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[国内] 【HITACHI Open Middleware World】
「“捨てる勇気”が新たな競争優位性を生み出す」――セコム会長が熱弁

セコムの経験を通して変化を恐れない姿勢の必要性を訴え

(2007年11月20日)

 「ITの進化は社会・経済・産業に構造的、本質的な変革をもたらした。変化できない企業は消え去るしかない」――日立製作所が11月19日に開催したプライベート・イベント「HITACHI Open Middleware World 2007 Autumn」の基調講演において、セコム取締役会長の木村昌平氏が、企業の成長のためには変化を恐れない姿勢が重要であると訴えた。

 HITACHI Open Middleware World 2007 Autumnは、「JP1」や「HiRDB」、「Cosminexus」といった日立のミドルウェア製品群をテーマとしするイベント。木村氏の基調講演に先立ち、同社のソフトウェア事業部長、中村孝男氏が開会の挨拶を行い、「ビジネス環境の変化に対応するには、企業戦略を柔軟に変革させていかなければならない。そのためには変化に強いシステム基盤が不可欠」と語り、そうしたシステム基盤の構築手法として同社のミドルウェア製品群が有効であるとアピールした。
 

ITによって大きく変わった企業の“関係性”

 基調講演の壇上に立った木村氏は、産業・企業を主導する牽引力の変化について言及した。同氏によれば、かつての工業化社会は当初、発明や発見が牽引力となるサイエンス・ドリブンの社会だったが、それが後に性能や生産性が重視されるエンジニアリング・ドリブンの社会へと変遷したという。

セコム取締役会長の木村昌平氏

 情報化社会へと移行した現在、マーケットが牽引力となった。しかも「そのマーケットでは、セグメント化された集団ではなく、顧客一人ひとりのニーズをとらえなければならない」と木村氏は語り、そのために情報の重要度が高まったことから、現在は情報ドリブンの社会に移行したと指摘した。

 木村氏は、情報は2種類に分けられるとし、その1つとしてナレッジを挙げた。このナレッジとはITの世界ではERPやCRM、SCMなどが扱ってきた情報で、企業にとっては価値創造の源泉となるものだという。

 そして木村氏は、情報のもう1つの種別はコミュニケーションであるとし、「ナレッジも重要だが、こちらのほうがより重要なのではないだろうか」と問いかけた。同氏の言うコミュニケーションを換言すれば、関係性ということになる。「企業は株主や経営者、従業員、顧客などの関係性の中で成り立っている。この関係性がITの進化によってがらっと変わった」(同氏)。

 関係性はそれを成り立たせる媒体によって大きく変わると木村氏は語り、ITがその媒体として重要な役割を担うようになった現在、そうした変化に追随できない企業は、消え去る運命にあると強調した。
 

過去の強みは未来の負の資産になりうる

 また、木村氏は、企業が継続的に成長していくためには「捨てる勇気」が必要だと訴えた。創業以来45期連続で増収を続けているセコムにしても、成長の背景にはこの捨てる勇気が大きな原動力となってきたとのことだ。

 その好例が、巡回警備からの撤退である。ガードマンを派遣して顧客先の警備に当たらせる巡回警備は、当時のセコムにとってコアとなる事業だった。それを捨てようという提案を突然、同社創業者の飯田亮氏が木村氏ら幹部全員に投げかけてきたのだという。

 だが、この事業に業績的な問題があったわけではない。むしろ高い収益性を維持し、成長性も抜群だったため、木村氏らは全員一致で「撤退はとんでもないことだ」と答申した。それを聞いた飯田氏は、「本当に全員の意見か」と確認したうえで、「それでは、やはり撤退しよう」と即決したという。

 そうした経緯を経て巡回警備という本業を捨て、機械警備を利用するオンライン・セキュリティに注力したことで、セコムは大きく躍進した。幹部たちの答申を聞いた飯田氏は、全員が反対したのであれば、競合企業がオンライン・セキュリティに力を入れようと考えているはずがなく、この事業が将来的に競争優位性を生み出すことになると確信したとのことだ。

 また、このオンライン・セキュリティは1966年に開始したため、専用回線を利用していた。木村氏によれば、セコムの成長に合わせて回線を増やしていった結果、日本の特定回線の43%をも占有することになり、同社にとって最大の経営資源と言えるものになった。だが、この専用線も早期に利用を取りやめたという。

 ブロードバンドが普及するなか、通信速度が50bpsと著しく低速なこの専用回線が将来の負の資産となることは目に見えていた。木村氏は、「過去の強みが負の資産になることもある。それを見極め、決別する勇気が必要」とし、その勇気が新たな事業機会、競争優位性を創出すると、捨てる勇気の重要性を強調した。

(大川 泰/Computerworld)




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