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暗号化技術

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【連載】
未来的テクノロジー・ベスト10

第5回 “スライス”したデータを分散保存して安全・安価なストレージ利用を可能にする「Dispersed Storage」

(2008年01月23日)

「Computerworld Horizon Awards」は、米国の研究機関やITベンダーのR&D部門などが、近い将来の実用化・製品化を目指して開発した最先端テクノロジーを読者に紹介すべく、2005年に創設されたものだ。本連載では、2007年度の“受賞作品”を一挙に紹介する。開発者たちのコメントから、イノベーション創出の最前線、そして企業コンピューティングの明日を感じ取っていただきたい。今回紹介するのは、“スライス”したデータを分散保存して安全かつ安価なストレージ利用を可能にする、米国Cleversafeの「Dispersed Storage」だ。

Robert L. Scheier
Computerworld米国版

“スライス”したデータを分散保存して安全かつ安価なストレージ利用を可能に
Dispersed Storage
米国Cleversafe http://www.cleversafe.org/

 クリス・グラッドウィン(Chris Gladwin)氏は、2004年に音楽サービス企業のMusicNowを米国Circuit City Storesに売却した。その後、休暇をとった同氏は、音楽と写真のデータを整理したところ、複数のデータ・コピーを保存するときの従来の方法は、複雑すぎてコストも高いと気づいたという。

 そこでGladwin氏は、データを分割して複数のノードに保存し、必要なときに再構築できるというアルゴリズムを開発した。昔からの発明家である同氏は、暗号技術にも明るかったのだ。

 同年の11月にGladwin氏が設立した米国Cleversafeは、その技術を商品化することを目的とした企業である。同氏は現在、Cleversafeの会長兼CTO(最高技術責任者)を務めている。

 Gladwin氏のソフトウェアは「Dispersed Storage」という名称で、データをいくつかの“スライス”に分割して暗号化を施し、それぞれのスライスを複数のサーバに分けて保存するというものだ。データセンター内だけではなく、インターネット上に分散配置されたサーバを保存先とすることもできる。以前、分散保存するサーバ台数は11台までだったが、10月のバージョンアップで8台、16台、32台、64台と柔軟に設定できるようになった。


図2:Dispersed Storageで構築するデータ・グリッド・インフラの例

 保存されるスライスは、いずれも単独では有用なデータとして復元不可能にできるため、セキュリティ面でも有効だとGladwin氏は語る。また、データの復元は、すべてのスライスを集めなくても行うことができ、復元に必要なスライス数は任意に設定可能だ。この特徴から、Dispersed Storageで構築するデータ・グリッドは、信頼性の面でも非常に優れていると同氏はアピールする。データ容量の増加への対応も、グリッド内にサーバを追加するだけで済むため、拡張性も万全だという。

 Gladwin氏は、Dispersed Storageの最大のメリットは、バックアップやアーカイブ、ディザスタ・リカバリのためのコピーを不要とすることでストレージ・コストを削減できる点だと語る。通常のコピーを行った場合、コピーとオリジナル・データの容量比率は5対1もしくは6対1となるようなケースでも、Dispersed Storageを使えば、1.3対1以下にまで容量を抑えられるという。同ソフトは定価が定められていないが、「少なくとも、保存データ総量の減少に比例したコスト削減を期待できるだろう」(同氏)

 Gladwin氏らは当初、ギガバイト・クラスのデータ保存を想定していた。だが、現在はテラバイト、場合によってはペタバイト・クラスの利用環境まで視野に入れているという。最初は、バックアップ/アーカイブ用のテープおよび光学ドライブからのリプレース需要が見込まれる2次ストレージ市場にねらいを定める。

 米国の市場調査会社Illuminataのアナリスト、ジョン・ウェブスター(John Webster)氏は、Dispersed Storageによるデータの分散保存は「ストレージ管理者の日常業務の進め方を一変させる可能性がある」と、同ソフトウェアを高く評価する。



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