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【Videoインタビュー】
日本オラクルの新宅氏が語る戦略と展望 Update

目指すは、“データベースのNo.1”から“エンタープライズ・ソフトウェアの総合No.1”へ

(2007年08月23日)

SMB市場の戦略とSaaSへの期待

――オラクルの製品は、どちからと言えば、中小の企業よりも、大手の企業のほうに広く浸透しているという印象を受けます。今後、中堅・中小の企業の市場、つまり、SMB市場での売上げをどう伸ばそうとお考えですか。

 念のために申し上げておきますが、SMB市場におけるオラクル製品のシェアは、決して低いわけではありません。データベース製品に関しては、かなりの数の企業でお使いいただいています。

 とはいえ、データベース以外のオラクル製品については、日本のSMB市場にさほど浸透していないというのが現状です。

 ですから今後は、SMBをターゲットにしているISV(独立系ソフトウェア・ベンダー)の方々に、当社のデータベースのみならず、ミドルウェアやBIを含めた、オラクル・テクノロジーのフルセットを、より積極的に使っていただけるようにしなければなりません。

 現在、SMB向けのソフトウェア製品を提供しているISVの多くが、オラクルのデータベースを製品に組み込んでいます。ですが、データベースの使い方にしても、データベースのデザインにしても、オラクル製品ならではの優位性や機能をフルに生かしたものは、あまり見受けられません。

 その意味でも、ISVの方々にはぜひ、他社製品にはないオラクル製品の機能や技術をフルに活用いただき、それぞれの製品の価値を高め、差別化を図っていただきたいと思います。

 もちろん、そうなるまでには一定の時間がかかるでしょうが、当社としては、その実現に向けて最大限の努力を払うつもりです。

――SMB市場での売上げ拡大には、SaaS(Software as a Service)のソリューションも有効ではないのですか。

 もちろんそうです。SMBの市場は、われわれが提供するSaaSソリューションの重要なターゲットです。

 言うまでもなく、企業規模が小さいからといって、必要とするアプリケーションの機能が少ないわけではありません。

 ですが、中小の企業は、大手の企業のように、アプリケーションの初期開発に膨大なコストはかけられません。それゆえに、中途半端な機能しか持たないソフトウェアの導入・活用を余儀なくされてきたわけです。

 そうした企業に対して、多彩な機能を持ったアプリケーションを安価に提供するのが、SaaSのソリューションです。その成功と発展は、中小の企業にとって大きな意味を持つと確信しています。

SaaSがローコスト・オペレーションの
基盤を築く

――オラクルのSaaSソリューションは、SMB市場に照準を合わせたものなのですか。

 いや、中小の企業のみならず、大手企業にとっても、SaaSのソリューションは有効ですし、有益です。

 例えば、大手企業が、何らかの新事業を立ち上げることになり、それに伴い、営業系の新システムを早急に構築しなければならなくなったとしましょう。

 そのような際に、システムを一からデザインしていたのでは、ビジネスのスタートアップに間に合わなくなるおそれがあります。

 また、新規事業のスタート時点では、どのような営業モデルが適切かがわからないケースもあるでしょう。そんな中で、「現状分析を行ってから、To-Beモデルを描き、そのうえでシステムを設計して、開発に着手する」といった、お決まりの開発手順を踏むのは、ある意味で、時間の浪費ですし、ナンセンスです。

 となれば、ある程度完成しているアプリケーションの機能を用いたほうがよいという結論に至るはずです。

 実際、SaaSのソリューションを用いれば、きわめて短期間のうちに必要なITサービスを立ち上げることが可能ですし、そのサービスを使いながら、機能的な修正や追加、調整を行っていくこともできるのです。

 加えて、オラクルが提供するSaaSソリューションを採用すれば、データのセキュリティもしっかりと確保されますし、SaaSのサービスを、SCM(サプライチェーン管理)システムといった、企業内の他の基幹アプリケーションと連携させることもできます。

 さらに、SaaSの場合、導入当初はスモールスタートで始めて、段階的に規模を拡大していき(ユーザー数を増やしていき)、スケールメリットが得られるようになった時点(つまり、SaaSとしてアプリケーションを使用し続けるよりも、そのアプリケーションを自社で保持したほうが安上がりで済むようになった時点)で、システムごと自社内に取り込んでしまうことも可能です。

