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【インタビュー】
ビジネスオブジェクツ幹部が語る、買収後の戦略とBIの未来像

「SAPによる買収は両社にとって、まさにベスト・シナリオ」

(2007年11月19日)

大手ベンダーによるビジネス・インテリジェンス(BI)ベンダーの買収が続くなか、日本ビジネスオブジェクツはプライベート・イベント「Business Objects Insight Japan 07 Fall」を11月7日に開催した。編集部は、同イベントのために来日したビジネスオブジェクツのシニア・バイスプレジデントでアジア・太平洋・日本地域ジェネラルマネージャー、キース・バッジ氏にインタビューを行い、SAPによる買収の影響や、それ以降の取り組みなどについて話を聞いた。

大川 泰
Computerworld編集部

――SAPによる買収の完了後、ビジネスオブジェクツはどのような形で存続するのだろうか。

バッジ氏:買収後は、SAPのビジネス・ユニットとなるわけだが、組織の体制はこれまでと変わらない。CEOのジョン・シュワルツは買収後もCEOであり続けるし、R&D、セールス、マーケティングといった活動も、これまでと同様だ。もちろん、プロジェクトによってはSAPと共同で取り組むこともあるだろうが、今後も両社は別々の独立した組織として機能し続ける。

Business Objects Insight Japan 07 Fallで講演するキース・バッジ氏。同氏は、SAPによる買収が友好的なものであり、ビジネスオブジェクツ、さらには同社の顧客やパートナーに多大なメリットをもたらすと訴えた

 これはすでに公表されていることだが、SAP以外の企業からもビジネスオブジェクツに対して買収のオファーがあった。そうしたオファーについては、ビジネスオブジェクツの役員会で精査したが、その際にSAPが提示してきた内容がビジネスオブジェクツの戦略にマッチしていることがわかった。そこで話し合いに弾みがつき、10月7日の正式発表に至ったのだ。

――どのような点がビジネスオブジェクツの戦略とマッチしていたのだろうか。

バッジ氏:SAPが注力する領域の1つにビジネス・ユーザーがある。ここで言うビジネス・ユーザーとは、企業/組織の中で、単に担当のプロセスに携わるだけではなく、意思決定を行う立場にある人々のことだ。

 意思決定のためには、さまざまな情報が必要になる。その情報の入手先は、SAPのアプリケーションかもしれないし、オラクル、マイクロソフト、あるいはIBMの製品の場合もある。そこで重要になるのは、そうした多種多様なデータソースに対応できる技術であり、それを有しているのは、まさにビジネスオブジェクツなのだ。この点を考えれば、当社が買収後も独立性を保つことがSAPにとっても価値のあることだと理解していただけるだろう。

 一方、ビジネスオブジェクツとしても、製品/サービスを提供できる範囲を広げていきたいというビジョンがあり、そのためにはSAPグループの一員となるのが有効だと判断した。この業界では敵対的買収の例は多いが、両社の利害が一致した今回は違う。当社の従業員は、買収完了後にどのようなチャンスが待ち受けているのだろうと、今から楽しみにしている。

――今回の買収に先立ち、オラクルがハイペリオンを買収するという発表があった。これついては、どのように見ているのだろうか。

バッジ氏:オラクルによるハイペリオンの買収は、アプリケーションとBIというそれぞれの領域でのナンバー2とナンバー3が手を組んだものだ。一方、SAPとビジネスオブジェクツは、それぞれの領域におけるナンバー1である。この両社が手を組むことで、非常に強靭でパワフルなチームとなるはずだ。

――オラクルによるハイペリオンの買収は、SAPおよびビジネスオブジェクツの決定に何らかの影響を及ぼしたのだろうか。
同イベントには、SAPのCEO、へニング・カガーマン氏のビデオ・メッセージが上映された。カガーマン氏も同様に、ビジネスオブジェクツとの友好的な関係をアピールした

バッジ氏:その点についてはコメントを控えたい。私が言えるのは、買収劇の表層を見るのではなく、SAPがビジネスオブジェクツの買収に至ったロジックを考えてほしいということだ。先ほど説明したようにSAPは、この買収後もビジネスオブジェクツが独立性を保つことを望んでいるし、ビジネスオブジェクツの戦略から見てもそれが理にかなっている。両社にとって今回の買収は、まさにベスト・シナリオなのだ。

――それでは、SAPによる買収が完了した暁には、ビジネスオブジェクツはどのような取り組みを進めるつもりなのだろうか。

バッジ氏:さまざまな戦略を打ち出していくことになるだろうが、そのうちの1つが、業界固有のニーズにフォーカスした分析アプリケーションだ。これについては、SAPによる買収が大きなアドバンテージとなるだろう。SAPはさまざまな業界を熟知しており、その専門知識とわれわれの分析能力を組み合わせることにで、すばらしい製品/サービスを提供できるようになるはずだ。

 R&Dの面では、従来からBI 2.0という戦略に基づいて進めてきており、これからも同様に取り組んでいく。このBI 2.0によって、BIのリアルタイム性が高まるだろうし、さまざまなアプリケーションに分析機能を組み込めるようになる。さらには、BIがユビキタスなものへと変貌を遂げていくだろう。このユビキタスBIとは、人々が日常的に取るさまざまな行動の中で、気づかないうちにBIが存在しているというものだ。

 そのほかの詳細なアクティビティや次の製品のロードマップについては、実際に今回の買収が完了するまで、お話しすることはできない。おそらく、来年の第1四半期には何らかの形でお伝えできると思う。

――ユビキタスBIが実現したときには、どのようなことが可能になるのだろうか。

バッジ氏:ここから先は、あくまでも私個人のアイデアとして聞いていただきたいが、多様な用途があると思う。ユビキタスBIによって、テレコム業界や金融業界をはじめ、さまざまな企業が製品/サービスを提供する際にBIを活用できるようになる。これは、企業ユーザーのビジネスに貢献するのはもちろんだが、一般のコンシューマーの生活にも恩恵をもたらすものになるだろう。

 例えば、ある銀行の顧客がショッピング・モールを歩いているとしよう。銀行は、顧客がどこで何を購入したのかといったことを分析して、その顧客のためにカスタマイズしたオファーを用意し、さらには地理データを参照して近くの支店に案内するメッセージをその顧客の携帯電話に送る。メッセージには、「あなたのために特別なオファーを用意しました。すぐ近くの支店でお待ちしています」といった内容が記載されているわけだ。

 こうしたことがいずれは本当に実現すると思うが、今のところは、企業に対して、パフォーマンス・マネジメントやリポーティングといった機能を提供することが先決だ。だが、将来的にBIは、今述べた例のようにエキサイティングなものになるはずだ。




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