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ディザスタ・リカバリの迷路を解く

複雑な状況の中、自社にとってのベスト・プランにたどり着くためには

(2008年01月08日)

仮想化がディザスタ・リカバリを複雑に

画面1:代表的なサーバ仮想化ソフト「VMware ESX Server」。サーバ統合が進み効率化が図られる反面、ディザスタ・リカバリは複雑なものとなってしまう

 テキサス州リチャードソンの冷暖房システム・ベンダー、Lennox InternationalのCIOであるロッド・フローリー(Rod Flory)氏は、サーバの効率性と柔軟性を高めるために、サーバ仮想化ソフトウェアを導入した。しかし、それが逆にディザスタ・リカバリを困難にしたという。

 「VMwareの導入により、サーバを増設しなくても、メモリやCPUを変更するだけで柔軟にサーバ・プラットフォームを強化することが可能になった。しかし、その結果、四半期ごとにわれわれのシステム環境は変化するようになった。そうした変化にホット・サイトを追随させることは非常に困難だ」とFlory氏は説明する。

 同社はディザスタ・リカバリ・テストを毎年行っており、「5人のスタッフを数週間専任させるなど、1つのプロジェクトと言えるほどの規模でディザスタ・リカバリ・テストを実行している」(Flory氏)。ディザスタ・リカバリ・テストは現状、問題なく完了しているが、同社はディザスタ・リカバリ専門業者へのテスト委託を将来的に検討している。「鳥インフルエンザのような状況があるかもしれない。ディザスタ・リカバリを知っている人間が5,6人いたとしても、全員がダウンしてしまう事態も想定できる」(同氏)

 また、Lennoxのシステムはこれまで本社に一元化されてきたが、最近では電子メールやCADといった複数の機能が、ディザスタ・リカバリが考慮されていないリモート・サイトのサーバへ分散化されつつあるという。

 本社のディザスタ・リカバリ対策に、こうしたリモート・サイトを組み込むことは容易ではない。それぞれのサイトが、必ずしも本社と同じシステムを運用しているわけではないからだ。「システム構成は各サイトごとに異なる。Dellのサーバを利用しているところもあれば、IBMのサーバを導入しているところもある。主要な15ないし20拠点を見ても、共通のアーキテクチャがまったく存在しない」とFlory氏は言う。

 Lennoxでは今後、リモート・サイトを共通アーキテクチャへ移行させる考えだが、実現までにはまだ時間がかかるだろう。

 一方、MITでは、2カ所のキャンパス内データセンターに加え、さらに2カ所の賃貸施設を補完的にディザスタ・リカバリ・サイトとして運用する考えだと、Grochow氏は述べている。

 それら4カ所のデータセンターは、すべてを常時稼働させ、少なくとも2カ所で基幹系アプリケーションを同時に実行する計画である。しかし、キャパシティが多すぎたり、過度に冗長化されているわけではないため、維持費はそれほどかからないと、Grochow氏は説明する。

 こうした体制を実現すれば、ディザスタ・リカバリの面倒なテストも不要になる。なぜなら各サイトは常時稼働しており、基幹系アプリケーションは2カ所以上で実行されているため、事実上、毎日テストを行っているようなものだからだ。「この手法を利用すれば、たとえ何か障害が発生したとしても、完全なお手上げ状態にはならないだろう」とGrochow氏は語る。「逆に、アーキテクチャに致命的な単一障害点が多く存在するのであれば、詳細なディザスタ・リカバリ対策を構築しなければならない」(同氏)

 また、Grochow氏は、「ディザスタ・リカバリのコンセプトは変わりつつある」と分析している。「われわれのシステムは複雑になりすぎて、災害時にサードパーティの提供するホット・サイトを利用することが、もはやできなくなった」と語り、現在ディザスタ・リカバリ・サイトを構築するには、自社で対応する必要があるとの考えを示している。

Column 2
ディザスタ・リカバリを容易にする3つの要素

 「私はITに33年間かかわってきたが、ディザスタ・リカバリが困難になったとは決して思わない」と語るのは、ミネアポリスの医療保険会社、UnitedHealth Group InternationalのCIO、ロッド・ハミルトン(Rod Hamilton)氏だ。

 企業によって使用アプリケーションやIT環境、ビジネス・ニーズは大きく異なるが、次に示す3つの要素がディザスタ・リカバリを容易にしていると、Hamilton氏は語る。

1. 通信コストの劇的な低減

 「35年前、インターネットは存在しなかった。そのため、2カ所のサイトを接続するには莫大なコストがかかった」とHamilton氏は語る。「現在、リモート・サイトに対するリアルタイムのバックアップは、経済的に何の問題もなく実現できる」

2. 業務プロセスのアウトソーシング/オフショアリング

 Hamilton氏は、業務プロセスをオフショアに移すためにはプロセスの移植性を高める必要があるとする。そして、移植性を高めればディザスタ・リカバリも容易になるという。

2. Webベース・アプリケーション

 Webベース・アプリケーションの増加も重要である。なぜなら、インターネットを経由して、ユーザーや開発者があらゆる場所からアプリケーションにアクセスできるようになるからだ。Hamilton氏によると、従来、同社のマイアミ・オペレーション・センターは、ハリケーンが襲来するたびにシャットダウンを余儀なくされてきたという。

 しかし、現在では、Webベース・アプリケーションを利用することで、従業員が自宅から仕事をできるようになった。「リダイレクトすれば、バックエンドをどこへでも移すことができ、インターネット上のユーザーはそれに気づくことさえない」と同氏は言う。

 Hamilton氏はまた、Webベースのサービスを利用することで、負担の大きなユーザー・サポートやデスクトップ・システムの修復作業から解放されると語る。個々のクライアントにアプリケーションをインストールしなくても、Webポータル経由で必要な機能をクライアントに提供することができるからだ。
 

 「私はアプリケーション開発の革命的な変化を経験してきた。伝統的なメインフレーム・システムでは、中央からのサポートが要求されたが、その分デスクトップ側では何もする必要がなかった。一方、クライアント/サーバ・システムでは、デスクトップ側で入念なソフトウェアの管理が必要になった。システムがWebベースに移行して、流れは再び元に戻った」とHamilton氏は語っている。「Webベース・アプリケーションは、管理の面から見れば、古きよき時代への回帰と言えるだろう」


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