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米国企業4社のビジネスGIS[先端活用事例]
GISとBIの統合でエリア・マーケティングが変わる!
(2006年06月02日)
Business GIS Case Study 03
地理情報と販売情報の連係で競合他社に対抗
●米国ヘンズリー http://www.hensley.com/
米国アリゾナ州フェニックスに本社を置くビール卸売り業のヘンズリーは、地理情報の活用によってBIを強化することができたため、そこで得られる情報をビールと共に販売店に提供する計画だ。
| 画面6:米国セイリアントの販売管理/促進アプリケーション「Margin Minder」 |
ヘンズリーは数年前から、BIツールとして、米国セイリアントの販売管理/促進アプリケーション「Margin Minder」を導入している(画面6)。同製品は、顧客情報、収益、市場動向などをリアルタイムで把握できることを売り物にしている。ヘンズリーでは、同製品を利用して、店内の広告表示、ディスプレイ、陳列スペースの利用状況、販促キャンペーンといった要因に応じて、売上げおよび利益率がどのように変化するかといったことを分析している。この分析には、競合他社のデータやサプライチェーンのデータ(在庫量や配送コストなど)も含まれている。
| 画面7:米国セイリアントのGISツール「Geo Minder」 |
ここにきて、ヘンズリーはさらに、Margin Minderの新しいアドオン製品「Geo Minder」(GISツール)を導入した(画面7)。同製品を使えば、「この地域には何人の顧客が住んでおり、配送コスト、利益率はどのくらいか」「野球場の近くにはどんな顧客が住んでおり、試合が行われる日の売上げはいかほどか」「この地域における競合他社との価格差はどのくらいか」といった販売・営業上の課題の解を、地理情報と結び付けた形で得ることができる。
ヘンズリーの販売担当バイスプレジデント、マーク・ミラー氏によると、同社はこのシステムから得られた情報を基に、地域内での競争に勝つためには同社のどの製品を仕入れて、値段をいくらに設定すればよいかといったことを、販売店にアドバイスしていくという。具体的には、例えば、利益を1ケースにつき平均2ドルに設定している販売店(A店)があったとしよう。そして、A店の半径5マイル以内に店を構える競合店(B店)では利益を1ケースにつき平均1.80ドルに設定している。だが、販売数量はB店のほうがA店より20%多いため、利益の総額で見ると、A店よりB店のほうが多い。こういう場合、ヘンズリーとしては、A店に対して顧客を引き付けるための競争力(ここでは価格競争力)が不足していることを知らせ、対策を講じるよう促すことになるわけだ。
ヘンズリーの部門アナリスト、カーラ・ドゥーリー氏は、「現時点では、他のビール卸売り会社は販促活動に地理情報を活用していないようなので、われわれが行っている地理情報に基づく分析は販売店の収益向上に必ず役立つはずだ。そして、そうなればわれわれ自身も競合他社に対して優位に立つことができる」と胸を張る。
Business GIS Case Study 04
地理情報をはじめとする非構造型データの活用に成功
●米国大手石油会社
米国のビジネス誌、Fortuneが毎年発表する米国企業のランキング「Fortune 100」にも選ばれている米国の某大手石油会社では、これまで、構造型データに限って、GISとBIの連係に基づく分析を行ってきた。文書ファイル、表計算ファイル、PDFファイルといった業務ファイルに含まれる非構造型データについては、マイニングが難しいため、分析の対象とはしていなかったのだ。
| 画面8:米国メタカータのGISツール「Geo Tagger」 |
しかし、同社のマネジャーによると、同社が有する非構造型データの量は構造型データよりも多く、現時点で150TBにも上り、増加する一方だという。そこで、同社では、米国メタカータのWebサービス型GISツール「Geo Tagger」(画面8)を導入して非構造型データの分析に取り組むことにした。
Geo Taggerは自然言語処理によって地理情報の分析を行い、サードパーティのアプリケーションとの連係を実現するというツール。具体的には、ドキュメントを検索して、その中に地名を見つけると、緯度や経度などの地理情報をそれに付加する。この石油会社では、Geo Taggerの情報に基づき、油井の位置を関連ドキュメントとともに示した油田地図を作成している。油井は、データを入力した時期によって名前が異なることがあるが、同製品ではデータ間で油井の名前や説明が一致していなくても問題ない。
「Geo Taggerは、自然言語処理によって、異種、複数のリポジトリの構造型および非構造型データを同時に検索することができる。そのため、地理情報が研究者の技術メモ、外部のデータベース上のデータ、Webコンテンツなどいかなる場所に存在していたとしても、的確な分析を行うことができるのだ」と同マネジャーは指摘する。
さらには、自社のデータと買収した企業のデータとを連係させる際にも、Geo Taggerは有益であるという。「このツールを利用すれば、データ構造が異なる企業間でも、同一のフレームワークでデータをやり取りすることができる。したがって、企業間でデータの連係が必要な場合も、データ形式を統一する必要はなく、また、非構造型のままにしておいても何の支障もないのだ」(同マネジャー)
GISの課題は地理情報の信用性の確保
メタカータのマーケティング担当バイスプレジデント、クローディーン・ビアンキ氏によると、企業が有するデータのうち、データ・マイニングが難しいとされる非構造型データが占める割合は80%にも上り、それらのほとんどが地理情報を含んでいるという。それゆえ、この非構造型データを分析対象として取り込めるかどうかで、GISとBIの連係によって生み出される成果物の重要度は変わってくることになる。
ビアンキ氏は、「今後、GISとBIを連係させたシステムはさらに改善され、これまでは地理情報と見なされなかったデータも地理的な意味を帯びてくるだろう。例えば、 施設管理システムの電源プラグの位置などのデータがそうだ」と語り、こう続ける。
「このシステムはヒトゲノムの解析にも有益だ。なぜなら、遺伝子はすべて位置情報を有しているため、それを把握することでゲノム内の各遺伝子に関するデータ・モジュールを作成することが可能になるからだ」(ビアンキ氏)
一方、米国の市場調査会社IDCのコンサルタントであるデビッド・ソネン氏は、もっと冷めた見方をしている。「地理情報と他のシステムのデータを連係させる際には、データの正確性が問われることになろう」というのが、同氏の主張だ。
確かに、ソースが異なる地理情報の整合性を取る(例えば、外部の地理情報データベースから取り込んだ住所と社内システム上の顧客住所を対応させる)のは、簡単なことではない。だが、その前に、地理情報そのものが、量が膨大で誤りを見つけることが非常に難しいという問題をはらんでいるのだ。つまり、他のシステムとの整合性をうんぬんする以前に品質を上げる必要があると、ソネン氏は指摘するのだ。
ちなみに、ステープルズのゴードン氏も、すでに地理情報の問題点に気づいているようである。
「GISは確かにビジネスにメリットをもたらす。だが、GIS技術によって何を行うことができるのか、また、どこまでその情報を信用していいのかという点で限界があるのも事実だ」(ゴードン氏)
なお、GISの活用レベルは、企業の業種や規模、サービスの利用形態などによって、4つに分類することができる。この4つのレベルを表1にまとめたので、参考にしていただきたい。
| 表1:GISの4つの活用レベル |



