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データセンター革新

【解説】
グリーンITでIT部門がなすべきこと

「地球にやさしいIT」に向けた多角的なアプローチを実践する

(2008年02月29日)

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データセンター機器の電力消費量削減のための具体的手法

 次に、機器面、すなわちデータセンター内機器レベルの電力消費量低減のための具体的手法について見てみよう。

■低消費電力技術の採用

 今日では、どのベンダーも消費電力および発熱量の低減を図る技術を開発し、製品に搭載している。よって、サーバやストレージ、ネットワーク機器などの選定時には、これらの技術を判断基準の1つとしてとらえるべきだ。

図5:典型的なサーバ・マシンの電力消費量内訳

 CPUの低消費電力化は最も顕著なトレンドの1つである。CPUはサーバの構成要素の中でも大きな電力を消費するだけではなく(図5)、消費電力の低減が性能向上に直接的に結び付くからである。CPUの世界では、半導体の微細化に伴う消費電力の増大が「ムーアの法則」にしたがった性能向上の阻害要因となっており、電力消費量の低減がプロセッサ・アーキテクチャの長期的存続性を決定する要素の1つにもなっている。

 この目標に向かうため、CPUベンダー各社は、トランジスタのスイッチがオフになっている時にも流れるリーク電流を最小化するための半導体技術、内部動作電圧を低減するための技術、処理負荷に応じて動作電圧とクロック周波数を動的に調整する技術(Intelの「SpeedStep」やAMDの「Cool'n'Quiet」など)といったさまざまな技術を編み出している。また、マルチコアもクロック周波数を大きく引き上げることなく性能向上が図れることから、電力消費量の低減に貢献する技術と言える。

 また、図5からわかるように、CPU以外の構成要素においてもサーバの消費電力低減の余地は十分にある。例えば、パワー・サプライ(電源ユニット)のAC-DC変換の効率性も重要だ。これまで、パワー・サプライの効率性がサーバ選択における基準となるケースはほとんどなかったので、ベンダーもそれほどこの分野には力を入れてこなかった。だが、このような状況も今後は変わっていくだろう。また、水冷技術も効率的な排熱が行えることから、冷却ファンの消費電力の低減、そして、データセンターの冷却設備の消費電力低減に貢献できる。

 一方、ストレージの世界では、小容量のハードディスク・ドライブ(HDD)をソリッドステート・ディスク(SSD)に置き換える動きも出ている。また、現時点ではまだ一般化したとは言えないが、MAID(Massive Array of Inactive Disks)も注目に値する。MAIDとは、安価なSATA(Serial ATA)ディスクを多数使用し、かつ、使用していないドライブの電源をオフ状態にすることで電力消費を最適化したディスクアレイ技術(注3)である。実際にアクセスが行われてからドライブが起動されるため、データのアクセス速度は犠牲になるが、テープと通常のディスク・ドライブの間を埋めるいわゆるニアライン・ストレージとしての活用が期待されている。

 さらに、機器のフォームファクターやコンピューティング・モデルに目を向けると、ブレードというフォームファクターは、複数のサーバやストレージでファンや電源を共用していることから、本質的には電力効率が高い技術と言える。ただし、その一方で、高密度実装が行われていることから熱の発生源が集中するという点で、データセンターの冷却設計面での考慮が必要になることもある。また、シン・クライアント・モデルの場合は、社員個々のデスクトップ/ノートPCにかかっていた電力消費と発熱を削減し、データセンター環境における効率的な冷却に置き換えるわけなので、全体的に見ればグリーンITに大きく貢献できる可能性が高い。

■サーバ統合とサーバ仮想化によるハードウェア利用率の向上

 上記のような、個々の機器ベースで低消費電力化を目指すアプローチは試みてしかるべきだが、これだけでは十分とは言えない。いかに消費電力が小さい機器であっても、有効な業務処理を行わず、電源が投入されているだけの状況であれば、むだな電力を消費していることに変わりはない。つまり、真の意味で電力の有効活用/最適化を達成するためにはハードウェア・リソースの利用率を向上することが求められる。

 ここでの最善策はサーバ統合である。よく指摘される点だが、一般的な企業で社内に分散したサーバの平均利用率はきわめて低く、15%から30%であることが通常である。つまり、70%以上に相当するハードウェア・リソースが業務上の価値を生み出すことなく、電力を消費し、熱を発生しているのである(注4)。


図6:仮想化技術によるサーバ統合時の電力消費量低減効果(試算)

 サーバ統合、特に、サーバ仮想化を組み合わせたサーバの台数削減を実施することで、サーバ・リソース利用率を大幅に向上でき、結果的に処理能力当たりの電力効率を高めることが可能になる(図6)。例えば、IBMは前述のProject Big Greenの一環として、世界中に分散した社内の3,900台のサーバを、Linuxが稼働する30台のメインフレームに統合することで80%の電力消費を削減する計画だ。これだけの規模の電力消費量低減プロジェクトは、個別機器の単純な置き換えだけでは不可能であり、仮想化技術も活用した大規模なサーバ統合によってはじめて実現可能なものだ。

 さて、これまでには、サーバ統合とサーバ仮想化によるハードウェア・リソース利用率向上というメリットに対して、「どうせハードウェアは安価であり、今後も価格性能比の向上は継続していくのであるから、苦労してハードウェア利用効率を向上するよりも、どんどんハードウェアを追加購入していったほうが安上がりである」という意見が聞かれることがあったが、グリーンITという観点からは決して健全な考え方とは言えないだろう(注5)。

