率化」

サーバ・インフラストラクチャの「パワー&ファシリティ・マネジメント」のすべて

(2007年08月07日)

今年6月20日、本誌主催のコンファレンス「Computerworld Conference 2007 Summer」が、東京都港区の六本木アカデミーヒルズで開催された。開催4回目を迎えた今回のテーマは「サーバ・インフラストラクチャのパワー&ファシリティ・マネジメント」。ITへの需要増大や高密度実装化からくるサーバ・インフラの電力/発熱問題にフォーカスした。イベントでは、先進企業やアナリスト、サーバ・ベンダーのスペシャリストがセッションを繰り広げ、この課題に対してユーザー企業のIT/IS部門がなすべきことを探った。

文:小山健治
写真:片岡 純

IT部門の課題として浮上してきた
電力/熱問題

 ITインフラの省スペース化や運用管理の効率化というニーズに呼応して、ブレード・サーバに代表されるような、IT機器の高密度実装化が進んでいる。そうしたなか、新たに浮上してきたのが、IT機器の消費電力や発熱量の増大という問題だ。

 これらの問題を解決するサーバ・ルームの省電力化や冷却効率の改善といった対策は、業務で求められるITのパフォーマンスやサービス・レベルを安定して供給・確保するうえで、非常に重要な要件であるのは言うまでもない。

 そして、現在のユーザー企業には、電力問題や熱問題を単なるシステム運用の側面でのみとらえるだけではなく、環境保護の一環として位置づけ、一企業体として社会に貢献するというCSR(企業の社会的責任)の観点からの施策も求められている。

 今回のComputerworld Conferenceは、「Green Computing Summit Vol.1」の副題が冠され、現在、世界的な潮流であるグリーンITへの取り組みを強く意識したイベントとなった。その第一歩を踏み出すことで、企業は社会からの信頼を得るとともに、結果として、より効率的でムダのないIT基盤のあるべき姿へ近づいていくことができるのである。

環境経営の先進企業に見る
CSRへの取り組み

 では、実際のところ、早期から環境問題と向き合ってきた先進企業は、どのような施策をとっているのだろうか。

 基調講演で紹介されたのは、カラー複合機やレーザー・プリンタなどのオフィス機器をはじめ、パーソナル向け製品、産業向け製品、各種サービス・ソリューションまでを手がけているリコーだ。同社の社会環境本部 環境コミュニケーション推進室 室長の益子晴光氏による、「リコーの環境経営」と題する講演から、そのポイントを拾い上げてみたい。

「社会から存続を求められる企業であることが当社の環境経営の大前提」と話すリコーの益子氏

 益子氏は冒頭で、「リコーが存続し続けるためには、社会から存続を求められる企業であることが大前提であり、環境保全活動ならびに社会とのコミュニケーションが車の両輪になる」という考えを示した。

 リコー・グループでは、目標設定の手法として、まず最終的に目指す姿を想定し、その実現に向けた通過点として目標値を設定していくという“バックキャスティング方式”を採用している。

 その最終的に目指す姿として同社は、環境負荷が自然の再生能力の範囲内に完全に抑えられている社会を想定。2050年の「超長期環境ビジョン」を描いたうえで、2010年度までに環境負荷をまず20%削減するという「2010年長期環境目標」を設定した。

 これに基づき2005年度にスタートした「環境行動計画」では、年率8%以上の事業の拡大を前提として、2007年度までに環境負荷を15%削減するという目標に取り組んできたという。

 「その目標値には、CO2の排出、資源利用や化学物質の使用などによる環境負荷を統合化した『統合環境影響』という指標を採用し、これを絶対値で削減することを目指している」(益子氏)

 こうした取り組みの中から、業界最高水準のリユース部品使用率(重量比87%以上)を達成し、従来機種に比べて環境負荷を約50%削減した再生デジタル複写機「Imagio MF7070 RC」をはじめ、コピー/プリンタによるペーパーレス・システム、製品の省エネ化、工場・事業所におけるCO2削減など、すでに多くの成果が上がっているという。

 講演の最後に益子氏は、「リコー・グループのこだわり」として次の5項目を掲げ、環境保全に対してさらに積極的な活動を展開していく姿勢を示した。

  • 長期的、総合的視点を持った、実効のある環境保全活動を実践する
  • 環境保全活動を通じて経済的価値を創出する
  • 環境保全活動を通じて顧客へ貢献する
  • 経営者のリーダーシップの下、全員参加の活動を展開する
  • 情報公開によって社会から信頼を得る

「ITによる環境問題対策」の可能性

 CSRが問われる今日の企業において、ITに対しても環境問題対策への新たな目的や要求が課せられることになる。この観点に立ち、アイ・ティ・アールのシニア・アナリストである生熊清司氏が、「ITに求められる省エネルギーとITが可能にする環境対策」と題した特別講演を行った。

 生熊氏は、企業とITの関係の変化の流れを次のように語った。

 「1990年の性能向上の時代を経て、2000年代はITの利用拡大の時代となった。そうした中で企業に厳しく求められるようになったのが内部統制だ。そして、今後もITの利用は拡大し、2010年は戦略と品質の時代を迎えることになるだろう。これまでITと経営資源は分けて考えられてきたが、イノベーションの創出、ビジネス・プロセスあるいは経営リスクのマネジメントといったあらゆる側面において、ITは経営とより密接に関連するようになる。もはやITを抜きにして企業経営は成り立たず、ITなくしてはCSRも実現できない」

アイ・ティ・アールの生熊清司氏は、「もはやITを抜きにして企業経営は成り立たず、ITなくしてはCSRも実現できない」と指摘した

 そもそもCSRとは何か。生熊氏は、国際的な環境会議のWBCSD(The World Business Council for Sustainable Development)による定義をこう紹介する。「企業が従業員、その家族、地域社会、そして、社会全体の生活水準の向上のために、これらのステークホルダーと協働しながら、持続可能な経済発展に貢献すること」

