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データセンター革新

データセンターに効く「局所集中型」の冷却システム

冷却効率向上と電力コスト抑制を両立

(2007年08月28日)

省エネルギーへの関心の高まりを背景に、企業のデータセンターでも冷却システムを見直す動きが活発化してきた。特に、熱源の近くで集中的に冷やす局所集中型の冷却システムが、冷却効率の向上と電力コストの抑制を両立できる方式として注目を集めている。本稿では、この方式の冷却システムについて、具体的な製品を交えながら解説する。

ポール・ベネチア
InfoWorld オンライン米国版

 今、データセンターは過渡期を迎えている。サーバ、冷却システム、UPS(無停電電源装置)といった基本構成は変わらないものの、データセンターで消費される電力に着目する企業が増え、データセンターの実装方法が変わりつつある。

 費用対効果の高いデータセンターの新設/改装を目指す企業にとって、おそらく必要不可欠な技術はサーバ仮想化であろう。しかし、仮想化技術は予想外の電力コスト高騰をもたらす可能性がある。電力コストを引き上げる「犯人」は熱だ。

 例えば、消費電力が1キロワットのサーバ12台分の作業量を、2キロワットのサーバ1台に統合すると、ほとんどの場合、仮想化ハードウェア・プラットフォームのラック当たりの発熱量は個々のサーバより増えてしまう。

 さらに、複数の仮想サーバを1基の高密度ラックに詰め込むと、熱が停滞しやすい「熱スポット(hotspot)」が発生することがある。サーバ・ルーム全体が華氏68度(20℃)に保たれていても、一部のサーバは隣接したラックも含め、部分的に高熱をため込んだ状態で稼働することになる。

 特にブレード・サーバは巨大な電力を必要とし、シャーシ(筐体)に相当量の空気が通るため、熱処理が問題になる。サーバの仮想化技術がデータセンターのエネルギー・コストを削減することは確かだが、それだけでは根本的な解決にはならない。冷却システムに関するこれまでの考え方を変える必要があるのだ。

ラックの列単位で冷却

 ほとんどのデータセンターは、天井備え付け式あるいは高床式の巨大なエアコンを備えている。しかし、省電力のデータセンターを新設、あるいは既存の建物を改装して省エネルギー化を目指している企業は、こうした空調設備だけでは不十分と考えているようだ。彼らの多くは、ラックの列ごとに冷却する「列単位冷却式(in-row cooling)」を中心とした「局所集中的な冷却システム(localized cooling)」に期待を寄せている。

 列単位の冷却装置を提供している米国APCの北米担当ビジネス開発ディレクター、ロバート・バンガー氏は、この冷却方式には大きな効果があると語る。

 「(列単位冷却は)もともとはブレード・サーバ用にデータセンターの熱スポットを解消する目的で設計した。ところが、この方式の冷却装置を実際に試してみたところ、熱の発生源の近くで冷却を行うために非常に効率のよい冷却システムであることがわかった」(同氏)

 部屋全体を冷却する「巨大エアコン方式」とは異なり、APC製品に代表される列単位の冷却システムは、ラック間に配置され、後部から暖かい空気を吸い込み、冷たい空気を前部に向かって送り出す仕組みになっている。天井や床から無差別に冷やすのではなく、熱源から数インチの位置で冷却するため、熱スポットの発生を防ぐことができる。

 また、部屋全体のサーモスタット(温度自動調節器)に依存せず、熱の発生源となるラックの前に取り付けられた温度監視計の情報を基に、それぞれの冷却装置が独立して機能し温度を一定範囲内に保つ。特定ブレードのシャーシに負荷がかかって高温になると、その列の冷却ユニットからの冷気量を増やして温度を下げてくれるのだ。

 さらに、サーバが待機状態になるとユニットは冷却作業を徐々に減らし、経費削減に貢献する。

 以上のように、局所集中式冷却システムの利点は非常にわかりやすい。調査会社ガートナーは、2011年までにはほとんどのデータセンターで列単位冷却システムが採用されると予測している。

モジュール冷却の利点と欠点

 APCは、局所集中冷却システムの導入を検討している企業向けに、空気冷却と液体冷却の2つのオプションを用意している。双方ともに8キロワット〜80キロワットの冷却に対応しており、小規模ユニットの「ACRC100」と「ACSC100」は高さ、奥行きともに一般的な42Uラックと同サイズで、幅は半分。大容量のACRPシリーズは42Uラックと同じフォーム・ファクタを持つが、小規模ユニットと比較するとかなり大量の空気を送ることができる。

 電力/冷却機器大手の米国リーバートも、局所集中型の冷却システムを開発した。同社のXDシリーズは列単位冷却式および液体式の「スポット冷却」を採用し、APC製品とほぼ同等の機能を持つ。

 APC、リーバートともに、ラック後部に取り付ける空調・冷却システムを開発、こちらはプレナム(空気を循環させる通風スペース)に送り込まれた熱気が冷却されてから排出される仕組みだ。さらにリーバートは、サーバのラック上部に取り付けることで熱気を上に逃がすタイプのユニットも製造している。

 こうしたモジュール・タイプの冷却装置は、新規にデータセンターを立ち上げる際の経費節約につながる。部屋全体を冷却するシステムの場合は、将来の拡張を念頭に置いてサーバ・ルームを設計しなければならないが、モジュールを利用した局所集中冷却式は必要に応じて増設が可能だ。スペースの使用率が30%ならば、冷却装置の設置初期費用も(スペース利用率が100%時の冷却コストの)30%で済む。

 ただし、局所冷却ユニットにも弱点はある。媒介が液体の場合、部屋全体を冷却する中央集中システムと比べ、かなり多量の液体パイプをサーバ・ルームの天井もしくは床の内部に配置しなければならない。また、空冷式ユニットの場合も、データセンターの天井裏に設置したプレナムに相当の熱気がたまるため、空調や熱の排出に問題が残る。

 さらに、局所冷却システムは必要なときに必要な分しか稼働しないため、1つのユニットが故障した場合の負担は大きい。

 省エネ対応のデータセンターを新規設計するにしても、既存のデータセンターを改装するにしても、局所冷却システムを導入する前に、建物全体の環境システムやデータセンターが発する熱負荷の予想値などを総合的に理解することが大前提となる。


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