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【事例研究】
インテリジェントな電子フォームで業務プロセスを大改革――米国スナップオン・クレジット

ビジネス・スピードのアップと業務処理コストの低減を実現

(2008年05月01日)

 機械工具/機器の大手メーカー、米国スナップ・オン(Snap-on)のグリープ会社として、金融サービスを提供しているスナップ・オン・クレジット(Snap-on Credit)は先ごろ、Snap-on製品を購入した顧客とのクレジット契約を合理化するインテリジェントな電子フォーム・アプリケーションを構築した。この仕組みにより、スナップ・オンと、その販売店とを結ぶビジネス・プロセスは大幅に効率化されたという。

 スナップ・オンが提供している「Snap-onシリーズ」は、米国の自動車技師や航空技師の間で、「高品質工具」の代名詞として知られる人気ブランドだ。

 スナップ・オン・クレジットは、そうしたSnap-on製品のフランチャイズ網を形成する世界各国3,500店の加盟店と連携しながら、顧客とのクレジット契約に関する業務処理全般を請け負っている。

 従来、スナップ・オンの加盟店では、(移動式店舗である)ライトバンに搭載されたスタンドアロン型のPOSシステムーー同システムは、ハタラ・システムズ(Hatala Systems)社が開発したもの――を用いて、クレジット契約書を作成/印刷し、当該顧客の手書き署名を付したのちに、スナップ・オンの支社に提出していた。

 また、それらの契約書は、各支社からスナップ・オンの本社に送付され、スナップ・オン・クレジットによる所定の処理が行われていたのである。

 「この従来プロセスの中で、毎週、数千件にも上る紙の契約書がスナップ・オン・クレジットに送られてきた。その処理コストは非常に高くつき、処理の遅延も避けられなかった」と、スナップ・オン・クレジットの事業運営/システム・インテグレーション担当ディレクター、トーマス・ニーマン(Thomas Niman)氏は述懐する。

 加えて、これらの契約書類は、基本的に、店舗販売員の手入力だけを頼りに作成されていた。そのため、情報の不備・入力ミスも頻繁に発生し、その発生率(つまり、情報の不備・入力ミスのある書類の発生率)は全体の約15%に上っていたのである。

 当然のことながら、情報の不備・入力ミスのある書類は、各加盟店に差し戻し、彼らに修正させる必要があった。また、この修正プロセスの中で、各加盟店は、当該顧客に改めて問い合わせを行って問題個所を修正し、契約書を作りなおし、顧客の署名を再度求めなければならなかった。

 「そのため、書類上の不備を修正し、クレジット契約の処理を完了させるまでに、7営業日以上かかるケースも珍しくなかった」と、ニーマン氏は言う。

 さらに、この従来プロセスには、もう1つの問題があった。

 それは、加盟店による契約書類の提出が、週の終りに集中していたことだ。これにより、スナップ・オン・クレジット側では、「膨大な数の契約書を、1日にまとめて受け取る」といった状態が続き、処理の遅延が恒常化していたのである。

電子フォームによる
プロセスの自動化

「Adobe LiveCycle Reader Extensions」を用いて開発されたスナップ・オン・クレジットの電子フォーム

 上述したような問題を抜本的に解決すべく、スナップ・オン・クレジットは、クレジット契約にかかわるワークフローの合理化・自動化に乗り出した。

 このプロジェクトにおいて、同社が開発したのが、各加盟店が利用するPOSシステムと統合化された新たな電子フォーム・アプリケーションである。

 その開発に当たり、同社はまず、POSシステムに電子署名システムを付加するために、コミュニケーション・インテリジェンス(Communication Intelligence Corporation:CIC)の特許技術「Sign-it」をベースにした電子署名コンポーネントと、トパーズ・システムズ(Topaz Systems)の電子署名入力パッドの採用を決めた。

 次に、ニーマン氏は、この電子署名システムと連携する電子フォーム・ソフトウェアの選定作業に入った。その結果として、同氏は、CICから勧められた、アドビ システムズ(Adobe Systems)の「Adobe LiveCycle Reader Extensions」を採用することにした。

 このソフトウェアは、PDFファイルのリーダ(表示機構)であり、フリー・ソフトウェアの「Adobe Reader」の拡張機能――例えば、電子フォームへのデータ入力や電子署名の付与、ファイルのローカル保存、など――を有効にするものだ。