 この意味においてITは、物流の効率化や資源消費の節減、ライフスタイルの変化への対応など、地球環境保護へのプラス要因としてCSRを支えていると言える。

 そして、ITによる環境対策の具体例として生熊氏が挙げたのが、デパート大手の三越が導入した新POSシステムである。これによって三越は、年間180万枚の伝票を削減したのをはじめ、ジャーナル管理を電子化したことで年間140万ロールもの紙を削減した。さらに、それらの結果による倉庫スペースの削減や、運搬の削減などを次々に実現し、トータルで年間1306.7トンものCO2排出量の削減を達成したという。

 続けて生熊氏は、コンビニエンスストアにおけるIT活用の可能性にも言及した。コンビニでは、賞味期限切れ食品の廃棄が問題となっており、あるコンビニ・チェーンでは年間約400億円分ものロスが発生しているという。

 「このロスは、そのチェーンの営業利益にも匹敵する規模。ITによる商品在庫管理や物流計画、情報コミュニケーションを徹底することで、こうしたムダを大幅に削減していける可能性がある」(生熊氏)

グリーンIT実現のためのアクション

 もっとも、何事もプラス面だけで評価することはできず、一方にある、ITによる環境へのマイナス要因も忘れてはならない。その例が、冒頭でも挙げた消費電力や発熱の問題、あるいは廃棄物の発生といった問題である。そして、これらの環境へのマイナス要因を削減していく中で注目されているのがグリーンITのコンセプトである。

 生熊氏は、「グリーンITとは、ベンダーと顧客が環境に対する影響とコスト削減に基づいた、新たなIT資産のライフサイクルを意味する」と説明する。

 例えば、現在のデータセンターにおける電力消費の増大は、非常にクリティカルな問題となっており、IT機器が約50%、さらにそれらを冷却するための空調設備が約25%を占めているという。逆に言えば、占める割合が大きい分、省電力化や発熱対策を推進していくグリーンITへの取り組みでは、得られる効果も大きいわけだ。

「Computerworld Conference 2007 Summer」の講演会場

 生熊氏は、グリーンITの実現のため、短期・中期・長期の3つのステップからなるアクション項目を紹介した。

 「まず、短期的には、節電の徹底や印刷の削減などによって運用の改善を図る。次に中期計画として、省電力機器の使用、冷却の最適化、仮想化機能の導入などを通じて、IT機器の見直しを進めていく。そして長期的な構想に基づき、ITシステムの統合やクリーン電力の利用などを視野に入れたデータセンターの再構築へと向かう」(生熊氏)

 いずれにしても今後、IT製品の導入や選択にあたっては、パフォーマンスや個別の問題解決の視点のみで考えていたのでは、環境経営を含むCSRへの対応はおぼつかない。「企業戦略とトータル・バリューの観点で考えるべき課題である」と生熊氏は訴えた。

【セッション・リポート】
サーバ単体から設備までをトータルにカバーするデルのサーバ省電力ソリューション
ベース製品に比べワット対性能比を最大25%向上させた「Energy Smart」モデル

 高性能化・大規模化が進むサーバ・システム。その消費電力量の低減と運用コストの削減をいかにして実現するか。この課題に対してデルは、サーバ単体レベルから設備レベルまでをトータルにカバーする省電力ソリューションを提供している。セッションでは、“ワット対性能比”を追求したPowerEdgeサーバの省電力構成モデル「Energy Smart」の特徴を中心に、同社の省電力/省スペース/効率性の向上に対する取り組みが紹介された。

【詳細はこちら】

【セッション・リポート】
電力問題に対する“全方位型”の解決策を提示するIBMの「Project BigGreen」
サーバ製品はもちろん、設備の設計やリサイクルまでカバーする省電力プロジェクト

 上昇を続けるデータセンターの消費電力を低減したくても、サーバの処理能力を抑えればビジネスの効率性が損なわれるおそれがある。この省電力化とビジネス効率の両立という相反するテーマをさまざまな面から解決しようとするのが、IBMの「Project Big Green」である。セッションでは、このプロジェクトの概要や省エネ・サーバの代表ともいえる「BladeCenter」の特徴について紹介された。

【詳細はこちら】

【セッション・リポート】
独自技術と豊富な経験に基づくHPの「データセンター全体の省電力アプローチ」
「サーマル・ロジック」や「スマート・クーリング・ソリューション」がサーバ・インフラの電力/熱問題を解決

 サーバ性能の飛躍的な向上に伴い、データセンターにおける総消費電力量や単位面積当たりの電力密度は右肩上がりの傾向を示している。この問題を解決するため、日本ヒューレット・パッカード(HP)は、チップからシステム、インフラストラクチャ、データセンターに至る各レベルにおいて省電力化を追求した包括的なソリューションを提供している。セッションでは、省電力化やシステム効率向上に対する同社の戦略とキー・テクノロジーが紹介された。

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【セッション・リポート】
企業の環境/CSRへの取り組みに貢献するサンの「Business Efficiency」
TCOの削減と省エネの両立を実現する製品群で、IT基盤を最適化する

 企業には、さまざまな取り組むべき経営課題がある。それらの中でも昨今は、環境への配慮というグローバル規模の課題に重点が置かれるようになってきている。このユーザー企業の大きな課題を解決に導くために、サン・マイクロシステムズは、IT基盤の最適化を軸とする「Business Efficiency」を提唱している。セッションでは、Business Efficiencyを具現化する同社の施策および製品群などが紹介された。

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(Computerworld.jp)




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