 このような柔軟性は、ユーザーにとってきわめて魅力的だと思いますし、今後は、こうしたかたちのシステム導入・展開のスタイルが一般化すると、私は見ています。

――とはいえ、SaaSモデルが威力を発揮する領域(アプリケーションの領域)は、ある程度、限定されると思うのですが。

 確かに、ERPやSCMの領域にSaaSモデルを適用するというのは無理があるでしょう。やはり、SaaSの主たるターゲットは、CRMや人事、財務会計といった領域になるはずです。また、コンテンツ・マネジメントやグループウェアといった領域でも、SaaSの仕組みが有効に機能すると、私は考えます。

 いずれにせよ、SaaSの優位性は、システムの要件定義からコストの見極め、開発、エンドユーザー・トレーニング、そして、立ち上げに至る一連のプロセスを、迅速かつスムーズに回せることです。
 これにより、中小の企業におけるシステム開発の手間・コストは大幅に削減されるでしょうし、スタートアップ企業や新事業に向けたシステム開発も効率化されます。

 また、自治体なども、SaaSのソリューションを積極的に活用すべきだと思います。というのも、各自治体の人事システムや会計システムにさしたる違いはなく、それぞれが個別にシステムを構築し、運用しているというのは明らかに非効率だからです。

 さらに、買収した企業やグループ会社の会計システム/会計基準を統一し、グループ全体の財務上のガバナンスを取るうえでも、SaaSのソリューションは有効です。実際、オラクルでも、買収各社の会計基準/会計システムを、SaaS的なアプローチによって一本化し、大きな成功を収めているのです。

 企業の中には、既製のアプリケーションやSaaSでは、自社のビジネス要件を満たせないと考える向きもあるでしょう。

 ですが、今日のように変化が激しく、また、ITのシステムが満たすべき基本的な要件が厳しさを増す中で、必要とされるシステム/アプリケーションを一から開発し続けるというのも、明らかに非効率です。

 やはりこれからは、「システムの骨格・土台となりうる機能・仕組みが存在しているならば、それを用い、迅速にシステムを立ち上げる」といった、SaaS的なシンプルな発想・アプローチが求められるのではないでしょうか。

――現在、大手企業の間では、グループ各社に対してアプリケーションのサービスを提供し、シェアさせるという動きも見られ始めています。こうした「シェアド・サービス」の動きとSaaSとの関係について、どのような見解をお持ちですか。

 シェアド・サービスは、ある意味で、SaaSモデルの変形と言えるもので、その動きは今後さらに活発化するでしょう。

 ただし、ユーザー企業がシェアド・サービスに乗り出すにしても、ぜひ、SaaSベンダーが採用している課金のメカニズムなり、インフラ設計の手法なり、ビジネス・モデルなりを参考にし、また、取り入れていただきたいと考えます。

 例えば、当社のようなSaaSプロバイダーは、サービス・コストを抑え、利幅を少しでも広げるために、インフラのトータル・コストを徹底的に切り詰めています。また、その実現に向けて、SaaSプロバイダーが何を行っているかと言えば、それは、システム(ないし、インフラ)の標準化にほかなりません。要するに、インフラ全体の標準化を徹底して推し進め、運用管理のコストを最小限に抑えているわけです。

 今日、ユーザー企業の多くがシステム運用管理コストの増大に悩まされていますが、その大きな要因は、インフラの標準化が行われていないことと、標準化されていないインフラ上に独自的な機能を乗せ過ぎていることの2点に集約できます。

 逆に言えば、標準化を念頭に置きながらシステムのアーテキテクチャを設計し、最良のソフトウェアを選択・導入することで、システムのトータル・コストを下げ、新規のIT投資を拡大することが可能になるのです。

 そして、SaaSのモデルは、企業システムの標準化を促すとともに、ITの真のローコスト・オペレーションを実現する基盤を形成するものです。これはSaaSがもたらす大きな価値であり、私がSaaSに期待している理由も、そこにあるのです。

 さらに言えば、オラクルのSaaSソリューションでは、サービスやITリソースの使用量に基づく従量課金のメカニズムが提供されています。こうした課金のメカニズムは、シェアド・サービスを展開するうえでも、きわめて重要なものです。

 もちろん、その仕組みをユーザー自らが開発してもよいのですが、ビジネスのインフラとしてきちんと機能しているメカニズムをそのまま用いたほうが、はるかに合理的で、システムとしての信頼性も高まるのではないでしょうか。


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