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Google ウォッチ

【解説】
アプリ開発者がグーグルに突きつけた「Google App Engine」への要望と期待

注目のクラウド開発環境に対する“熱き思い”にグーグルはどう応えるのか

(2008年09月10日)

要望を重く受け止めるGoogle

 Googleは、開発者から指摘されている点や前出の要望リスト・ページで挙げられた機能の重要性を十分に認識している。しかし、それにどう応えるか、そしてどのように提供するかについては、いまだ不透明のものもある。

 その1つはテキスト検索機能である。App Engineにはシンプルなテキスト検索機能が用意されているが、「われわれはもっと高度な機能を提供すべきだということに気づいている」とGoogleのマクドナルド氏は強調する。「App Engineで完全なフルテキスト検索機能を提供したい。重要な機能であることは確かだ」と同氏は述べているが、いつまでに提供するかは明らかにしていない。

 App Engineの外へのデータ移行に関しては、Googleは業界標準のやり方をサポートするつもりのようだ。マクドナルド氏は「データ移行を容易にする」と明言しているし、クーメン氏は「データの制約問題は多少誇張されている」として複雑な制約を設けないことを示唆している。クーメン氏はさらに、「今もApp Engineのデータを外部に移行することは可能だ。われわれはそのプロセスをもっとシンプルにし、できれば自動化したいと考えている」と付け加えた。

 App Engineのマルチスレッド・アプリケーション対応を開発者が望んでいることも、Googleは以前から知っていた。しかし、当面はシングルスレッド対応のアプリケーションに限るというのがGoogleの考えだ。クーメン氏は、並列的に稼働している複数のサーバに分散するといった対応になると説明する。

 「そうすることでアプリケーションは、開発者の手を煩わすことなく、スムーズに拡張できるようになる。App Engineは自動的にサーバの負荷分散を行うので、特定のインスタンスやサーバに過度のストレスがかかることはない」(クーメン氏)

 1つのアプリケーションにつき1,000というファイル数の上限についても、直ちに変更する計画はないとマクドナルド氏は言う。なぜならこの制限は、アプリケーションのエンドユーザーがアップロードできるファイル数に適用されるものではなく、アプリケーション当たりのストレージ容量に関係しているものだからだ。

 両氏はまた、App Engineの柔軟な拡張性に貢献しているGoogleのプロプライエタリなGQLデータ・ストアをサポートし続けることも明言した。これは、換言すればSQLデータベースをサポートする計画は今のところ存在しないということを意味する。

 一方、安全なアプリケーション間通信のサポートについては、GoogleのToDoリストにすでに入っている。ただし、それをいつ提供するかは決まっていないようだ。「App Engineで動くアプリケーションは、当面はGoogleのユーザー・アカウントを認証メカニズムとして利用できる」とマクドナルド氏は捕捉した。

 Pythonに精通していないアプリケーション開発者にとっては、これ以外のプログラミング言語をApp Engineがサポートするかどうかも重大な関心事であろう。これについて両氏は、言語のサポートを拡大する方向で作業を進めていると述べるにとどまった。

 一部の開発者から懸念の声が上がっていたアプリケーションのライセンスについては、「現時点でも非常に明快だ」と両氏は口をそろえる。アプリケーションのコード、データ、知的財産はすべて開発者に帰属すると両氏は強調する。

 「知的財産の件はシリアスに考えている。この問題を解決に導くのはGoogleに対する信頼だろう。このことについては、ライセンス契約書や企業としての行動を通して、開発者に理解してもらえるように努力していく。彼らのコードとデータは、何があろうと彼らのものだ」(マクドナルド氏)

App Engineを巡るGoogleと開発者の思惑

 開発者がどのようにApp Engineを利用しているか、Googleは注意深く観察しているようだ。これは、自社のインフラストラクチャにかかるアプリケーション負荷を予測し、必要となるコンピューティング・リソースの判断材料を得るためでもある。

 米国の調査会社Redmonkのアナリストであるステファン・オグラディ(Stephen O'Grady)氏は、App Engineのようなインフラストラクチャにはこうしたキャパシティ・プランニングが欠かせないと強調する。「需要の正確な予測が可能になるまで、Googleは順次機能を追加しながら適切なパフォーマンスを探るつもりでいるはずだ」(オグラディ氏)

 今のところ、App Engineの膨大なアカウント数ほどには、この上で動くアプリケーションは多く登場していない。そのため、新しいクラウド市場のベスト・プラクティスを探り出すチャンスがGoogleにはまだ残っていると、The 451 Groupのアナリスト、ヴィシュワナス・ヴェヌゴパラン(Vishwanath Venugopalan)氏はGoogleにアドバイスする。

 いずれにしても、GoogleはApp Engineのポジティブな支持者層を大切に扱う必要がある。「開発者たちの支持は絶大だ。それにGoogleがどう応えるかだ」とヴェヌゴパラン氏は言う。まずはサポートするプログラミング言語の種類を増やし、次にパフォーマンス向上とシステム信頼性を確保しなければならない。特に今年6月のような障害に見舞われたときに、サービス・レベルをどう保証するかが重要になるだろう。

 前出のカッツ氏のような熱狂的な開発者は、GoogleがApp Engineをこの先どうするかを冷静かつ注意深くウォッチしている。彼らは、先ごろ発生した障害もサービス初期にはよくある出来事だとして、現時点ではさほど問題視していない。

 言いかえれば、彼らは現状よりも今後に多大な関心を寄せているのだ。特に、リソースの割り当て制限が撤廃されたときにApp Engineがどのようなパフォーマンスを見せるのか。これがカッツ氏にとって最大の関心事なのである。

 「われわれの会社は起業したばかりだが、今年末にはニッチ市場向けの商用アプリケーションを早くもリリースする予定だ。そのときまでには、ユーザーに満足してもらえるほどApp Engineが安定し、堅牢になることを期待している。当社のように資金や開発期間で制約を受けるスタートアップ企業にとって、Googleへのアウトソーシングは計算可能なリスクでなければならないのだ」(カッツ氏)


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