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データ・マネジメント

RFIDのこんな使い方、あんな使い方──タグのコスト低下で、普及に弾み

(2006年09月27日)

RFIDの普及に関しては、これまで常に強気と弱気が交錯してきた。だが、RFIDタグのコストが低下したことで、その特性を生かしたアプリケーションでの採用が進み、米国では今、RFIDの普及に弾みがついている。

リンダ・ローゼンクランス
Computerworld 米国版

進む技術、下がるコスト

 RFID技術が登場して数年になるが、いまだに当初期待されたほどには普及していない。しかしながら、ニュークリアス・リサーチのアナリスト、レベッカ・ウェットマン氏は、「実装のためのコストが低下するとともに、最近では資産管理やサプライチェーン・オートメーションなど、RFID技術本来の特性を生かしたアプリケーションも見かけるようになった」と、本格普及の息吹を感じている様子だ。

 本格普及の兆しは、まずはコスト面から表れた。「ここにきて、RFID分野で注目すべき技術革新が続いたこともあって、RFIDはコスト面からバーコードやスキャニング・システムの有効な代替技術と見なされるようになった。実際、タグは安くなったし、それらのデータを管理するインフラのコストも下がった。ようやく小売店などでも、RFIDを導入する環境が整ったと言える」(ウェットマン氏)というのである。

 RFID関連情報を企業向けに提供しているRFIDスイッチボードのアナリスト兼最高技術責任者、ルイス・シリコ氏も、多くの企業がRFID技術を実装し、オフィスや駐車場などの資産管理にも利用するようになったと、最近のRFIDの普及ぶりを証言する。同氏は、「コストが低下すれば、RFIDはさらにユビキタスになるだろう」と指摘し、こう続ける。

 「企業は商品にはもちろん、資産にもRFIDタグをビルトインしつつある。何にタグを付けるのかは、もはや問題ではないのだ。タグの普及を阻害していたのはコストだが、量産化によってコストは下がった。その結果、ROIが向上し、それに連れて、導入企業も増加している。そうやって需要が増加すれば、コストはさらに低下する」

 シリコ氏によると、RFIDタグのコストは劇的に低下したという。パッシブRFIDタグのコストは2000年には1個当たり1ドルだったが、現在は20セント以下になっている。また、アクティブRFIDタグのコストも大幅に下がり、2000年に75ドルから100ドル程度だったものが、現在は15ドルないし20ドルになっている。

パッシブ・タグとアクティブ・タグの比較

 RFIDシステムでは、タグから読取装置やスキャナへとデータが転送されるが、どのタグが最適であるは状況やアプリケーションによって異なる。以下では、パッシブ・タグとアクティブ・タグのそれぞれの特性と電波の送受信範囲、コストを示した。タグを導入する際の参考にしていただければ幸いだ。

パッシブ・タグは内部に電源を持たない。スキャナからの電波を受信することでアンテナに微弱電流が流れ、タグの集積回路が起動、応答するために必要な電力が供給される。パッシブ・タグはID番号を送信したり、チップにデータをストアしたりすることができる。オンボードの電源を必要としないため、デバイスは小型化することが可能で、寿命は半永久的。

  • 送受信範囲:周波数にもよるが、10センチメートルから数メートル。
  • 価格:1個当たり平均20セント。2000年の1ドルから大幅に下落した。

アクティブ・タグは、内部に電源を持ち、そこから信号を送信する集積回路に電力を供給する。オンボードに電源があるため、パッシブ・タグよりも強力な信号を出すことができ、液体(ほとんどが水分で構成される人や家畜などを含む)や金属(コンテナや自動車)、あるいは比較的長い距離など、特殊な環境下でも利用することが可能。アクティブ・タグのバッテリー寿命は10年ほど。