 この仕組みによって、スナップ・オン・クレジットと加盟店の間でやり取りされていた紙の契約書類を、完全に電子化することが可能であった。また、Adobe LiveCycle Reader Extensionsベースのアプリケーションの場合、電子フォームの利用持に必要とされるソフトウェアが、基本的に、フリー・ソフトウェアのAdobe Readerだけという魅力もあった。さらに、PDFの技術を用いることで、スナップ・オンの各加盟店が使い慣れた紙のフォームとまったく同じ体裁の電子フォームが簡単に作成できたのである。

 「こうした利点・魅力は、Adobe LiveCycle Reader Extensions採用の決め手となった」と、ニーマン氏は言う。

電子フォームへの移行が
急ピッチに進展

 もちろん、各加盟店には、それぞれの業務スタイルがある。

 そのため、スナップ・オン・クレジットは、新たに構築した電子フォーム・アプリケーションの活用を、全加盟店に強制することを避けた。つまり、同社が推進する契約文書の電子化プログラムに参加するかしないかは、加盟店それぞれの判断に委ねたのである。

 もっとも、スナップ・オン・クレジットが、今回の電子フォームの仕組みを各加盟店に紹介したところ、予想をはるかに上回るペースで、同プログラムに参加する加盟店が増えていったという。

 その当時の様子を、ニーマン氏はこう振り返る。

 「今回の電子フォーム・アプリケーションについては、驚異的なペースで加盟店への導入が進んだ。具体的には、プログラムの始動からわずか半年で、米国にある加盟店の約80%が、電子フォームの活用を始めた。また、別の言い方をすれば、パイロット・ユーザーの第1号店が出てから、およそ9カ月間で、全契約書の90%以上が電子フォームで提出されるようになったのだ」

 このような「驚異的な導入スピード」をもたらした背景には、今回開発された電子フォーム・アプリケーションの使い勝手の良さと効率性がある。

 例えば、スナップ・オンの各加盟店(の販売担当者)は、自分たちのPOSシステムにインストールされたAdobe Readerを用い、所定の電子フォームに必要な情報を入力すれば、提出用の契約文書を完成させられる。あとは、完成させたフォームのメタ・データを(インターネット経由で)スナップ・オンの本社に送信すれば、契約書送付のフローは完了となる。

 また、電子フォーム(契約書フォーム)の作成時に、加盟店側が手作業で入力しなければならないデータは、従来に比べてはるかに少なくなった。というのも、ハタラ・システムズが、POSシステムのデータ(XML形式のデータ)を、PDF形式の電子フォームにエクスポートするメカニズムを開発したからだ。これにより、契約書フォームへのデータ入力の多くが自動化されたのである。

 他方、顧客が記した署名は、トパーズの電子署名入力パッドと、CICのソフトウェア・コンポーネントを通じて、PDFフォーム内の指定されたフィールドに自動的に適用される。

 さらに、このプロセス(契約書フォームの作成プロセス)では、ファイル作成時の人的なミスを最小化するために、入力情報に対する一連の編集チェックがかけられ、「契約内容に誤りがないかどうか」や「クレジット内容のコンプライアンス性」などがシステム的に確認されるのである。

 このほか、各加盟店やスナップ・オン・クレジットの社員が、クレジットの申込書や契約内容を閲覧したい場合には、PDFフォームのテンプレートに、閲覧したいデータを読み出すことも可能となっている。

向上するビジネス・スピード

 電子フォームによる業務プロセスの合理化は、スナップ・オン・クレジットはもとより、スナップ・オンと、その加盟店に、ビジネス・スピードの向上という大きなベネフィットをもたらしている。

 「従来のプロセスでは、クレジット契約書の受け取りと処理に、数日間の時間が必要だった。それが今では、わずか数分ですべての処理が完了できる。加えて、契約書類に対する情報の記入ミス・不備の発生頻度も、従来の15%から2%未満にまで激減した。これにより、加盟店は、顧客に商品を納品後、数分以内に(スナップ・オン・クレジットによる代金の立替え)支払いを受けられるようになった」(ニーマン氏)

 当然のことながら、こうした効率的なワークフローは、スナップ・オン(および、スナップ・オン・クレジット)の業務処理コストの低減に直結するものだ。よって、各加盟店と顧客には、製品価格のディスカウントというかたちでの見返りも期待できる。

 なお、ニーマン氏は、話の締めくくりとして、今後の抱負を以下のように述べている。

 「今回のプロジェクトの成功は、われわれの業務プロセスに、CICの電子署名技術と、アドビの技術をすみやかに統合できたことによるものだ。今後は、電子フォーム処理の自動化をさらに推し進め、スナップ・オンの加盟店がよりスピーディに、かつ、容易に事業を運営できるようにしたい」

(Computerworld.jp)




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