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[英国]
英国政府、国民IDカード法案を議会に再提出
(2005年05月26日)
英国政府は今週、英国市民にバイオメトリクス技術を使用した有償のIDカードを持つことを義務付けようとする法案の修正法案を提出し、当初の法案に対して野党から挙がっていた、人権(市民的自由)に関する懸念や大規模なITプロジェクトを監督する内務省の能力に対する懸念に応えることを約束した。
労働党政権は、2010年までにこの国民IDカード・システムを確立することを目指すとしている。このIDカードは有償で、カードに埋め込まれたチップと国民識別情報登録データベースに記録するという情報には、名前、住所、本人識別のためのバイオメトリクス情報(たとえば指紋データ、顔スキャン・データ、虹彩スキャン・データなどの生体計測情報)が含まれる。
トニー・ブレア首相は5月25日に英国議会下院で、個人情報の盗用・なりすまし(identity theft)による被害額は、同国内で毎年数十億ポンドにのぼっていると語り、この問題に対処しようとする政府案を支持するよう議員たちに呼びかけた。
ブレア首相と、同法案の発起人代表であるチャールズ・クラーク内務大臣は、テロ、なりすまし、不法就労者、不法移民、国民保健サービス(NHS)などの公的支援制度の不正利用と闘う上で、バイオメトリクス技術を利用したIDカードは強力かつ大いに必要とされる武器であるとの主張を繰り返した。
ただし、修正法案は、同プログラムを統括することになる「National Identity Scheme Commissioner」により大きな権限を与え、政府機関に認めるデータベース・アクセスへの制限を追加したものになっている、と週の初めにクラーク内相は説明している。
当初法案へのさまざまな批判
この国民IDカード法案は、昨年(2004年)11月に当初案が英国議会に提出されたときから、大きな議論の的となってきた。推計30億ポンド(約55億USドル)の膨大な費用がかかることや、プロジェクトに使用されるという技術に即用性があるのかどうか、約6000万人とされる英国市民のそれぞれについての慎重に扱わなければならない情報を収めた大規模なデータベースを構築するのが賢明かどうか、といった点について、英国の三大政党のすべてから、法案に対する批判の声が上がった。
十分な支持を獲得できないまま、英下院選挙が近づいた今年(2005年)4月、ブレア政権は、当初の法案を引っ込めた。しかし、5月5日の総選挙で下院の過半数の議席を確保した後、同政権は公約していたとおり、再びIDカード法案を議会に上げた。
最大野党である保守党は、当初の政府案をいったん支持したが、その後、この法案は5つの条件を満たしていないとして支持を引っ込めていた。その条件としては、技術に関する複数の課題と、「カードの目的を明確に定義すること」、「計画の費用対効果の高さを証明すること」が挙げられている。新法案についても、これらの条件を満たしていなければ支持する可能性は少ない、と保守党の広報担当者は語った。
それより小さい野党である自由民主党は、この計画は費用がかかりすぎる、効果が期待できない、人権を脅かすとの理由で、当初からこの法案に反対している。また、ブレア政権は、与党の労働党議員からの反対にも直面している。
一足先に進む、旅券へのバイオメトリクス採用
なお、英国政府は5月25日遅く、2004年4月から実施された英国旅券発給課(UKPS)のバイオメトリクス情報登録トライアルの結果を発表することを約束した。UKPSは、有志1万人を対象に、6カ月かけて、電子指紋、虹彩スキャン、正面向きの顔のスキャンという3種類のバイオメトリクス測定方式をテストした。このトライアルの主目的は、将来行われる可能性のあるバイオメトリクス情報収集プロセスを模擬実験することによって、バイオメトリクス技術に大衆がどう反応するかの目安をつかむことだという。
UKPSでは、今年12月または来年(2006年)1月から、顔の識別情報を新しいパスポート(旅券)に組み込み始める予定となっている。このUKPSでの取り組みを、IDカード計画とその結果としてのデータベースのための土台(基礎・基盤)作りに生かす、というのが、以前からの英国政府の心づもりである。
(Originally reported by Laura Rohde, IDG News Service 05/25/2005)































