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被害額・年間4,800億円!
自慢のブロードバンド網に巣くう「韓流」スパム

(2005年03月18日)

ブロードバンドの普及がもたらした弊害とも言うべき、スパム・メール。それを巡る戦いも、当初はスパマーとISPのメール・システム管理者との小競り合いにすぎなかったが、今では各国の政府をも巻き込んだ大戦争の様相を呈してきた。本稿では、ブロードバンドの普及率が高く、それゆえスパムの被害額が年間5兆ウォン(約4,800億円)にも上る韓国のスパム事情をリポートする。

キム・ヨンジュン
テラステクノロジー

スパマーの悪心を刺激した高いブロードバンド普及率

図1:全世界の電子メールに占めるスパムの割合

 世界中で爆発的に増加し続ける、スパム・メール(以下、スパム)。セキュリティ・ベンダーのさまざまな対策にもかかわらず、その勢いは止まる気配がない。ITU(International Telecommunication Union:国際電気通信連合)の資料によると、2004年6月時点で、全世界の電子メールの6割以上がスパムで占められているという(図1)。

 特に、ブロードバンドの普及率が高いことで知られる韓国では、スパムの数もものすごい。

 現在、韓国の国民1人当たりが持つメール・アカウントの数は平均2.84個で、韓国におけるインターネットのユーザー数2,861万名にこれを掛けると、同国のメール・アカウントの総数は約8,125万個となる。1アカウント当たり1日に受信するスパム数の平均が20通であるから、韓国全体では16億2,500万通、年間で見ると、なんと5,931億通にも達するわけである。

 韓国のある調査会社によると、2004年における韓国のスパム被害額は、このままの勢いで推移すると、年間5兆ウォン(注1)を上回るという。その内訳は、スパムの受信に費やす総被害額が約1兆7,494億ウォン、メールの保存に費やした総被害額が約668億ウォン、スパムを削除するのに費やす総被害額が約3兆1,849億ウォンとなっている。


表1:韓国のあるISPのメール・サーバに届いたメールの数と内訳(2004年11月8日〜11月14日)

 表1図2に、韓国のあるISPに送られたメールの集計と内訳を示した。同資料によると、正常なメールは全体の4%にも満たない(注2)。このように膨大なスパムがISPなどのメール・サーバに送り続けられると、サーバが処理しきれずに、メール・サービスが中止されるような事態も起こりうる。

図2:正常なメールとスパムの割合(表1の集計数字を基にしている)

 韓国のブロードバンド網を利用したスパムの被害は、韓国国内だけにとどまらない。実は、韓国は、“国際的なスパム発信国家”としても悪名が高いのだ。スパム反対運動を行っている団体、スパムハウスによると、韓国は、米国、中国に次いで3番目にスパム発信数が多い国であるという。スパムハウスに“スパム発信IP”があると指摘された韓国のISPが、該当するメール・サーバのIPを急遽変更するといったような事態も起きている。

 また、日本では、英語のスパムが全体の約85%を占めるそうだが、それに対し、韓国では、英語のスパムは約10%程度しかないという(初期のパソコン通信で使用していたような古いメール・アドレスには英語のスパムがかなり届くが、新しいメール・アドレス宛てには、ほとんど届かない)。これは、それほど韓国発のスパムが多いという証左でもあろう。

注1:2004年11月20日のレートで、1ウォン=0.097円
注2:同時接続数の制限によるフィルタリングの場合、正常なメールも遮断されることがある


画面1:「SPAM WATCHER」などのスパム対策製品を開発している韓国のベンダー、テラステクノロジーのWebサイト。SPAM WATCHERは7段階のフィルタを通すことで不要なメールを除去することができる(日本国内での販売元はトランスウエア)

コラム1
韓国と日本、スパムの違い


 韓国におけるスパマーの標的は、当初、ISPやポータル・サイトを利用する個人ユーザーであった。だが、ここにきて、企業ユーザーも徐々に狙われるようになってきた。これは、ISPなどがスパム防止策を施したことも1つの要因であろうが、企業ユーザーは一般に購買力があるためマーケティングのターゲットとしては個人ユーザーよりも適切だと(スパマーに)思われている節もある。日本では、今のところ個人ユーザー宛てのスパムが多く、企業ユーザーに対するスパムは、韓国ほど切迫した問題にはなっていないようだ。
 また日本の場合、PC向けのスパムより携帯電話向けのスパムが多いのが特徴だ。韓国でも最近、携帯電話向けのスパムが徐々に問題になりつつあるが、日本に比べると、まだ被害は少ない。その理由としては、韓国では、携帯電話でのメール送受信が日本ほどはやっておらず、1通当たり最大80文字まで送信できるSMS(ショート・メッセージング・サービス)が主に利用されていることなどが挙げられよう。


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