 なお、当然ながら、この議論はサーバだけではなく、ストレージにおいても成り立つ。また、ストレージ・ハードウェアの実質的なリソース利用効率を大きく向上するための技術であるシン・プロビジョニングも有効な解決策の1つである。

注3:なお、このような設計をとることで、ディスクへアクセスする際のパスの設計も簡素化できるため、ハードウェア・コスト削減のメリットも得られる
注4:処理が行われていなければCPUの電力消費はある程度低下する。しかし、図4からもわかるとおり、サーバの電力消費にはCPU以外の構成要素も大きく影響する。そして、これらの他の構成要素は業務上の処理が行われているか否かにかかわらず電力を消費し熱を発し続ける
注5:もちろん、管理コストを含めたTCO(総所有コスト)、セキュリティやサービス・レベルの維持、災害対策などさまざまな理由により、利用率が低いサーバが乱立する状況は望ましいとは言えない

■運用管理ソフトの電力管理系機能の利用

 ハードウェアの運用管理機能の改善により電力消費量を低減する余地も十分にある。機器の負荷に応じてファンの回転数を動的に調整する機能などはその好例だ。こうした機能に加えて、より全体的な見地から、自動化されたポリシー・ベースの管理を行うことで、電力消費量の最適化を達成することが可能だ。QoS(サービス品質)やSLA(サービス・レベル条項)において、消費電力を指標の1つとすることも考えられるだろう。

 現在、多くのベンダーが電力消費量の最適化を図るための運用管理ソフトウェア製品を提供している。例えば、ブレード・サーバ内の各ブレードの負荷を総合的に監視し、未使用のブレードの電源を自動的にオフにできる管理機能を用いれば、機器の電力効率を大きく向上できる。IT基盤の差別化要素が機器本体の機能や性能から管理機能へとシフトしていく中で、電力管理はベンダーが差別化のための投資を集中する領域となっていくだろう。IT部門は、運用管理ソフトウェアの選択における基準として電力管理を含めるべきだ。

指標のモニタリングと継続的改善

 当然ながら、グリーンITは1度限りのプロジェクトではなく継続的な改善活動を要するプロジェクトである。前述の定量的指標および定性的フィードバックをモニタリングしながら、グリーン化を継続していく必要がある。PUEやデータセンター機器の総電力消費量などの数値をKPI(注6)の1つとして、他の経営的指標と共BSC(バランス・スコアカード)やCPM(企業パフォーマンス管理)などの枠組みで管理していくことも十分検討に値するだろう。

*  *  *

 グリーンITは長期的に重要なトレンドである。社会的責任を果たすというだけではなく、情報システムのTCOを削減し、より効率性を高めるという効果もある。いわば、IT基盤の最適化を別の観点から追求する取り組みとも言える。IT部門がなすべき電力消費量の低減においては、設備面、機器面の両アプローチに加えて、仮想化技術を活用したサーバ統合によりハードウェア・リソースの利用率向上も図ることで最大の効果を発揮する。電力効率性が高い技術/製品を採用することは当然のこととして、グリーンITという視点から再度、仮想化技術とサーバ統合の有効性について検討してみるべきだろう。

注6:なお、電力消費量は「業績」とは言い難いため、KPI(Key Performance Indicator)の訳語としてよく用いられる「主要業績評価指標」が、あまり適切な訳語とは言えないことがわかる

Green IT Topics
Google、再生可能エネルギーを用いた発電技術を開発へ
石炭よりも安価でクリーンな発電に向け年間数千万ドルを投資

Linda Rosencrance/Computerworld米国版

 米国Googleは2007年11月27日、再生可能エネルギー(Renewable Energy:RE)を使った発電技術の開発に取り組むと発表した。石炭(Coal)よりも安価なエネルギー源を目指すことから、同社ではこの開発プロジェクトを「RE<C」と命名している。

 Googleの共同設立者であるラリー・ページ(Larry Page)氏が電話会見で明らかにしたところによると、同社は再生可能エネルギーの研究開発やその他の関連投資に年間数千万ドルを支出する方針だ。「当社は、データセンターの建設を通じて、大規模エネルギー集約型の設備の設計と建築技術に関する専門的な知識を獲得した。この創造力とイノベーションを生かして、地球規模で意義のある再生可能な発電に挑戦し、石炭よりも安価に電力を生産したい」(Page氏)

 Googleによると、現在のところ全世界の電力の40%は石炭を使って発電されているという。同社の目標は、1GW(ギガワット)の再生可能エネルギー容量を石炭よりも安価に作り出すことだ。同社では「数十年ではなく数年で実現できる」(Page氏)と見通しを示した。

 Googleがこの目標を達成し、再生可能エネルギーの大規模な導入が石炭よりも安価であれば、全世界の電力需要の大部分をそのエネルギー源でまかなうことが可能になり、炭酸ガス放出を大幅に削減できると、Page氏は見込んでいる。「これは当社にとってもよいビジネスになると期待している」と同氏は述べた。

 RE<Cプロジェクトへの投資を担当するのはGoogle.orgとなる。Google.orgはGoogleの慈善事業部門で、現在は2社と共同で再生可能エネルギー技術の開発に取り組んでいる。2社とは、従来の発電所の燃料の代わりに太陽エネルギーが生み出す熱を用いる太陽熱発電を専門とする米国eSolarと、風力エネルギーの利用技術を開発している米国Makani Powerである。

 Googleでは、今回の発表は「クリーンかつグリーンなエネルギー」を生み出す同社の取り組みの1つにすぎないとしている。


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