  • 送受信範囲:数百メートル。
  • 価格:15〜20ドル。2000年の75〜100ドルから大幅に下落した。

RFIDをコンテナ追跡管理に生かす

 国際的なコンテナ輸送会社であるAPLは、アクティブRFIDを利用したウェアネットのリアルタイム位置検索システムと港湾ターミナル・ソフトウェアを利用して、ロサンゼルス港にある広大なグローバル・ゲートウェイ南ターミナルでコンテナの追跡管理を行っている。

 「300エーカーのサイトにおいて目的のコンテナを追跡できることは、顧客サービスを展開するうえできわめて重要だ。実際、8,000から9,000もの区画の中から目的のコンテナを特定するのは容易な作業ではない」と、APLのポート・オペレーション担当ディレクター、ナサニエル・シーズ氏は、アクティブRFIDを利用した位置検索システムを採用するに至った背景を説明する。

 ちなみに、APLでは1997年に南ターミナルがオープンして以来、旧式のトラッキング機材でコンテナの列をスキャンしてきたが、そのシステムでは、目的のコンテナを見つけるまでに最大で3時間ほどもかかっていたという。

 「従来のインベントリ・システムは、“とりあえず空いている場所に置いておけ。あとで探す”方式だった」とシーズ氏。しかしながら、事業の拡大とともに管理すべきサイトが増え、「そのやり方では迅速な対応が難しくなった」(同氏)のである。

 そこでAPLでは、GPS技術、モーション・センサ・システム、RFIDなどの中から代替技術を選択することにし、最終的にウェアネットのシステムを採用することにしたのである。コンテナの位置をリアルタイムで特定できることに加え、コスト効率の高さが決め手になったという。

 システムを導入するにあたっては、コンテナを輸送する3万台のシャーシとターミナル・トラックにWhereTagトランスミッタを装備するとともに、ローカル・インフラとしてターミナル・サイトの80カ所以上に無線LANアクセスポイントを、入口ゲート12カ所、出口ゲート8カ所にポート・デバイスを設置し、サイトを出入りするシャーシを自動的に確認できるようにした。このシステムは、オンサイトのシャーシをリアルタイムで追跡し、パーキング状態になったところでシャーシの位置を自動的に更新する。

 現在は、コンテナがAPLの船から降ろされ、シャーシに載せられた時点で、事務員がコンテナ、シャーシ、構内トラクターのIDを確認し、ターミナル管理ソフトウェアに入力する。コンテナとシャーシをターミナルに運び込む構内トラクターにはセンサが搭載されており、コンテナを載せたシャーシを切り離した地点で、その位置が自動的に記録される。

 「今回のLAターミナルでの導入が、港湾ターミナルへのウェアネットの配備としては世界で初めてであったため、まさに手探りの状態で実装を進めなければならなかった」とシーズ氏は振り返る。

 とはいえ、実装はそれほど難しくはなかったという。APL側が、アクティブ・タグやDTOA(Differential Time Of Arrival)ロケーション・アルゴリズムなどのコア技術について十分に理解していたからだ。だが、ウェアネット側ではAPLサイト向けにいくつかの新しいロケーション・アルゴリズムを開発する必要があった。

 例えば、「トラクターのセンサをどの段階でどのように起動させるか、あるいはトラクター・センサ以外の手段で、ある場所から他の場所に移動したシャーシの位置を特定するアルゴリズムをどのように記述するかといったこと」(シーズ氏)を解決しなければならなかったのだ。

 そうした技術的問題を克服し、プロジェクトは成功裏に終了した。成功と表現したのは、ROIが良好だったからではない(確かに、結果的に良好ではあったが)。それは、プロジェクトの本来の目的である顧客サービスの改善が図れたからだ。

 シーズ氏も、次のようにプロジェクトの意義と成果を強調する。

 「われわれが気にしているのは常に顧客だ。今回のプロジェクトでも、顧客サービスを向上させることがねらいであり、コスト・カットは目的ではなかった。結果的にオペレーションの効率化につながったが、たとえコストがセーブできなくても、われわれはプロジェクトを遂行しただろう」


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