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[米国]
オラクルによるシーベル買収。市場の反応はおおむね良好

(2005年09月12日)

 米国オラクルは9月12日、CRM市場のリーディング・ベンダー、米国シーベル・システムズの買収を発表した。これにより、オラクルは、「企業統合が進むIT業界で、勝ち残るための戦略」をまた一歩前進させたことになる。その努力に対するアナリストの反応はおおむね良好であり、シーベルの顧客も、今回の買収に伴う自社システムへの影響を慎重ながらも楽観的にとらえている。

 例えば、米国レッドモンクの主席アナリスト(ロンドン駐在)のジェームズ・ガバナー氏は、「シーベルの買収は、IBMに真っ向から勝負を挑もうとするオラクルの決意の表れだ。規模のうえでも、彼らは、IBMのソフトウェア事業に対応しうるレベルになりつつある」と指摘する。

 英国オーバムの主席アナリスト、デビッド・ブラッドショー氏も、シーベル買収はオラクルにとって良い取り引きだと見ており、「これによって同社は、一気にCRM市場のNo.1に躍り出る」と述べる。

 オラクルはさらに、安定した収入源を獲得するほか、サブスクリプション方式のアプリケーション・ホスティング事業における、より強力な足場も得る、と米フォレスター・リサーチの副社長、ポール・ハマーマン氏は指摘した。「技術の獲得よりも顧客の獲得が、メンテナンス収入の収益源として大きな意味を持っている」と同氏。また、シーベルのホスティング製品「OnDemand」も、オラクルにとって魅力的だ。オラクルは実験的にアプリケーションのホスティングを試してはきたが、サブスクリプション方式でのアプリケーション提供は開始していない。

 今回の合意発表は、アナリストや顧客にとって想定外のことではなかった。シーベルは業績不振に苦しみ、経営建て直しを必要としていた。意外だったのはオラクルの動きが素早かったことだけだ、とハマーマン氏は述べている。

 シーベルの顧客であるウェストスター銀行(本社:コロラド州ヴェイル)の上級副社長、ロブ・ヴェラッティ氏は、買収は仕方ないと語った。同銀行では、中小規模企業向けの「Siebel Professional Edition」の100シート(席)・インプリメンテーションを昨年導入したばかり。ヴェラッティ氏は、当面変化はなく、製品のメンテナンスは継続されると見込んでおり、「拡大戦略を取るオラクルが、引き続きミッドマーケット・セクタに注力し、ミッドマーケット企業向けのR&D(研究開発)への投資を続けることを、私は期待している」と述べた。

 短期的には、エンタープライズ・ソフトウェア・ベンダー各社が買収を続け、ミッドマーケット企業やR&Dに投資するので、顧客は利益を得られると見られるが、「長期的には、市場のベンダー数が減っていくので、顧客は製品の値上がりや選択肢の減少という事態に直面するおそれがある」とヴェラッティ氏は語っている。

 一方、米国赤十字のCIO(最高情報責任者)兼上級副社長のスティーブ・クーパー氏は、オラクルのシーベル買収を含む業界再編の動きには、ユーザーに利益をもたらす面もあると示唆した。「応対しなければならないベンダーが1つ減る。そうなれば、管理という観点からは楽になる」

 だが、長年業務に携わってきたCIOのほとんどがオラクルとの関係では一喜一憂してきた、とクーパー氏は認めている。これまで、非常に顧客の意見によく耳を傾けていたと思えば、無関心になったりと、オラクルの姿勢の変動は激しかった。

 また、製品の価格体系が今後どうなるかも懸念材料だ、とクーパー氏は言う。「ざっくばらんに言わせてもらえば、当社には今後どの価格体系が適用されるになるのだろうか。比較的規模の小さい顧客としては、オラクルが買収によって規模を拡大するほど、同社に対して影響力を行使するのが困難になる」と同氏。

 クーパー氏はまだ今のところ、シーベル製品や技術に対するオラクルの姿勢に不安を抱いていないが、同社と密接に関わって今後の製品ロードマップを確認したいと語っている。米国赤十字にとって重要性の高いアプリケーションの1つは、シーベル製品をベースにしたクライアント支援モジュールである。それは現在、ハリケーン・カタリーナの被災者からの情報収集に使われている。

 米国赤十字では、オラクルのCRM製品も検討したが、結局シーベルの製品を選んだ経緯がある、とクーパー氏。オラクルは、シーベル買収により、先に買収したピープルソフトの製品を含め、3種類のCRM製品を持つことになるが、クーパー氏は、どの製品が将来的に生き残るかについてはあまり気にしていないようだ。「当団体で必要としている機能が得られる限り、何が合併統合されるかに拘ることはなさそうだ」と同氏は述べた。

 アナリストの意見は、ユーザーがオラクルに対しCRM製品のロードマップに関する情報をもっと出すよう求めるべきという点で一致している。だが同時に、オラクルが短期的にシーベル製品をサポートし続けるとの見方でも一致している。

 また、オラクルの次世代スイート「Fusion」に関して、シーベル買収はオラクルの姿勢の明確化につながる、とオーバムのブラッドショー氏は捉えている。オラクル自身のCRM技術やピープルソフト買収で得たCRM技術と比較して、「シーベルの技術は、明らかに最も高い機能を備えている。私の考えでは、その機能をFusionに採用しないとしたら馬鹿げている」と同氏は指摘した。

(IDG News Service)




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