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[米国]
特許訴訟に激震! 連邦最高裁がイーベイに対するサービス差し止め命令を却下

(2006年05月16日)

 米国連邦最高裁判所は5月15日、特許訴訟が行われていることを理由に、Webサイトで重要な機能を使用しないようイーベイに命じた下級審の判断を退けた。最高裁の判断は、これまで特許侵害が争われているほぼすべての訴訟で製品提供の差し止め命令を出してきた裁判所の訴訟手続きを実質的に覆すものだ。

 オンライン・オークション・サイトのイーベイは2003年5月、小規模オークション・サイトのメルクエクスチェンジが保有する「buy it now」機能の特許を侵害したとする訴訟で敗訴したが、米国IT業界ではイーベイを支持する声が大勢を占めていた。

 最高裁判事のクラレンス・トーマス氏が作成した判決文によると、最高裁は特許侵害で有罪とされた企業に対して一律に差し止め命令が出されなければならないとする控訴裁判所の判断を裁判官の全員一致で覆したという。

 今回の連邦最高裁の判断により、今回の差し止め命令は、地方裁判所に差し戻されることになった。今後地裁は、各種の要因を比較検討したうえで、メルクエクスチェンジの求める差し止め命令を認めるかどうか審理される。

 トーマス氏は、「(差し止め命令は)地方裁判所の公正な裁量の枠内で出されなければならず、こうした裁量は公平の原則に基づいて行使されなければならない。他の訴訟に劣らず、特許訴訟でもこうした基準が適用されるべきだ」と述べている。

 同訴訟では、バージニア州東部地区連邦地裁が3,500万ドルの賠償金(その後500万ドルに減額)を認めたものの、差し止め命令は出さなかった。これに対し、連邦巡回裁判区の控訴裁判所は、イーベイに対する「buy it now」機能の使用差し止め命令は妥当であるとして地裁の判断を覆した。

 最高裁判所のトーマス判事は、控訴裁判所が差し止め命令に必要となる4要因審査(factor test)を公正に適用していないと指摘した。同判事によると、裁判所は原告が特許侵害によって回復不可能な損害を被るかどうか、金銭による賠償など他の救済手段を適用できなきかどうかといった要因を検討しなければならないことになっている。

 4要因審査は、1980年代の2件の訴訟で確定したが、これまで裁判所はほとんどの特許侵害訴訟に差し止め命令を出してきた。

 同訴訟については、独立系の発明者や製薬会社はメルクエクスチェンジ側を支持している。製薬会社は、新薬の開発に多額の資金を投じており、自社の特許を守りたいという意識が強い。

 特許訴訟に詳しい法律専門家によると、今回の最高裁の判断は、発明者(個人で事業を行っている人や小規模企業も含まれる)とソフトウェアやハードウェアなどの製品を販売する大企業の間にある力のバランスを変える可能性があるという。

 イーベイ側に有利な最高裁の判断により、発明者は特許侵害に対する賠償を獲得しにくくなる一方、大手ベンダー側は裁判所の差し止め命令を恐れることなく製品を市場に投入することができるからだ。

 IT企業側は、イーベイの訴訟や、今年初めに下された裁判所の判断によって機器メーカーのリサーチ・イン・モーション(RIM)がBlackBerryサービスの停止を迫られた例を挙げ、特許侵害訴訟に対してほとんど自動的に差し止め命令を出すという裁判所の姿勢は行き過ぎだと主張する。

 RIMは今年3月、米国においてモバイル電子メール・サービスの提供差し止め命令が出される事態を避けるため、特許を所有するNTPとの間で、およそ6億1,200万ドルを支払うことで和解した。

 プロフェッショナル・インベンターズ・アライアンスのロナルド J.ライリー会長は、特許所有者が競合企業に製品をライセンスしなければならなくなるとして最高裁の判断を批判するとともに、米国議会に発明家保護のための新たな法律を制定するよう求めている。

 「最高裁によるこうした判断には納得できない。判事の気まぐれで、ラインセンスの供与を強制されることになる。新興企業が発展していくためのきわめて重要な手段が既得権を持つ者に奪われてしまう」とライリー氏は強調する。

(グラント・グロス/IDG News Service ワシントン支局)




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